妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙7


写真素材 cg.foto

どこをあたしは目指しているのか分からない。

だけどここから逃げ出したい。

人がいないほういないほうを目指しながらあたしは駆けていく。

人の気配があれば違う廊下へと進み今自分がどこにいるのかも

分からずにぐるぐると駆けていった。

そんな時誰かと廊下でぶつかってしまったの。

ドンっ

「きゃあ~」ドサッ

あたしは思わず廊下に倒れこんでしまった。

でも思いっきりだった訳じゃなかったから

すぐに立ち上がりぶつかった相手に非礼を詫びて立去ろうとした。

「あっすみません」

下を向きながら詫びすぐに立去るつもりが

この場からはなれる事が出来なくなってしまったの。

「瑠璃さん?」

「えっ!?」

その聞き覚えのある声を聞き、顔を上げたらそこには幼馴染の高彬がいたの。

なんで!?なんで高彬がこんな場所にいるの?

高彬の姉君が梨壺様なのよ。

連日連夜の宴に高彬も参加し、梨壺さまのために

集まった方々を接待する立場である高彬がなんで

この場にいるのかあたしには不思議だった。

でもあたしは高彬に会いたくなかった。

この醜い嫉妬している姿なんて幼馴染に見せたくなかったのに

なんでこんな場所で会ってしまったのよ!

あたしは回れ右をして高彬から逃げた。

「ごめん高彬!」

謝る言葉だけを残し高彬の傍から逃げた。

たたたたたたたっ

高彬から逃れるように駆けていったのに

高彬はあたしをわざわざ追いかけてきたのよ。

「ちょっと瑠璃さん!お待ちなさい!」

そう言われて止まるものがいるわけがない。

少しの間追いかけっこをしていたけど男の人の体力に勝てるわけもなく

高彬に捕まってしまったのよ。

「瑠璃さん!」

「ちょっと離してよ高彬!」

「離したら瑠璃さんは僕から逃げようとするだろう」

「そんなの当たり前じゃない。あたしのことはほおって置いて頂戴!」

「何をいっているんだい!」

「あんたこそ意味が分からないわよ!

あたしはあんたの姉君さまのライバル女御なのよ!

そんなあたしと一緒にいたらあんたが何を言われるか分からないじゃない。」

あたしはとにかく高彬から離れたくて必死な思いで高彬を説得しようと思った。

なのに高彬はあたしを離そうとしない。

「高彬!!!!」

あたしはこのまま高彬に自分の今の気持ちをぶつけるしか出来なかった。

「離しなさいといっているでしょう!

何よ!あたしのことを笑っているんでしょう~

愛されてもいない哀れな女御として。あたしはここから居なくなるのよ。

それの方があんた達右大臣家にとっては都合がいいでしょうね。

政敵になりえるかもしれない女が後宮から逃げ出すんだからね。

ああ~そうだわ。高彬、あんたあたしをここから出して頂戴。

あんたのことは何も言わない。

だからここから抜け出すのを手伝って頂戴よ!お願いよ高彬。」

「瑠璃さん・・・・」

高彬は青ざめた表情であたしを見つめてくる。

あたしのこんな姿を初めて見たんですもの。ショックだったのかもしれない。

あたしはとにかくこの後宮から逃れることが出来れば

後の事は何があっても関係ない。

ただの思い付きの行動だった。その後のことなんて何も考えられなかった。

自分の行動で内大臣家が父さまや融や義母さまがどうなろうと

その時は何も考える事なんてできなかったのだから。

それくらいあたしは動揺していたの。

その姿を見ていた高彬はあたしを掴んでいた手から自分の手を離した。

あたしは高彬からやっと開放されることが出来た。

高彬に感謝し、この場を離れようと高彬に背を向けた。

その時!急に後ろから抱き付かれてしまったの。

「!!!!!!!!!」

何が起こっているの?あたしは誰かに後ろから抱き寄せられている。

もしかして・・・・・

「瑠璃さん!一体何があったんだい!そんなに涙を流して。」

「あっ!?」

あたしは高彬に涙を見せてしまっていたんだ。

指摘されるまで気が付かなかった。

もう涙は枯れてしまったと思っていたのに高彬の前で流してしまうなんて・・・

高彬は苦しそうな声であたしに尋ねてくる。

「瑠璃さん・・・・瑠璃さんは東宮様の女御様になって

幸せだったんじゃないのかい?

君は好きで東宮様の女御様になられたと聞いているよ。」

その通りよ。あたしは東宮様を愛しているから、

だから窮屈な後宮に我慢して入る事にしたのよ。

それがどうかして?

「それが何なのよ!あたしの姿を見て面白い?あたしのこの醜い姿を見てね!」

あたしは高彬に八つ当たりしてしまった。

高彬が悪いわけじゃないのに全て高彬が悪い。

そう思ってしまう。

「何よ!あんたの姉君は梨壺の女御様だもの。

ライバル女御であるあたしが苦しんでいる姿はさぞや嬉しい姿なんじゃない?」

「そんな馬鹿なことがあるか!」ドン!

あたしは高彬に正面を取らせられるような格好で

壁にもたれさせられ、そのまま抱き付かれてしまったの。

「僕はね、そんな苦しんでいる姿の瑠璃さんなんて見たくはなかったよ。

瑠璃さんは東宮様の元で幸せに過ごしている。そう思っていたよ。

瑠璃さんは身分のために好きでもない人の元に嫁ぐわけない。

なのにどうして今の瑠璃さんは幸せじゃなく不幸をしょった表情をしているんだ」

そんなこといわれたって仕方がないじゃない。

東宮様、いえ鷹男はあたしじゃなくて梨壺さまを選ばれたんだから。

「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!!

早くあたしの傍から消えて頂戴。

あんたにこんな情けない姿見られたくなかった。

お願いよ、これ以上あたしを惨めにさせないで・・・」

嗚咽を漏らしながらあたしは泣きだしてしまった。

幼馴染で仲がよかった高彬にこんな姿を絶対に見せたくなかったのに

何故見られてしまったの。

そんなことを思い浮かべていると高彬はあたしを抱くのに少し力を入れた。

そんなときだった。

鋭い殺気立った声があたし達二人の前に届く。

「お前達!一体ここで何をしているんだ!」

「「!?!?!?」」

それは驚愕な表情を浮かべた鷹男が

共の者を誰も引き連れずにあたし達の前に立っていたのよ。

一体あたし達の運命の想いはどこに行ってしまうのだろうか?

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