妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

太陽と月4

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あれから鷹男の本心を聞いてから毎日のように藤壺にやってくる鷹男。

もう鷹男と会いたくはない。

女は子供を産む道具としか思っていない男に体を許すだなんて絶対に嫌。

そう心では思っているのに体は鷹男を求めていく。

今まで鷹男は時間通りにいろいろな女性を渡っていった筈。

だから今日は来ないと思っているのに何故かやってくる。

なんで・・・なんでよ・・・・・

もうあたしの前では仮面をはらなくてもいいからやってくるというの?

早く跡継ぎを作らせるべく通ってくるの?

苦しいよ~鷹男・・・・

あんたの本心を知りたくはあったけど

こんな本心が知りたかったわけじゃないのに

こんなことになるなんて思いもしなかった。

あのまま鷹男の本心を知らずにただ御子さまを身篭り

鷹男を喜ばせるだけの方がよかったのかしら?

それは偽りの鷹男

本心を知らずにただ甘やかされるだけの関係にあたしが甘んじられるの?

そんなの冗談じゃない

偽りの想いなんていらない

でも鷹男の本心を知ったのも辛い

いつまでこんな事が続くんだろう

やっぱりあたしが御子さまを産むまでは求められるのだろうか?

優しさも労わりもないただ御子を作るだけの行為

苦しい

苦しいよ~

なんでこんなことになってしまったんだろう

どう考えてもあたしが悪いんだけどどうしようもないんだろうか。

 

 

 

 

 

 

鷹男は表面上はいつもと変わらない。

女房達がいる時はとても優しく紳士的。

そんな鷹男に会いたくないからあたしは鷹男を拒否する。

でもその行為はあってはならないこと

だから女房達も、そして一番の腹心の小萩でさえあたしの行動をよしとしない

周りは全て鷹男の味方

だから会いたくなくても会わされる

こんなに毎日通ってくる帝を拒否しようとするあたしが悪もの

そう日ごろから仮面を被っていた

鷹男の思い通りにことが進んでいるみたいだった。

そんなあたしに久しぶりに藤の宮さまが

あたしの御機嫌伺いにおみえになった。

藤の宮さまは鷹男の父上であられる

光徳院の妹宮さまで、今は亡き内大臣の未亡人なお方。

大海の入道事件で鷹男を陰で支えたお方だったから

その縁であたしも親交が深かった。

だから会えるのをとても楽しみにしていたのよ

 

 

 

 

 

 

 

 


「お久しぶりですわね。瑠璃さま。御変わりはありませんか?」

久しぶりに見た藤の宮さまはとてもお美しくて

うっとりしてしまう。

でもあたしは全く元気なんかじゃない。

何も言えずただあたしは下をむくしか出来なかった。

「瑠璃さま、何かやつれたような気がいたしますがどうかされましたか?」

ここで藤の宮さまに御迷惑をかけれない。

あたしはそう思い直し元気そうに話かける。

「申し訳ございません。藤の宮さまお久しぶりです。あたしは元気ですわ。」

凛として挨拶をしたあたしをじっくり眺めていた藤の宮さまは

美しい笑顔を見せてくれた。

「まあそうですか?瑠璃さまがお元気だと私も嬉しいですわ。

でしたら主上と楽しくお過ごしになられてみえるのですね」

そんな質問にあたしは嘘を言うことなんて出来ず

また沈黙するしか出来なかった。

「あら、瑠璃さま、毎日主上藤壺に通っていると言う噂

私の耳にも届いていますわよ。誠にお二人の仲はよろしい」

「やめてください!!!」

あたしはまだ藤の宮さまが話している途中なのに

言葉をさえぎってしまった。

だってあたしと鷹男が仲がいいと言う間違った認識を

これ以上思われたくはない。

優しく姉のような存在の藤の宮様まで騙したくはない、

そんな思いが強かった。

「瑠璃さま・・・やっぱり瑠璃さまでも鷹男の心は開けませんでしたか?」

「え!?」

何を言っているの?藤の宮さま、それってどういうことなの?

「瑠璃さま、鷹男は瑠璃さまを愛していると思いますわ。

瑠璃さまだけは特別だと」

「そんなわけありませんわ!!!

どうして!どうして藤の宮さまはそんな嘘をおっしゃるの?

鷹男は誰も愛していないわ!

藤の宮さまは何を根拠に鷹男があたしを愛しているとそうおっしゃるの?

あたしは・・・

あたしは・・・鷹男に直接特別じゃない、

あたしは跡継ぎを産むただの道具だとそう言われたんですよ。

そこまで言われておいて

鷹男があたしを愛しているだなんて絶対に信じません!そんなこと!」

あたしは藤の宮さまの前でも涙が出てきてしまった。

最近涙腺が弱くて仕方がない。

ここで涙をだしても仕方がないのに止めるすべを知らない。

しばらくしてから藤の宮さまはおっしゃられた。

「瑠璃さま・・・申し訳ございません。

瑠璃さまがそこまで追い詰められているだなんて知りませんでした。

しかし瑠璃さまは鷹男の特別であることは間違いないのですわ。

ですから瑠璃さま、今はお辛いでしょうが鷹男を信じてくれませんか?」

「なんで・・・なんでそんなことをおっしゃるの?藤の宮さま!

鷹男があたしを愛しているわけがありませんわ。

なのに何故そんなたわむれをおっしゃるの?」

「それは・・・・・・・・・・・・鷹男には深い闇があるのです。」

「闇?」

「ええ~ですから瑠璃さま、鷹男を信じてあげて」

「そんなの無理に決まってますわ。一体その闇ってなんなんですか?

教えてください藤の宮さま!」

「申し訳ございません瑠璃さま。

それはここでお話しすることは出来ません。ですが鷹男はあなたを」

「そんなことおっしゃられてもあたしは・・・・・信じれませんわ。」

あたしの言葉に藤の宮さまは残念そうな表情を見せた。

一体何を藤の宮さまは隠しているのだろう。

でも何を隠していても鷹男があたしを愛しているなんて絶対に嘘よ。

悲しい気持ちが更に強まっただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤の宮さまからあたしは鷹男にとって特別だといわれ内心は嬉しかった。

今でも鷹男はいつもの鷹男じゃないんじゃないかと

思うことがあるんですもの。

人がいる時は凄く優しくあたしを大事にしてくれる。

でも二人きりになると優しい仮面が剥がれ

あたしの全てを奪い去ろうとする傲慢さが感じられる。

このままあたしは何にもなすべきことも出来ず

ただ鷹男にとって跡継ぎを産むだけの道具としか

思われないようになるなんて、

なんて悲しいことなのか・・・・・・・・

子供を残すのは当たり前のことだとは思うの。

まして鷹男は帝なんだから何が何でも跡継ぎを残さなくては

跡目争いで後宮が混乱に陥るのは必至

それは分かる

分かるけど自分を愛してくれない、

まして道具としか思われていないのにそのまま何も考えず

御子を身篭るなんてできるわけがないわ。

いつも心は苦しんでいく。

最近同じことを思い日々生活をしていると思うのよ。















「「瑠璃姫、愛していますよ」」

「「あなただけを愛しています」

「「私を信じてください」」

誰?誰なの?あたしを愛してくれるのは誰?

あんたはもしかして・・・・・・・・・・・・

はっと思いあたりを見てみると隣では鷹男が眠りについていたの。

ふ~~

鷹男が愛しているだなんて言ってくれるわけがないものね。

あれは夢の中のこと。

あたしのただの願望が夢に現れてきただけなのね。

また涙が浮かんでくる。

鷹男に愛されたいのに現実とは違うことに更に悲しみが深くなっていく。

あたしは鷹男が気がつかないように端近に寄った。

外はとても綺麗な月が神々しく輝いていた。

あたしは毎日ふと目が醒め、月を眺めるのが日課となっていたの。

月はとても美しく輝いている。

でもその輝く光は太陽がないと輝かない。

だから月は太陽にいつも恋焦がれていると思うの。

でもね、太陽と月は同じ所を回っていても重なる事がないの。

どれだけ近寄ろうとしても距離は縮まらない。

太陽が好きで好きで愛していても太陽は月なんて気にもせず

他の星星にも光を平等に分け与えるの。

まるであたしと鷹男みたいだといつも思うのよ。

鷹男は沢山の女性に同じ愛情を分け与えなければならないのだから・・・

一つにだけ光を分け与えたら他の光が半減するかも知れない。

だからこそ太陽は平等でなければいけないの。

なんとなく鷹男の行動は分からないでもない。

でも感情がついていかない。

あたしは太陽に恋焦がれていても

実際は月と違い体を重ねることも多々ある。

だからこそ自分の他の女性にまで手を出す鷹男に嫉妬をするしかできない。

鷹男を愛していると自覚する前に鷹男の本音を聞けばよかった。

もう鷹男を愛してしまったのだから

その感情を消すことなんてできないのにね。

後悔しても遅いんだわ。

いつになったらこの悲しみは消えていくのだろうか?

 

 

 

 

 

 

何も変化がなく鷹男との生活が続いた。

あたしはやっぱりこの苦しみが心の傷となったせいか

最近食が細くなり痩せていったの。

周りは心配してくれるけど全然食欲がわかない。

だから甘い果物と少しの小魚を口に入れるだけだった。

そんなある日、今まで全くあたしに会いにくる事がなかった

あの高彬があたしに会いに来てくれたの。

高彬と結婚を夢見ていたのにあたしは鷹男の女御となってしまった。

あの日からもう1年はたとうとしていたの。

あの時は何もいえずに別れてしまった高彬には

申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

何で今頃あたしに会いに来てくれたのか?

元婚約者の立場でここを訪れるのは何かといわれるはずなのに

あたしに会いに来てくれた。

それだけで嬉しかった。

嬉しかったけどそれを顔に出すわけにはいかなかった。

とりとめない話が続き昔話に花咲かせ

久しぶりに楽しく過ごせたと思う。

でも長い事鷹男以外の殿方と一緒に過ごすことなどできない。

だからあたしは高彬にお礼を言い藤壺を退所して貰おうと口に出したの。

ところが高彬はあたしと二人きりになりたいと

とんでもないことを言いだしたの。

さすがにそれは無理と言いうことで小萩だけが残り、

ほかの女房達にはさがって貰ったの。

小萩はあたしたちを二人きりにはさせたくないみたいだったけど

すぐに何かがあればでれるように

次の間で待機してくれることになったのよ。









「瑠璃さん、やっと二人きりになったね。」

「ちょっとやだ、高彬。あたしはこれでもたか、

今上帝の女御なのよ。そのいい方は不謹慎だと思うわ。」

「くすくすくす」

「ちょっと何よ高彬!あんたなんで笑っているのよ!」

「くくく、いやごめんね瑠璃さん。

だって破天荒な行動をいつもする瑠璃さんが不謹だなんて言葉を

使うからさ~」

「あたしだってね、昔のあたしじゃないわよ。

これでも女御様なんだからね。

さすがに昔のあたしのままで居るわけにはいかないのよ。

そう・・・昔のあたしには・・・・」

だめ、ここで苦しんでいるあたしを見せるわけにはいかないわ。

あたしは高彬を裏切ったんだからしっかりしなくちゃ。

あたしが悲しんでいたら高彬が何かを思うかもしれない。

しっかりしなさい瑠璃。

あたしは自分を励ましながら精一杯の笑顔で高彬に答えたの。

「高彬、あたしは昔のあたしじゃないの。

もう女御になったんだから大人しくしてなくっちゃね」

あたしの言葉に高彬は少し考え込んだように言葉を重ねたの。

「瑠璃さん・・・・・・瑠璃さんは幸せかい?・・・・・・・・」

その言葉にあたしはすぐには答えることが出来なかった。

だってあたしは凄く辛いんだもの。

鷹男の気持ちが分からなくて毎日苦しんでいるのだもの。

高彬と一緒にいた時はこんな苦しい気持ちになったことがなかった。

高彬の愛情をいっぱい与えてもらっていたし穏やかな恋だった。

このまま黙っていては高彬が不審に思うわ。

あたしはこの言葉を言うのは苦しかった。

でもここで言わないといけない。そう思いあたしは口に出したの

「あたしはしあわせ!何でそんな事を聞くのよ高彬の馬鹿!」

いつもの調子であたしは高彬の背中を叩いて言葉をごまかした。

お願いだからもうここから去って頂戴!高彬!!!

そんな願いを思いながら言葉を重ねる

「久しぶりに会ったと思えば変な事を聞いて

高彬は本当に心配性なのね。あたしは・・・

あたしは幸せだから、幸せなんだから今日は帰って頂戴。

久しぶりにあんたに会えて

気持ちが昂ぶったようだわ。少し疲れたの。」

あたしは言いながら早く高彬が

この藤壺からいなくなることを願っていたの

そして高彬は言った。

「分かったよ。瑠璃さん、また遊びに来るね」

「ええ~ありがとう!高彬!

あんたに久しぶりに会えて本当に嬉しかったんだからね」

「うん、分かったよ瑠璃さん。また少ししたらこの藤壺に顔を出すね」

「ありがとう高彬」

そして高彬は藤壺を出ていったの。

お願い高彬・・・・高彬・・・・待って・・・

あたしは幸せなんかじゃない・・・・・

幸せなんかじゃないの・・・・・・・・・・

あんたを裏切っておきながらこんなことを思うなんて

とんでもない女よね。

でも苦しいんだよ・・・高彬・・・・高彬・・・・・・・・・・

高彬がいる間はなるべく笑顔でいようと思っていた。

でも今はここには居ない。

だったらあたしはもう自分の気持ちと

正反対な表情をとらなくてもいいのよね。

安心したからかな~とり留めもなく涙が流れていく

声を上げることはない。

でも涙が溢れては溢れては下へと流れていくの。

今だけ・・・今だけは泣かして・・・・

最近泣き過ぎてもう涙も出ないと思っていたのにまだ出てくるのね。

そんなことを思っていた時

ふわ~~~と後ろから誰かに抱きすくめられたの。

「?????」

なんで・・・・なんであんたがここにいるのよ・・・・・・・

なんで・・・・・・

「なんで・・・なんでよ高彬」

何で戻ってきちゃったのよ。

あたしがどんな思いで笑顔を浮かべていたと思うのよ!!!

「何で!!!」

あたしは思わず抱きすくめられているのを振り払い

思わず詰ってしまった。

そうしたら高彬は優しそうな表情であたしを見つめた。

「瑠璃さん、僕が瑠璃さんの嘘を見抜けないと思っていたのかい?

僕がどれだけ瑠璃さんのことを知っていると思うんだ。

瑠璃さん自身が気がつかないことまで僕は知っていると思うんだよ」

「でも・・・でも!」

「瑠璃さんは幸せなんかじゃない。

いや今はけして幸せなんかじゃないよ。

女御さまになった時の

瑠璃さんと今の瑠璃さんは全然違う。

あのころの瑠璃さんはとても幸せそうだった。

幸せそうだったから、

だから僕は瑠璃さんを諦めようと思ったんだよ。

なのに今の瑠璃さんはなんだい。

瑠璃さん、気がついているかい。

どれだけ痩せたと思っているんだよ。

痩せていないように衣装を重ね、

顔色をよくしようと化粧でごまかそうとしても僕には分かるよ!

僕はずっと瑠璃さんをみつづけてきたんだから・・・・

僕は今でも瑠璃さんを愛しているんだから!!!」

「高彬・・・・」

高彬の言葉にあたしは心が揺れた。

欲しい言葉を簡単に言ってくれる高彬の言葉に酷く渇望したの。

昔好きだった人にあいの言葉を囁かれて揺れない女なんていないわ。

いないと思う・・・・・・そう思うけどあたしの愛する人ではない。

でも揺れる気持ち。

傷つきすぎた心に響く甘い言葉にあたしは癒されていったのよ


 

 

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