妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

届かない想い4終

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高彬がこない変りに鷹男はまめにやってくる。

帝という立場でありながら時間を作ってはあたしに会いに来る。

でもあたしはけして鷹男を妻戸の中には入れることはしなかった。

もし開けてしまったらどうなんてしまうのか

あたしは分からなくなってしまうから、だから開けることが出来なかった。

鷹男は院御所に来れない時は必ず文をよこしてくれた。

いつも鷹男が訪れてくれるのをいつのまにか楽しみにしていたんだと思う。

でもこの気持ちを肯定するわけにはいかなかった。

あたしはこれでも人妻なんだから。



ある日鷹男から今夜は来れないという文を頂くことになったの。

なんだか寂しく感じていた時、小萩が慌ててあたしの局に入ってきたのよ。

「る、瑠璃さま~おめでとうございます。」

興奮した小萩はいきなりあたしにそういってきたの。

「ちょっとどうしたの小萩。そんなに慌てて」

「やっと高彬さまから御連絡が入り、本日こちらにこられるそうですわ。」

「え!本当なの?高彬がやっと来るなんて!」

「ええ~本当に高彬さまらしくありませんでしたわね。

こんなに瑠璃さまをお待たせするなんて」

高彬にいいたいことがいっぱいある小萩はぶつぶつと文句ばかり言ってたわ。

あたしはあんなに待っていた高彬が来るというのに

何故か気持ちが嬉しく思わなかったの。

高彬の元で早く暮らすことを待ち望んでいたのに、気持ちが晴れることがなかった。

そうして高彬とやっと対面ができたというのに高彬の態度がおかしかった。

普通は浮気したわけだから高彬が先に謝ってくれればいいものを

高彬は怒っていたの。

「瑠璃さん、いつまでこの院御所にやっかいになるつもりなんだい。

僕が瑠璃さん以外の女性を妻にしたのを怒っているのは分かるよ。

でもだからといってどうして院御所なんて選ぶんだよ!

院にも大皇の宮さまにもそして帝にも申し訳がたたなくて仕方がないよ!」

「何よ!あんたがさっさと迎えに来てくれなかったからじゃない。

あんたがあたしをすぐに見つけてくれるとそう思っていたから

ここを選んだのよ。

簡単に見つかってもあたしの気持ちがおさまらないから。

なのにあんたはあたしに謝るどころか怒ってくるのね。

あんまりじゃないの!酷いわよ。それにどうしてすぐに来てくれなかったのよ」

「別に今迎えにきたんだから問題はないだろう?

少し忙しかったからここに来るのが遅れただけで・・・」

「どこが問題がないよ!

あんたは結局あたしのことなんてもうどうでもいいんでしょう。

もうあんたの子供も生まれることだし

あたしみたいな問題を起す妻なんていらないんだわ」

「違うよ瑠璃さん、ただ他の貴族達は北の方以外にも

側室の方はおみえになるわけだから内だけここまで

ことを大きくしては僕の立場が・・・・」

「分かったわよ!もういい!あんたは結局自分のことばかり。

あたしに謝りもしない。あたし一人だけという約束さえ破っておきながら

そういうのね!もう帰りなさいよ!あんたなんてもう見たくない!

帰れ~~~~~~~~~~~」

あたしは大声で叫びながら高彬を追い返してしまったの。

なんだろう~高彬がやっときてくれたのに、

嬉しい気持ちが湧いてもこなかったというのに

高彬の態度が頭に来てしまった。だって酷いじゃない。

約束を破っておいて謝りもしないなんて

あんな奴だったんだ。

あたしは悔しくて悔しくて仕方がなかったの。

こんな時鷹男がきてくれたらなあ~

そんな馬鹿なことを思い続けながら、あたしはそのまま泣きつかれて

寝てしまったの。

あくる日、あたしは元気が出ずに胸がぽっかりとなってしまったの。

やっと高彬が来てくれたんだから

三条邸に戻らないといけないというのに、この場から離れがたく思ったの。

今日も鷹男から来れないという文を貰った。

何故か寂しかった。

あたしはもうそろそろ自分の気持ちをはっきりさせないといけない。

鷹男への気持ちをあたしは受け止めるべきなのかと・・・

まだあたしは高彬の正妻。

そんなあたしが鷹男の元に行くことなんて出来るのだろうか?

鷹男は心配してここに来てくれたけどでもいいのかな?

そんな不安な気持ちが急に襲ってきたの。

ここにきたばかりの時は鷹男のことなんて見向きもしなかったのに

そんなあたしを迎え入れてくれるのだろうか?

いろいろ嫌なことばかりが駆け巡っていく。

そんなあたしを見た小萩は高彬のことで悩んでいると勝手に勘違いをするし、

高彬との大喧嘩にさすがに気付いている大皇の宮さまにまでも

気を遣われる日が少し続いたの。

こんなに心が重いというのに、何故か鷹男はあれからここに来てはくれない

もう高彬が来たんだから後は自分の判断に任すと

そう思って来てくれないのだろうか?

今日もこれないという文を貰いながら悲しくなってきたの。

あたしは心が晴れないからか夜遅いというのに眠れなかった。

そんな静かな晩に妻戸の外にかたんという音が聞こえたように感じたの。

音がしてから声も聞こえないしもう音もない。

だから気のせいと思おうとしたというのに

何故か気になったあたしはとりあえず妻戸をそ~と開けて見た。

そして吃驚したのよ。だって鷹男が妻戸に寄りかかっていたんですもの。

「鷹男!どうしたの?あんたなんで何もいわずにここに居るのよ!」

そう言いながら鷹男に触れてまたもや吃驚!

「ちょっと鷹男あんたどうして・・・」

鷹男の体は物凄く熱かったの。

体の具合が悪いというのにどうしてここにきたというのよ。

あたしの悲鳴のような言葉に気がついたのか鷹男が目を開いて言ったの。

「瑠璃姫、あなたこそ大丈夫なのですか?私はあなたのためなら・・・」

そのまま気を失ってしまったためあたしは慌てて皆を呼んだのよ。

まさかこの場に帝がいるわけがないのにここで倒れてしまったんだもの。

大騒ぎになったのは仕方がなかったの。

でもここに帝がいてはいけないこと。

だから御所に連絡はして侍医を呼び出し鷹男の具合が少しよくなったら

御所に連れていく事になったの。

まだ院御所で倒れただけだったからまだどうにかなるわ。

これがどこか違うところだったら本当に大変なことになったと思う。

これだけでも大変なんだけどね。

でも鷹男は馬鹿ね。あたしの所に無理に通っていた上

あたしは中にいれずにいた。

だから体調を崩してしまってここ最近こなかった見たい。

なのにあたしが高彬と大喧嘩したのを大皇の宮さまから聞いた鷹男は

体も治っていないというのに無理してここに来てしまったのよ。

もう治りかけになったからと無理をして・・・・

こんなあたしを自分の体は気にせずに心配してくれるなんて

まして、あんたは帝だというのにあたし個人を心配してくれた鷹男に

あたしは応えたい、もう遅いかもしれないけど・・・

帝の体調を崩す原因となるものが傍にいてはいけないかも知れない

でもあたしはあんたの傍にいたい!

そう決意したあたしは大皇の宮さまにお願いして

院御所にいる間はずっとあたしが看病を請け負おうと思ったの。

鷹男・・・ごめんね・・・こんなに辛い目に合わせてしまって・・・

あんたが目を開けた時、あたしの笑顔で癒してあげる。

早く元気になって頂戴

お願いよ鷹男・・・・・・・・・・


 

鷹男が倒れたからあたしは何か大変な病気にかかってしまったんじゃないかと

心配で心配で仕方がなかったの。

少し前から鷹男は風邪気味だったらしく、帝として健康管理も周りが凄く敏感で。

そして帝として十分に自覚がある鷹男も

しばらくはあたしの元に行かずに体を治すことに専念をしていた。

なのにあんたは何故こんな無理をしてしまったのよ。

自分の身勝手な気持ちで鷹男を振り回したあたしは

物凄く責任を感じてしまい動揺を隠せなかった。

ずっとあたしが看病をするつもりではあるけど

やっぱり周りがさすがに気を遣ってくれる。

どれだけいわれてもあたしは看病を変わる事はしなかった。

どれだけ経っても夜中中ずっと眠りもせずに鷹男の傍にいたわ。

そんなあたしが少しでも気が楽になるように

大皇の宮さまはあたしに話してくれた。

昨晩ここに無理して鷹男が来た理由・・・・・

鷹男は早めに体を休ませていたから風邪も軽くすんでいたの。

だから後2,3日であたしの元に来ようと計画していた時に

大皇の宮さまがあくる日あたしが高彬と大喧嘩をしたことをお話になったの。

そして高彬から詳しい理由を聞いた鷹男は

あたしの今の状態をより一層心配してしまって

あたしが泣いているんじゃないかと思いこちらに駆けつけた。

そうあたしに伝えてくれたの。

鷹男自体風邪も治りかけだったこともあったけど

昨晩は季節がいくら夏の終わりかけとはいえ風も強かった。

なのに御車では早く付けないからと馬で駆けたみたい。

ただでさえ風邪君の鷹男は馬で夜風にあったって

体調を急に壊し、ここであたしに会って安心して倒れてしまったの。

自分の体を気にせずにここに来てくれただなんて嬉しくて仕方がない。

そう涙をこらえながら鷹男を看病し続けていたら鷹男はうっすらと目を開けたの。

あたしは素早く笑顔になって鷹男を迎えた

 

「鷹男?目を覚ましたの?体は大丈夫なの?」

「・・・る・・るりひめ?」

「ふふふそうよ」

「あなたが泣いているんじゃないかとそう思っていました。」

「何を言っているの?鷹男!あんたのおかげで元気になったわ。」

「瑠璃姫にやっと受け入れて貰えたのでしょうか?」

「そうよ、あたしは鷹男の傍にずっといるわ。だから早く元気になって頂戴!」

「ふふふ・・・これは夢でしょうか?」

「そんなことない!あんたが好きよ!だからね」

「夢じゃないなら手を握ってください」

「鷹男!」

あたしはぎゅ~と手を握り、

鷹男が安心して目をつむったとしても、握り続けたの。


 

あれからあたしは高彬と離婚。

それからしばらくして鷹男の内侍となった。

まさか高彬と結婚したのに別の人と再婚するなんて自分でも驚いてしまう。

高彬は最初は離婚のことで大揉めになった。

だったら最初からあたしを迎えにきてくれれば良かったのにあたしを無碍に扱った。

代わりに鷹男はあたしを本気で心配して無理をしながら会いにきてくれた。

どちらに心が動くのか、考えなくても分かるもの。

今あたしの隣には鷹男が優しい眼差しで見てくれている。鷹男の本気の心があたしの心を離さない。

あたしは鷹男と一生過ごす。

幸せになれると信じて。

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