妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙5


写真素材 cg.foto

あたしはこれからは自分をどんどん出していこうとそう思った。

窮屈なこの後宮の生活はあたしには全くなじむ事ができない場所だった。

そんな場所に無理して入ったのは大好きな東宮様、いえ鷹男がいるから・・・・

だから入ったの。

女御らしくお淑やかにできるあたしじゃない。

本当の自分を好きになって欲しい。

偽りの自分などあたしじゃないのだから。

あたしは今では変わった女御として後宮中の噂になっていた。

楽しかったら大きな声で笑い、悲しかったら大泣きし

自分の感情に素直になっていた。

貴族の女性は扇で自分の顔を隠し自分の姿を絶対に周りに見せない。

声でさえお付の者に話させる。

それが一般的なんだろうけどそんな風では楽しくないじゃない。

一体相手がどんな顔をしているのかどんな反応なのか。

そして自分の思いも顔を隠しては

伝わるなんてありえない。

それがあたしの持論だった。

初めは鷹男も面食らっていた。

今までは自分を隠し、ずっとずっとあの幼き頃の思い出に縛られ

何もいう事ができなかった。

でも今は違う。

あの幼き頃の大事な思い出は忘れてはいないけど今の自分が大事。

過去に囚われず自分の意見を平気で鷹男にいい、いつもの自分になれたと思う。

以前は殆ど鷹男はこの淑景舎には足を運ぶ事はなかった。

あたしを清涼殿に呼ぶことも。

でも今は少しずつ少しずつ鷹男と一緒に過ごす時間が長くなってきた。

それが凄く嬉しい。

あたしを少しでも意識してくれる。

そんな些細な想いがあたしを喜ばせてくれるの。

今日も鷹男が淑景舎に寄ってくれると文をくれたし

鷹男に会えるのが待ち遠しい~

うふふ~~~あはは~~~~~

「瑠璃さま!その不気味な表情お止めください。

女御さまとしての自覚が全く感じられませんわ。」

相当不気味な表情をしていたらしく小萩が呆れた表情であたしを嗜める。

「小萩、そんなにあたしの顔は不気味だったの?」

「もちろんでございますわ。

ここには今瑠璃さまと私以外見えないので大丈夫ですが

もうすぐ東宮様がこちらにお渡りになさいます。

なのに瑠璃さまのそんな表情を見たら幻滅なさいますわ」

「幻滅って酷い。あたしは早く鷹男に会いたくて仕方がないのですもの。

もうすぐ来てくれるのでしょう。

嬉しいのだから表情が変でも許して頂戴よ」

「しかし瑠璃さまあまりにも変で」

「五月蝿いな~あたしの顔が変なのは生まれつきよ!

これ以上綺麗になりようがないのよ。ほおって置いて頂戴!」

くすくすくすくす

誰かの笑い声が聞こえる。

そしてあたし達以外の声が突然聞こえてきたの。

「瑠璃姫は十分に美しいですよ。そして可愛らしい」

「「!?」」

突然鷹男があたし達の前に現れたの。

「鷹男!あんた急にでてこないでよ!吃驚するじゃない」

「私はこれでも挨拶はしたつもりですよ。

しかし瑠璃姫たちが話しに夢中で私に気がついてくださらなかった。

とても寂しかったのですよ。

だから今、会話の仲間にしていただこうと思います。」

しれっと鷹男はあたし達をからかってくる。

本当に後宮に来た当初とは違い、鷹男もあたし達と話すのを楽しんでくれる。

あたしは自分を偽らない。

だから鷹男もここにいる間は東宮ではなく

鷹男としてここに来てくれればいいと何度も言ってあげた。

小萩にはあたし達の仲を協力して貰うために鷹男と言う名前を教え、

鷹男がここに来る時はいろいろ世話をしてくれる。

3人だけだからこそ鷹男も安心してこの桐壺で安らいでくれるように思う。

急速にあたし達の仲は親密になっていく。

でも・・・・・・・

「失礼致します。東宮様、梨壺さまがお呼びでございます。」

「分かった。すぐにそちらに参る。」

そう言い、先ほどまで安らいだ表情だったのに少し緊張した面持ちで引き締めた。

そう今の姿は紛れもない東宮様の姿。

さっきまでいたのは身分などない鷹男だった。

それが今では責任のある東宮の顔をしていた。

「瑠璃姫、楽しかったですよ。では失礼します。」

そう言い鷹男は桐壺をでて行ったの。

はあ・・・・・・

いつもこれ。桐壺に鷹男が来てくれる回数はかなり増えた。

でも長い事桐壺に滞在してはくれない。

少しするといつも梨壺さまが鷹男を呼び、鷹男も何も言わず梨壺に向かわれる。

どれだけ親密になってもあたしはまだ鷹男の心を捉えていない。

鷹男は梨壺さまが大切なのだから・・・・・

あたしを絶対に選んではくれないのよ。

鷹男と一緒に楽しく過ごせるようになった。楽しくて仕方がない。

なのにどうして切ないの。

会える時間は増えたのに、あたしの傍にいてくれない。

鷹男はあたしが想うよりあたしを想ってくれない。

あの人は梨壺さまが一番大切なのだから・・・・・

苦しい・・・いつになったら鷹男はあたしを見てくれるのだろう・・・・・

あたしのこの苦しい想いはいつか叶う事ができるの?

どれだけ問いかけても答えは出なかった。

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