太陽と月9
あまりにも沢山のことを知りすぎて混乱してしまった。
小萩はかなり前から鷹男があたしに
愛の言葉を囁いているのを見かけたらしい。
あれは唐から送られてきた貴重な香。
それは鷹男があたしのためにと贈り物としてくれたものだった。
小萩が聞いた話では
体をリラックスさせるのと眠りを深くしてくれる作用を持つ。
あたしはあの香を焚いて眠りにつくと
いつも幸せな気分になっていたのは香の作用と
鷹男があたしが眠りについたのを見て寝顔を毎晩見に来ていた。
あの幸せな夢。
鷹男から愛の言葉をもらえた夢は現実だったと言うの?
信じられない・・・・・・・・
直接言われたわけではないから現実味がないの。
別に小萩が嘘を言っているとは思わない。
でもあんなに苦しめられたあたしは
そんな都合がいい事をすぐに納得できるわけがなかった。
あたしはしばらくの間鷹男に本心を聞く事をせず
様子を見るしかなかった。
あの場面に遭遇しなければ
あたしはあのまま鷹男を信頼する事などできなかったのだから・・・・・
しばらくして久しぶりに大皇の宮さまがおみえになったの。
急な訪問に後宮は慌ただしく騒がしかった。
大皇の宮さまが管弦の宴を開いて欲しいと鷹男に頼んだらしく
沢山の女性達がその準備に大慌てだったの。
麗景殿に入られた大皇の宮さまは女御だけではなく
鷹男と噂された女官たちも呼び
久しぶりに華やかな宴が催された。
あたしは本当なら参加したくはなかった。
でも大皇の宮さまに逆らえるものなど
鷹男の帝か光徳院しかおられない。
だからあたしはしぶしぶ麗景殿に行くことにしたの。
皆煌びやかに飾られとても美しかった。
少しでも帝に情けをかけられたくてその熱意が伝わってくる。
こんなに沢山の女性が鷹男の寵を競っているんだわ。
自分もその立場なのにあっけにとられてしまったの。
そうしてさまざまな女性たちが楽を弾き和やかに宴が始まった。
楽が終わり宴も終焉に近づいていたと思うの。
自信がないのはあたしは楽をたしなう教養はなかったから
だからぼ~と聞いていただけだった。
そのとき何があったのかもよく覚えていない。
バンっ
急に鷹男がまだ宴の途中だというのに
退出してしまったのだから・・・・・・
あたしは不思議だった。
何故鷹男が宴を中座したのかそれも分からない。
ただ鷹男が急にいなくなったのは怒りに任せてということだけ。
一体何に怒りを感じたのか誰にも分からないようだったの。
大皇の宮さまが何か一言おっしゃられた後急に退出した。
分かっているのはそれだけだったの。
鷹男が中座したといっても大皇の宮さまを歓迎するための宴の席。
だから大皇の宮さまは理由はおっしゃられなかったけど
鷹男の体の不調をいわれただけですぐに
お開きになることになってしまったの。
あたしは何故か胸騒ぎがしたの。
大皇の宮さまは鷹男の実の母君ではなく叔母と甥の関係
大皇の宮さまの言葉の後に中座した鷹男
気になる・・・・・・・・・・・
あたしは鷹男の元に行くことにしたの
多分清涼殿のはず・・・・・・・・・
でも正規のルートで行ったら止められてしまうに決まっている。
だったらあたしはあたしなりの道筋で
清涼殿にいる鷹男に会いに行こうとそう思ったの
自分の姿は正装している。
だから誰もいなさそうなところに
次々と衣装を脱ぎ捨てあたしは身軽な格好になった。
そうして床下を潜りながら鷹男がいる場所に向かった。
途中大皇の宮さま一行が後宮に戻っていくのを見かけたのだけれど
それの方が都合がいい。
あたしは清涼殿につく事ができた。
庭先から縁側に近づくと中に人がいる気配がしたの
多分鷹男だと思う。
ばれないようにあたしは少しずつ鷹男に近づいていったのよ
案の定部屋には鷹男がいた。
あたしは少しずつ近づいていく。
そのとき鷹男の険しいそして悲痛な叫び声が響き渡った!
「いい加減にしてください!!!
何度もいいますが私は瑠璃姫を特別扱いなどしていません!!!
特別扱いなどできるわけがないではありませんか!!!!!!!
あなたはこれ以上私の苦しむ姿を見たいというのですか?????
分かっています!分かっていますよ!一人を愛することは禁忌だと!
しかし・・・しかしこれ以上姫を・・・瑠璃姫を苦しめたくない!
苦しめたくはなかった!
姫を愛していると・・・愛していると告白をしたい!
でもしてはいけない!そんなこと百も承知です!
ずっと母上に言われてきたのですから・・・・
私は誰かを愛さない・・・愛する資格などない・・・
でも・・・でも・・愛する人が傍にいるのですよ・・・・
直接愛の言葉を言えないのですから後宮にいて欲しい!
いくら母上が言われてもまだ瑠璃姫を里下がりさせたくはありません。
そして瑠璃姫がいる間だけは・・・今だけは・・・・
他の花を愛でるなど・・・・そんなことは・・・」
!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!
!!!!!!
あまりにも悲痛な叫び。
鷹男の切ない叫びを間近で聞いてしまったあたしは
鷹男の切な過ぎる
背中があまりにも哀れで何も言わずに後ろから抱き締めた
鷹男・・・・鷹男・・・・鷹男・・・・・・・・・・!!!!
何故!何故あんたがこんなに苦しまなくてはならないの?
何故!何故だったの?どうしてもっと早く
早くあたしに言ってくれなかったのよ!
「鷹男!!!!!!」
あまりにも切な過ぎる叫び声に
あたしはこれ以上鷹男に声をかける言葉が見つからなかった。
この場にいるはずがないあたしの存在に
鷹男はやや硬直してしまったけどあたしだと認めたのか
緊張した体がややほぐれて
後ろから抱き締めたあたしの手を握り返してくれた。
どれだけ時間がかかったのだろう。
あたしの方から鷹男の表情を見ることは出来なかった。
でも体は少し震えていてかすかに涙が流れているように見えた。
そんな姿にあたしは気持ちが苦しくて仕方がなかった。
早く自分の方を向かせ鷹男の体をぎゅと抱き締めて
鷹男と気持ちを分かち合いたかった。
それなのに鷹男はけしてあたしの方を向くことはなかったの。
しばらくして鷹男はあたしの方にやっと顔を向けてくれた。
まるで今のことは何でもなかったかのように
表情は何を思っているのか分からなくなっていた。
まるで仮面を付けたかのように鷹男は話し始めたの。
「瑠璃姫、どうなされたのです。
あなたがこの清涼殿にくるよう私は召し上げていませんが。」
「え!あの・・・・」
あたしは言葉に詰まってしまった。
だってあんな・・・あんなに苦しく切ない告白を聞いた後に
何でもないように話かけてくる
鷹男の真意が全く分からなかったのだから・・・・・・
あたしがあたふたと暴れていたためか
鷹男はあたしをじっとみてさらに不信を抱く。
「瑠璃姫!どうされたのですそのお姿は!」
「あっ・・・」
そういえばあたしは鷹男にどうしてもあいたくて
表着を一枚着ただけの身軽な姿になっていたのだから
・・・・・・・
でもあたしのことをよく知っている鷹男は呆れた顔で言葉を発したの。
「瑠璃姫・・・あなたはまさかその身軽な姿にやつして
床下にでも潜り最短距離で後宮から
この場所まで来たのではありませんか?
通常の通路から来たら先程まで私にいろいろおっしゃられていた
母上に見つかってこちらにはこられませんものね。」
「えっと~あはは・・・・そのう・・・・鷹男が心配だったから・・・」
「心配?あなたが私を心配ですか?
そのような戯言を言うなんて瑠璃姫はとてもお優しいのですね。」
「・・・・・・・・・・・・・」
むかむか・・・・むかむか・・・・・・・・・
あたしは段々腹が立ってきたの。
昔のあたしならすぐに鷹男に食って掛かって
そのまま鷹男ともう話すことなどしなかったと思う。
でもこれは鷹男がわざとあたしを
怒らせようとしているんじゃないかとそう思ったの。
御生母さまのこと、そして先ほどの切な過ぎる叫び。
あれを聞かなければあたしはまた同じことを
繰り返し鷹男を救うことなど出来ないかもしれない。
鷹男はあたしをわざと挑発している。
早くここを去るように仕向けようとしているんだわ。
あたしはここで後悔したくない!
せっかく鷹男の告白を聞いてしまったんだから
あたしは鷹男の闇を取りはらわってあげたいの。
だからあたしを拒絶しないで頂戴!
「鷹男、あたしさっきの告白を聞いたわ。
そして御生母さまのことも・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「あたしはそんな事情なんて知らずに
鷹男に愛して欲しいと無理な問題を押し付けてしまっていたのね。
本当のことなんて言えるわけがなかったのに
なのにあたしは鷹男を苦しめ続けてしまった。
だから・・・・だから・・・・ごめんなさ!!!!!!!」
「やめろ!!!!!!!!!!!!それ以上は・・・・・
それ以上は言わないでください!!!」
「え!!!!!」
「もうこの話は終わりました。
ですからもうこの話題は終わりにしましょう!」
「何でよ!何でよ鷹男!!!
あんたはあたしとはしらずに言ったのかもしれないけど
あんたはあたしを愛してくれている。
あんたは瑠璃姫を愛しています。そういったじゃない!!!
なのにその言葉を否定すると言うの?あたしのことを愛していないの?」
「止めて下さい。止めて下さい。」
「何でよ!!!!あたしはあんたの言葉がほしかった。
愛していると言ってほしかったのに
なんで我慢するのよ!
あたしはその言葉が聞きたくて聞きたくて仕方がなかった」
「黙ってください!!!!!瑠璃姫!!!!
あなたは全然私のことを分かってくださらない。
だからここで話をやめましょうとそういったのですよ!
なのに何故あなたは
私の心を苦しめ、悩ませ、あなたの言葉一つで
感情が揺れ揺さぶるというのに全く分かっていない」
「だって・・・・鷹男は御生母さまのことがあるから
一人だけ特別扱い出来ないから、だから
告白してくれなかったんじゃ」
「その通りですよ!!!私は瑠璃姫!
あなただけを愛しています。あなたをずっと愛していたんです。
ですが私は一人だけを愛することは出来ません。
沢山の女性を娶らわなければならない身分でもありましたし、
院や大皇の宮にもクドクドと言われましたよ、特別なものは作るなとね。
そう心がけていましたがあなたと出会って恋をしてしまった。
だからこそその恋心を消さなくてはならない。
そう思ったのに体は勝手に動き
あなたを高彬の前から奪い去り女御へと迎えてしまった。
あなたを女御にしたとしても
あなたの気持ちが私のものになるわけがなかったのに。
あなたは今でも高彬を愛して見えると言うのに私は・・・・・・・」
あたしは熱烈な告白に凄く感動をしてしまったの。
聞きたかった言葉がやっと鷹男の口から聞く事ができたんですもの。
でも?????今高彬のことを鷹男は言った?何故????
なんで今さら高彬の名前が出てくるの?
あたしは鷹男を愛してしまったのに
だから苦しんだと言うのに何で?
「なんでここで高彬の名前が出てくるの?」
「何をおっしゃられているのです。瑠璃姫は今でも高彬のことを!」
「ちょっと待ってよ!あたしは鷹男の元に入内してから
高彬のことなんて殆ど思い出さなかったわ。
あたしは鷹男を好きになってしまったのだから・・・・」
「瑠璃姫!あなたこそ
私に愛していると言う言葉を求めてくださいましたが
私にその言葉を話されたことなど一度もありませんよ!」
「えええええええええええ~~~~~~~~~~~嘘!
あたしは鷹男だけを愛しているのよ!!!!」
「瑠璃姫あなたは私を怨んで見えたのではありませんか?
婚約者であった高彬との仲を無理やり
引き離してしまったのですから・・・」
「それは初めはそうだったけどあたしは鷹男を愛してしまって・・・」
なんだか馬鹿みたい。いいえ、これはあたしが一番いけなかったんだわ。
自分で愛していると言う言葉を言ったつもりだった。
まさか自分の気持ちが鷹男に通じていなかっただなんて
思いもよらなかった。
最低だわ。あたしは最低な女ね。
自分だけが苦しんでいるつもりだった。
まさかこのことで鷹男を苦しめてしまっただなんてね。
あたしの我儘な行動のおかげで
あたしたちはかなり遠回りしてしまったんだわ。
このままではあたしは気がすまないわ。
どうしたら・・・・・どうしたらいいのだろう?
このまま鷹男を凄く凄く傷つけてしま
ったのに
のほほんと一緒にいられはしないわ。
・・・・・・・・・・
覚悟を決めてあたしは鷹男に話始めた。
あたしは御子さまを御生みしたらもう後宮には戻らない。
ここまで皆を苦しめてしまったのだもの・・・・・
「あのね鷹男・・・・」
「瑠璃姫・・・ダメですよ。私の傍から離れようとするなんて」
「何でよ!あたしはあんたに酷いことをしてしまったわ。
自分の気持ちも言わず鷹男の気もちを
聞く事しか頭になかったのだもの。
鷹男にはいろいろな大事な事情があったと言うのに
無理な願いばかり言って・・・・・・
その上あたしはあんたを怨んでいたのよ!
あたしを愛してくれないから、
酷いことばかりしてくると本心を言ってくれないことに
不満を抱きあんたを攻めてばかりいたのよ!
求められることにあぐらをかき、
あたしは鷹男のことなんて全然・・・全然・・・・・うっ・・」
今までは悲しすぎる涙ばかりだった。
なのに今は悔し涙がでてきて仕方がない。
どうしてもっと鷹男のことを思ってあげなかったの!
自分のことばかりで鷹男の気持ちなんて
全く思いもしなかった。
どんなに苦しんでいたのかそれさえも気がつかず
あたしはなんてやつだったのよ。
鷹男に申し訳ない気持ちが強くてどうしたらいいのか
さっぱり分からなくなってしまったのよ。
あたしはとにかく謝ることしかできない
「鷹男・・・鷹男・・・・ごめんなさい・・・
ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・・」
しばらくあたしを眺めていた鷹男が少しあたしに近づき
手があたしの頬に触れる瞬間あたしは殴られる!
そう思ったの!でも仕方がないことだと
正面を向いて受け止めなくてはいけない。
あたしは目をつむることなく鷹男を受け入れる。
そして覚悟を決めたあたしには鷹男からの熱烈な口付けが降り注ぐ。
激しくあたしの言葉を吸い取ってしまうかのように熱く、
息が出来ないほどの情熱で、口をふさいでいく・・・・・
「鷹・・・・・あ・・・んん・・・っ・・・・・」
とろけるような口付けにあたしは酔ってしまう
そして・・・・
「瑠璃姫。あなただけを愛していますよ!」
「あたしも・・・・・・あたしも・・・・・
あんたを愛しているわ!!!!!」
あたしたちは熱い抱擁を交わした。
今まで言えなかった、言わなかった言葉・・・・
愛していると・・・・・・
お互い言いたりない位だったのですもの・・・・・・・
永遠に続くかのように、あたしたちはずっと言葉を重ねて言ったのよ
「愛しています」
「愛しているわ」
「愛しているのです」
「愛してる」
「「あなただけを」」
あたしたちはずっと何度も同じことを囁きつ続ける。
飽きる事など絶対にないわ。
お互いこの言葉に飢えていたのですもの。
幸せな言葉。
いえなかった言葉。いわなかった言葉。
理由は違うけどそれぞれあたしたちは苦しみ続け
やっとこの苦しみから開放されたんだと思う。
あたしと鷹男はお互いを見合わせ笑顔を交わす。
鷹男はあたしの手を握り締めこう語り始めた。
「私は実母である母宮を亡くしたことで
人を愛することを禁じられました。
一人を特別に愛することは禁忌だった。
ずっとそう懇々と言われる続けていたので納得していたはずだった。
しかし、あなたという素晴らしい姫に出会えた。
そしてあなたなら、もしかしたら私の闇を払いのけてくれる、
そう思ったのです。
しかし自分に自信がなかった。
自分は一人に特別愛を注ぐことが出来ないくせに
あなたにはそれを求めようとするのは、卑怯なのではないかと。
ましてあなたには高彬という婚約者もいた。
自分の境遇を中々言えずどんどん心は沈んでいってしまいました。
あなたから愛していると言う言葉を
一度も聞く事ができず、
あなたは高彬をずっと想って見えるのだとそう思っていました。
初めからあなたの気持ちをきちんと聞けばよかったのに・・・
遠回りしてしまいましたね」
「鷹男・・・・・・」
「ふふふ・・・高彬には嫉妬してしまい
あのような罠にもかけてしまいました」
「嫉妬って・・・鷹男、あんたは高彬のこと気にしていたの?」
「それはそうですよ。あなたからは好きだとしか言葉はもらえず
なのに急に高彬は接近してくるし
どれだけ嫉妬し、苦しんだか。
あまりにも嫉妬した私は、
あの時鬼にでもなってしまったのでしょうね。
あのままだとずっと高彬にあなたを奪われてしまうと思い詰め
私は罠にはめ、あなたを後宮から連れ出せないようにしてしまいました。
本当なら京から追い出したい気持ちも合った。
しかし右大臣家の動きもある。
だからあのような形で処分しました。」
「鷹男!高彬を許してあげて。
あたしがお願いすることじゃないかもしれないけど
でも高彬は私のためを思って・・・・」
「そうですね。あなたの気持ちが
高彬にないということが分かった今なら
私は高彬には済まないことをしてしまったと思います。
準備をして高彬が早めに殿上できるようにいたします」
「お願いね!」
あたしがそういった矢先鷹男の表情が少し曇ってしまった。
「どうしたの?」
「ふう~あなたはどうして男心が鈍いのでしょうね」
「何よ!」
「あなたの心の中を占めるのは私だけです。
早く高彬をあなたの心の中から取り払ってしまいたい。
あなたの口から高彬のことを聞くたびに
私の心は苦しみ、血の涙を流すのです」
「やだ。大げさね~」
「大げさではありません。私だけがあなたを愛しているのです。
あなたの心を占めるのは私だけだと約束してください」
あまりにも激しい独占欲にあたしは面食らったけど
それでも嬉しくて仕方がないあたしは大きく首を縦に振ったの。
鷹男は満面の笑顔であたしを抱き占めてくれたの。
そしてあたしから離れた鷹男は
もう一度生まれ変わることを口にしたの。
「瑠璃姫、もう一度やりなおしましょうか?」
「え!」
「瑠璃姫、あなたのことが好きです!
愛しています!私の女御になってくれませんか?」
初めてあたしに言ってくれた求婚の言葉。
あたしは嬉しくて仕方がなかった。
当然あたしは元気よく「はい」と返事をしたのよ。
それから鷹男はあたしに文を届けてくれる。
帝じゃなくてただ一人の男としてあたしに文をくれる
求婚の文を、熱い想いが綴られた文が毎日届く。
あたしは強引に鷹男の女御になった。
これを悔いていた鷹男はやり直すためにあたしに
初めから求婚することに決めたの。
あたしたちは一緒になってから心が離れすぎていた。
でもやっと心が重なり二人の心の距離を少しでも
縮めるために必死になった。
でもそれがお互いどれだけ心が喜び充実しているか・・・・
少し前まで苦しんでいたのが嘘のように気持ちが落ち着き
幸せを実感している。
さまざまな背景があった。
鷹男はとても苦しんだわ。
その苦しみに気付かずにいたあたし・・・・・・・・
あたしは次はどうしたらいいのだろう~
今度こそあたしは鷹男を幸せにしてみせる。
もう心に決めていたの。
小萩を呼びあたしは鷹男を幸せにする行動に移り始めたのよ。