妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙6


写真素材 cg.foto

鷹男との心の距離は近づいているはずなのに一歩先から前に進む事ができない。

一緒にいてとても楽しい。

鷹男もあたしの傍にいて二人の距離は更に近づいていると感じてくれる。

そう思えるくらいあたし達の仲は良くなっていった。

なのに何故それ以上縮まらないの?

どうして・・・・・・・・

それは鷹男にとって梨壺さまが一番だから。

あたしよりも必ず梨壺さまを選んでしまう鷹男。

そんな姿を何度も見せられどんどん苦しい気持ちは溜まっていく。

その悲しみはいつ開放されることが出来るのだろう?

あたしの気持ちの限界はとうに超えてしまっていた。

そんな時だった!恐れていたことが発覚したのは!

それは梨壺さまの御懐妊だった。

あんなに一緒に二人は過ごされているのですもの。

当たり前のことかもしれない。

あたしと過ごすことが多くなったとしても

夜を共に過ごすことなんて梨壺さまの方が殆どだった。

昼間はあたしと過ごし、夜は梨壺さまと過ごす。

そんな状態が殆どだったのですもの。

梨壺さまに御子さまが授かるなんて簡単に予想がつくことだった。

なのにそんな想像あたしはしたくはなかった。

あたしが鷹男の御子を授かりたかった。

愛した鷹男の!!!!

あたしの将来の地位なんて関係ない!!!

愛した人との御子を授かりたかった。

なのにあたしではなく梨壺さまに授かった。

そのせいで鷹男はこの淑景舎に渡ることは控えられることになった。

あたしのことより梨壺さまのお体が一番大事ですもの。

鷹男にとって一番大切な女御さまのこと。

そんなこと、この後宮に来てすぐに分かっていたことじゃない。

分かっていた。

分かっていたけど辛い。

鷹男の御子さまを授かって喜んでいる梨壺さまの姿を見ると辛いというより憎い。

憎いの!憎いのよ!!!!

なんでこんな気持ちがあるのよ!

こんな醜いあたしの気持ち。

醜すぎて気が付きたくなかった。

あたしは梨壺さまに嫉妬をしているんだわ。

ふふふっ・・・・・・・・

こんなどす黒い感情があたしの中にあるなんて思いもよらなかった。

あの有名な源氏物語の御息所。

あの女性の感情なんて全く理解できなかった。

愛した人の妻に嫉妬し生霊としてその妻を呪い殺したあの女性の気持ちなんて!!!

なのにあたしは今なら理解できる。

愛した人は自分じゃなく他の女性を選んだのだから。

自分が最後には選ばれるとそう思っていた。

自分が一番あの人を愛しているのだからと・・・・・

でも結局違うんだわ!

・・・・・・ひ・・・・っく・・・・・・・・ええ・・・ん・・・・・・・

ふ・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

声を殺してあたしは泣いた。

絶望しかあたしは考えつかなかったのだから。

そうしてある噂があたしの耳に入ってしまったの。

唯一の希望を打ち砕かれる瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あたしは落ち込んでいた。

梨壺では連日連夜梨壺さまと鷹男のために宴が催されていた。

もしかしたら親王様がお生れになるかもしれない。

そうなったとしたら次期東宮様にお立ちになる可能性はとても高かった。

その後もし、あたしが親王さまをお生みしたとしたら

後継者争いが勃発する可能性は高い。

しかしあたしの父さまは野心が殆どないお方だから、

先に生まれたほうが次期東宮だと素直に譲る可能性が高かったのだから。

そんな先の話までいろいろされていた。

 

これで右大臣家は安泰だと。

そんなことどうでもいいのよ!

あたしは地位なんてどうでもいいんだから。

次期東宮に梨壺さまの御子がお継ぎになられるならそれでもいい。

あたしは鷹男がいればいいの。

まだ生まれてもいない御子さまの事よりも今鷹男が大切なの!

でもあたしの一番は鷹男なのに、鷹男にとっての一番は梨壺さまなのよ。

それが一番苦しいの。

 

そんなに苦しんでいるあたしの耳元で

新参女房はあたしがすぐ傍いる事にも気が付かず

とんでもないことを話し始めた。

 

 

あたしは最近また淑景舎に閉じ篭るようになっていた。

外にでれば梨壺の方から騒がしく楽しそうな音が聞こえてくるから。

なのになんでだろう~

その時あたしは外の風に当たりたい気持ちになってしまったの。

そうしてあたしは階に降りぼ~と庭を眺めていた。

その時新参女房の声が聞こえたの。

格子戸が少し開いていてあたしに気が付かなかったみたい。

だから一度も聞いた事がない噂を耳にすることになったのよ。

「梨壺では連日連夜お祭り騒ぎのように華やかだそうよ」

「まあ~羨ましいわ。ここではお通夜のように暗い雰囲気ですもの。」

「それは仕方がないわよ。

ライバルである梨壺の女御様に御子さまが授かったのですもの。

桐壺の女御様からすればお目でたいことでも複雑な思いなのでしょう。」

「まあ~だけれどその内桐壺の女御様も御子さまを

お授かりになることがきっと来ますわ。」

「それはどうかしら?」

「????何故?」

「あなたはこちらに上がって間もないから知らないかもしれないけど

東宮様が一番愛してお見えなのは梨壺の女御様だそうよ。」

「それは御子さまを一番初めにお身篭りになられたから?」

「違うわよ!梨壺の女御様が東宮様にとって運命の相手なのだと

梨壺では知らない者がいないほどだそうよ」

「運命の相手?」

「何でも東宮様がまだご即位されて間もない時

後宮を抜け出した時のことだそうよ。」

!!!!!!!!!

あたしはただ二人の女房の話を聞いていただけだった。

女房が話す内容はあたしにとって分かっていた事だった。

だから真剣に聞いていたわけじゃない。

ただ自然に耳に入っていた。

唯それだけだったのに無意識に聞いていたのでしょうね。

そして東宮様が後宮を抜け出したという言葉を聞いてハッとした。

まさか!?

後宮を抜け出した東宮様は婚約者と囁かれた右大臣家の姫君を見に行かれ

そこで運命のお方、梨壺の女御様に会われたそうなのよ!」

「まあ~~~何て素敵な出会い。

だから東宮様の梨壺の女御様に対する態度が

桐壺の女御様とは違われるのね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

ふふふ・・・・何・・・・今の?・・・・一体どういうことなの?・・・・

それってあたしと会う前かその後に東宮様が

梨壺さまとお会いしたという事なの?


ははは・・・だから東宮様は右大臣家に居たんだ。

自分の婚約者に会いに・・・・・

それはそうか、東宮様のような尊い方が一貴族の邸にいる訳がないのですもの。

そうなのね・・・・・ふふふ・・・・

「????あなた何か言った?」

「いいえ、何も言ってないわ」

自然にあたしは声に出して笑っていたの。

あはははははははは・・・・・・・・運命の相手か・・・・・・・

だから東宮様はあたしを迎えに来てくれなかったんだ。

迎えに来てくれるわけがないわよね。

運命の相手である梨壺さまがお見えだったのですもの。

あの方が愛した方は梨壺さま。あたしじゃないのよ!!!!!!!!!

衝撃だった。

今までの思い出が急速に薄れていく。

あたしがあんなに大切に思っていた思い出は何でもなかったのよ。

当の東宮様はあたしの事なんてどうでもよかったのだから。

運命の相手がお見えだったのですもの。

あたしとの出会いなんてたいした印象ではなかったんだわ。

馬鹿みたい!

あんなに東宮様が迎えに来る事を夢見ていただなんて

本当にあたしは馬鹿よ!!!!!!

あまりにも切ない気持ちがあたしの体の中を駆け巡る。

あたしは無我夢中で駆けて行ったの。

どこを目指したのか分からずに・・・・・・・・

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