妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~1

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https://www.beiz.jp/

 

 

私には初恋のかたがいる。目をつむるとあの方を思いだす。

あの人は私の手の届く場所にいるというのに心は繋がることはない。

どうしてあのかたは私を選ぶことがないのだろうか?

私はあなただけを愛しているというのに・・・・

「「姫・・・・私はあなたが欲しいのです。」」

 

そうつぶやいた殿方は同じ場所で同じ想い人を思い浮かべ

初恋の人への切ない思いを感じていた。

時は違うのに、偶然同じことを想い苦しい恋に耐えるしかない。

果たしてこの殿方二人に初恋の姫はどちらに微笑むのか。

それとも二人とも恋は適うことができなかったかもしれない。

しかし諦めないものが報われることもできるのです。

果てしない片恋の始まりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帥の宮の事件が起こってからもう6年は経ったの。

あたしは右近の少将高彬の北の方に納まり

そして高彬との子供が今は一人だけ居るのよ。

あの事件の2年後男の子をあたしは出産したの。

元気な可愛いあたしたちの大事な息子の誕生に高彬は大喜びだったわ。

目にも入らないくらいの可愛がりで、高彬と息子の貴久を見ていると

幸せな気分になるの。

高彬は今は昇進して右近の大将という地位にあがり

あたし達は今では三条邸を出て高彬の祖母君の邸であった

二条邸を住みやすくして親子で暮らしているの。

高彬はこの時代では珍しくあたし以外の姫を娶ることもせず

あたしだけを大切にしてくれるの。

もう息子が4歳だと言うのに、相変わらず高彬との仲は良好で

嬉しながら新婚気分がなかなか取れることはないのよね。うふふ・・・

そしてあの事件後、丞香殿の女御さまであった

あの高彬の姉君さまはすぐに親王さまを御出産なさって

もちろんこの方はすぐに東宮様に御立ちになったの。

でも東宮さまを御出産なさってから丞香殿の女御さまは

体調を崩しそのままお隠れあそばしになったの。

その時の鷹男は相当落ち込みが酷くて大変だった見たい。

それからあの春日大納言の大姫がすぐに入内なさったようだけど

帝は形式ばった扱いしかなさらないみたいで

今では後宮も寂しくなっているようよ。

丞香殿の女御さまがお亡くなりになられてから

鷹男はあたしに内密な御文を変らずくれるけど

その内容は丞香殿の女御さまが御生みした

東宮様についての父親としての内容なお文ばかりで

今では色恋の御文をくれることは無くなったの。

それはそれで寂しくはあるけど、あたしには大事な家族がいるのだし

心に秘めた鷹男のことは懐かしい思い出としか思わなくなっていたのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

又ここに来てしまった。

私のお気に入りの場所であるこの桜の木の下。

ここで私は初めて愛する姫君と出会い、

そして私の敬愛した父上と一度語らいをした場所でもある。

大事な場所は私が落ち込んだとき、暇がある時はこの場所にふらっときてしまう。

私の名前は東宮宗義、父上は現在の帝である。

そして私の母は丞香殿の女御といわれた貴族の中でも

多大な勢力を持っていた大貴族の姫君でもあった。

今上帝には私以外の親王はいなかったし

私の後見人はしっかりとしていたので東宮に立った時は

誰にも反対されたことなどなかった。

そして我が母は父の寵愛が高かった女御ではあったが

私が3歳の時に体調をくずしそのままお隠れになった。

私は幼き頃に母を亡くしたため母からの愛情を感じることなく

成長をしなくてはならなかった。

そして政務が忙しい我が父からも

東宮として成長を期待されることしか出来なかったが為

私は愛情というものを知らずに過ごすことになった。

私は母がいない代わりに沢山の女房達に傅かれた生活を余儀なく過ごした。

東宮であるためにいろいろな制限がなされ

自分がしたいことはことごとく反対され、

東宮であり、次代の統治者として成長をしないといけないと

過剰な期待のなかで暮らしていた。

金銭的には全く不自由はなかったが

いろいろな行動に女房が私から離れることもなく、それが苦痛でもあった。

しかしこれが東宮だという思いで乗り切る事しか出来なかったのだ。

私を東宮としか言わない者達。

私を東宮としてしか価値がないとそう思われているようで

あまり自分は東宮の地位を好きではなかった。

あなたは東宮様なのだからそれはしてはいけない、

東宮だからそのような言葉使いをしてはいけない。

全て東宮としか私を見てくれるものはいなかったのだ。

私は東宮としてそして次代の長として立つ事を嫌っていたわけではない。

しかし周りは私を東宮だからと私個人を見てくれる人は皆無だったからこそ

苦しかったのかもしれない。

 

ある日幼き頃から東宮として教育された私に運命の出会いがあった。

それは私がまだ5歳のときだった。

御所の中で一番桜の花が咲き誇る場所があった。

そこは警備のものも少なく自分のお気に入りの場所でもあった。

その日も皆に内緒で私は東宮御所を抜け出し

その桜に向かってかけていったのだ。

そうしたら見慣れぬ女が桜に手を伸ばしながら上を眺めていたのだ。

風に靡かれ桜の花は舞ちり、その景色は壮観だった。

普通女が下に降りて顔を隠さずに外にでるものなど

皆無であったのでよりいっそう興味を覚えていた。

そして女は桜に向かって何かを囁いているように見えた。

その横顔が寂しそうに見えて見惚れてしまった。

でも女に興味を抱いた私は、気づかれないようにそろっと桜に近づいて見た。

そうしたら偶然女は私に気付いてしまったのだ。

私は慌てて回れ右をしてこの場を離れようとして立ち去った。

ところが慌てていた為、女の前で私は転んでしまい、

足をすりむき血が流れ出してしまったのだ。

その女は私に気付いて近づいてきたのだ。

「あら、どうかしたの?大丈夫?転んだみたい」

「いえ、お構いなく」

「やだ、あなた怪我をしているじゃないの。」

そうしたら女は慌てて衣の中を探り始めたのだ。

「なんでこういうときに忘れてしまったのかしら。」

そうぶつくさと独り言をいっていた女が

あろうことか自分の衣の一部を破り始めたんだ。

私は呆然としてその女を眺めるしか出来なかった。

そしてその布を私の血が出ているところに

結びつけて血を止めてくれたのだ。

「ごめんなさいね。綺麗な布がなかったからあたしの衣で我慢してね。

部屋に戻ったら女房にでも言って、綺麗に消毒をしてもらいなさい。」

「すみません。ありがとうございます。

しかしどうしてあなたの衣を破って私の傷に当てたのですか。

会ったこともない人間の為に」

「ふふっ、あんたまだ子供なのにそんな言葉使いをしているの?」

「しかたがありません。私は東宮なのだから。」

「やっぱりあんたが東宮さまだったのね。たか、今上帝にお聞きしていたのよ。」

「父上が?」

「え~そうよ。あたしはあなたの父君である今上帝の知り合いなの。

だから東宮様にお会いしたかったのよ」

「それはありがとうございます。」

「もう!あたしの前でならいいのよ」

「何がですか」

「そんな言葉使い止めなさい。あたしは全く気にしないんだから。

あんたはまだ5歳なのよ。

それなのにそんな大人みたいな態度ではいけないわ。」

「しかし私は東宮ですからしっかりしないといけないのです。」

「そんなに力ばかり入ってあんたはいいの?

体が苦しいと悲鳴を上げているように感じるわ。

あたしが普通の子供に戻して上げる。確か、宗義さまだったわね。

宗義、力を抜きなさい。

あんたがしたいようにしていいのよ。

あなたはあなたなのだからね。」

そう囁いた女は私を抱きしめてくれたのだ。

一度も抱かれたことがなかった私は心が安らかに

感じられ不覚にも涙が出てしまったのだ。

ふと意識がもどり急激に恥ずかしさを感じ私はその女から離れた。

「何するんだ」

きょとんとした女の仕草が可愛く感じてしまったのだ。

私よりもずいぶんと年上の女なのに。

そうしたらその女は大笑いし始めたのだ。

「何が面白いんだ」

「ふふふ東宮さま、お顔が赤いわよ。」

「そんなことはない」

私はからかわれたと思い抗議をしたが、女は私をからかうだけからかって

笑うだけだった。

でもこの女のおかげで、私の心は温かく、そしてとても気分がよかったのだ。

そうして桜の木の下でその女と語り合いながら楽しく過ごした。

私は深くその女のことを聞くことが出来ず、

私はその女を桜の君と呼ぶことにした。

今日の出会いは二人の秘密だといい、私は彼女と別れることになった。

桜の君が誰なのか分からなかったが

彼女はまたすぐに会えるとそういい、桜の木から姿を消した。

それから本当なら私よりも1歳違いの私の従兄弟に当たる

右大将の息子とその母親と対面する予定だったが

二人はあることで、私と対面することなく御所を退出してしまったのだ。

それは何でも右大将がお体を崩し、お倒れになってしまったからだ。

私は桜の君とすぐに出会えると言う言葉を信じ

待ち続けたが、あれからすぐに出会うことは適わなかったのだ。

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