妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

止められない初恋5


写真素材 pro.foto

吉野の君と会えない為鷹男と作戦を練った。

とはいっても大した作戦ではないの。

いつも会う場を作る時、あたしがその場にいることがばれてしまったのが

会えない要因だった。

だから今回はあたしがその時間用事があっていないことを

公にすれば吉野の君も油断すると思うの。

この用事は鷹男の母君である麗景殿の女御様に

協力をしてくださることになってるわ。

鷹男の母君は気さくな方で義理の娘であるあたしにも

凄くお優しくて有り難く思う。

あたし達三人が幼なじみであることは知って見えて

吉野の君と出会えてないことに理解を示されて

ガツンとと叱ってやりなさいとまで言われていたくらいよ。

お元気で活発なお方だからあたしとは話が合って相談しやすいもの。

そんなあたし達が画策しているとは気が付かない吉野の君は

鷹男に呼ばれてある局にやってきたの。

正式な場じゃないから少し簡素化されているけれど

他の方たちも同席されていて和やかな会話がなされていたの。

あたしは沢山の几帳の陰に隠れて今か今かとスタンバイしているのだけど

鷹男が中々あたしと吉野の君を会わせる気配がない。

多分鷹男には鷹男なりの段取りがあるんでしょうけど・・・

几帳のおかげで姿が見えないけれどチラッとだけ覗いてみた。

ああ~吉野の君の面影は変わらない。

あたしよりも女性らしい容姿をしていたけれど

今ではシャープになっていて容姿端麗だった。

今か今かと待ち受けているあたしをよそに

話は続いていて、あたしはじれったさを感じていた。

そうしてようやく

二人きりになれるよう他の者を退席させた時だった。

東宮、私も退席いたします」

その声を聴いた瞬間我慢の限界よ!

あたしは慌てて几帳から飛び出して局から出て行く吉野の君の腕をつかんだ。

「瑠璃姫!!!」

鷹男と吉野の君の二人の驚いた声が鳴り響いた。

だって、今腕を離せばもう会うことはない。

そんな勘が働くほど吉野の君が真っ蒼になっていたんだから。

どうして・・・・吉野の君はあたしと会いたくなかったの?

あたしはあんなに待ち続けていたのに、元気なのか生きているのかも

分からず寂しかった。。

ただ、迎えに行くから待っていてという幼い子供の願いだけが頼りだった。

それが叶いそうになるというのに、

吉野の君はあたしと視線を合わそうとしない。

もうあたしを嫌いになってしまったんだろうか?

何かあたしはしてしまったの?

あたしは自分の立場も考えずにただ吉野の君に会いたいだけのつもりだった。

「吉野の君!会いたかった!会いたかったのに

どうして会うことができなかったの?」

「それを梨壺の女御様がおっしゃるおつもりですか?」

梨壺の女御。

その言葉で一気にあたしの立場を自覚する。

そうだった、あたしは鷹男の女御で妃だったのだ。

ライバルである親王様の吉野の君と軽々しく会うなんて

不貞を追求しかねない。

それは二人にも迷惑を掛けることになってしまう。

その言葉だけであたしは事態を把握した。

それでも、感情では色々吉野の君と話をしたくて仕方が無い。

吉野から離れてお互いどんな生活をしていたのか聞きたいじゃない。

あたしのことなんて忘れてしまっていたのか、それとも少しでも

思い出してくれていたのか。

あたしはこの時吉野の君のことでいっぱいで、鷹男がどんな想いで

あたし達を見ていたのか知らなかった。

三人ともが一緒に共に暮らすことは不可能。

そうなればあたしはどちらかを選ばなくちゃいけなかった。

けれど選ぶ前にもう決着はついていた。

だってあたしは鷹男の妃となったんだもの。

東宮妃になる前、花が届いたときあたしはどちらを先に思い出した?

今更思い出しても遅いかもしれない。

自分の本当の気持ちは先延ばしをするしかないの。

あたしは鷹男が好き、そして吉野の君に出会ってもそれは変わらない。

あたし達はどうしていかなければならないのか。

あたしは吉野の君を選べば三人ともが不幸になる。

幼いままが続けばよかったのに、大人になって思う。

どれだけの不幸が舞い降りるのだろうか?

あたしは結局腕を離さないまま吉野の君に引っ付いたまま。

鷹男は一瞬表情を変えたけれどどんな心情なのか分からない。

それでも弟である吉野の君にはあたしを拒否せず対決したほうがいいと

諭してくれた。

その為か吉野の君はこの場から離れようとするのを止めて

ゆっくりと床に座ったの。

 

「久しぶりな再会にどうだ二人とも。」

あたしは未だに腕をつかんだまま離すことができなかった。

離した矢先にいなくなってしまう予感がするから。

けれど吉野の君も観念したのか表情が穏やかになる。

「瑠璃姫、お久しぶりです。昔とあなたは変わらないですね。

もう局から出ようと思わないので腕を離してください。」

「本当に出て行かない?」

「はい」

「吉野の君、あんな想いさせないでちょうだい。ずっと会いたかった!

会いたかったのに避けられたら悲しいじゃない。もうあたしなんて

嫌いになった?」

「そんなわけあるわけありません!!!!」

「吉野の君・・・」

「すみません、声を荒げてしまって。瑠璃姫を忘れたことはありません。

ですが、お互い今は公の地位があります。

それに兄上にも申し訳が付きません。自分の妃と仲が良いと

思われては何を言われるか・・・

兄上は瑠璃姫を愛して見える。それは子供のころから変わっていない。

ですが避けていたのは事実です。申し訳ありませんでした。

そして瑠璃姫・・・あなたに会えて嬉しく思います。

これは本心ですよ。」

「吉野の君・・・あたしこそごめんなさい。自分たちの立場を理解せず

勘違いしてしまって。でも会えて話ができただけで嬉しい。」

「やっと三人に戻れたな。お互い立場は違うけれど

もう吉野は瑠璃を避けることはないだろう。」

そう言い、お互い離れていた期間何があったのか

話が弾んで仕方が無かった。

鷹男と吉野の君はお互い跡取り問題の渦中にさらされて大変だっただろうに

それでも兄弟仲は昔と変わらずお互いの信頼関係が変わっていないことに

あたしは凄く嬉しかったの。

そうしてやっぱりあたしは二人とも大好きで

仕方が無い事実を突きつけられてしまっていた。

でも、今は少しだけ三人のまま仲良くしていたい。

それが叶わないことだとしても。

あたしは三人で話しながら心の中でずっとこのまま続けばいいのに

そう思っていたのよ。

 

 

 

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