妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

太陽と月10終

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戌の刻

外は降りしきる雨音はやまない

この場所では御所と変わらないほどの警備は物々しく

不審者は絶対に入れない。

その場所にある姫君が中に入って行く。

あるお方の力を借りて、自分の愛するもののため、

そして自分のためにも決着をつけなくては

ならなかったのだから。





















御帳台には高貴なお方の姿があった。

「宮さま今日はお疲れでしたでしょう。お早めに体をお休めください。」

「絵式部、今日は藤の宮が来てくれたから明日は何をしようか。

あの子は何でもできるお方だから

楽でも弾き皆で楽しみましょうか」

「はい、明日は楽しみでございますね」

「ここ院御所では華やかなことはあまりできないが、

院も少しは元気を取り戻されることでしょう。

明日は楽しみだのう。」

「はい宮さま。それでは私は自分の局に戻ります。

何かあったらすぐにでもお呼びください」

「ありがとう絵式部」

二人の声が聞こえなくなり御帳台の主である大皇の宮が

明日に備えて褥に入ろうとした

その時

不審な声を耳にする

一体ここに誰が忍び込んだのか?

この厳重な院御所に入り込むとんでもない輩は誰なのか?

緊張をする大皇の宮の耳に、聞いたことがある声が聞こえてきた。

「大皇の宮さま、私は不審なものではございません。

申し訳ございませんが私は宮さまと二人きりで

大事なお話がしたいのです。

今から御帳台の中に入ります。静かにお願いします。」

まだ若い女の声がする。

ここに仕える女房の声ではない。

ここ院御所には若い女房は一人も仕えていない。

なのに今聞こえる女の声はまだ若い。

一体何の用があるのか疑問ではあるが

大皇の宮は命の危険を感じなかったためとりあえずその女の

いうとおり中に入るのを許した。

そして不審者はこの場にいるわけがないものであった。

二人きりで言葉を交わしたことはない。

だが公の場では挨拶のようなことではあったが

何度も言葉を交わした藤壺の女御がここにいたのだ。

あまりにも驚き言葉が出なかったが、藤壺の覚悟をした目を見て悟った。

この女性なら今上を支えることができるかもしれない。

姉上ができなかったことを彼女なら成し遂げるかもしれない。

藤壺の決意を私は悟った。


 

 

 

 

後宮というのは魔物が潜む場所。人間という魔物が・・・

さまざまな思惑により数え切れない人間が犠牲になってきたと思う。

表は華やかである後宮ではあるが裏ではさまざまな駆け引きがある。

そんな危険がいっぱいな後宮であたしは鷹男を、

そしてお腹の中にいる我が子を絶対に守らなくてはならない。

そのためにはあたしはある方と決着をつけなくてはならなかったの。

あるお方とは鷹男の母宮である大皇の宮さま。

御生母さまではなくても実の叔母。

鷹男に一人の人を愛することを禁じたお方。

人の心を制限なさったあのお方は

多分あたしの存在が邪魔で仕方がないと思う。

大皇の宮さまとは公式の場で何度も言葉を交わした。

あの頃はまだ鷹男もあたし一人に執着は見せていなかった。

だから大皇の宮さまはいつも優しい言葉をあたしにくれた。

しかし、あたしが御子さまを身篭った後態度が急変した。

表情は優しげではあったけど何度も鷹男を独り占めしないように文が届いた。

二人きりでお話をしたことはなかったけど

他の女御がいた時も何故かあたしには冷たい態度だったように感じた。

まさか御生母さまは殺され、双子の妹が

鷹男の母として君臨しているとは思いもよらなかったのだから。

あたしはやっと鷹男と愛し合うことが出来た。

気持ちを重ねることが出来た。

でもここで終わる事はできない。

大皇の宮さまと話をしなければまた元通りになってしまうのだから・・・

あたしは藤の宮さまに相談し院御所に入る手伝いを頼んだ。

藤の宮さまは驚かれ、あたしが院御所に忍び込むことに反対をされた。

大皇の宮さまはあたしのことを快く思っていないのだから・・・

身の危険はないとはいえ女御が後宮をでることなんてあってはならない事

だけどあたしの決意は固かった。

あたしは藤の宮さまのおつきの女房の一人として院御所に入った。

そして大皇の宮さまと対面を果たしたのよ。

「大皇の宮さま、

あたしを静かに迎え入れてくださってありがとうございます。」

「挨拶はどうでもいい。そなたは何しにここにきたのだ。

院御所とはいえ危険を試みず何ゆえ

このようなところにまできたのです。」

「そんなのたか・今上のためです!あたしは今上を愛しています。

あの人しか欲しくありません。

あの人が帝じゃなくてもそれでもあたしはあの人を愛したと思います。

でも・・・でもそれだけじゃ駄目なんです!

あなた様や院のお力が必要なのです。

今上は愛を恐れています。あたしだけを愛したことで

不安が募りあたしに優しく言葉をかけてくれても

あたしに何かがあるんじゃないかと不安で仕方がないんです。

その不安を取り除くためには

院や大皇の宮さまがたのお力が必要なのです!

あたしは何があっても

今上をお守りいたします!

ですから・・・ですから今上とあたしの仲を許してください!

お願いします。」

あたしは必死で大皇の宮さまにお願いをしたの。

あたしたちが幸せになるには院と大皇の宮さまの

お力が必要なの。

昔から心を二人に支配されてきた鷹男。

このままお二人に反対されたままで鷹男が嬉しいわけがないのですもの。

あたしは自分の願いを言葉にして頭を下げた。

どれだけ時間が経ったのか、

時間はかからなかたのか分からなかった。

あたしは必死だったのだから。

そして大皇の宮さまはおっしゃられた

「姉上もあなたのような強さをお持ちだったら

そうしたら今上も院もそしてこの私も

こんなことにはならなかったのでしょう。

藤壺の女御。

これからいうことは自分の墓の中までもっていこうと

思っていたことです。

院でさえお知りになっておりません。

私だけ私しか知らないことです。

今上に真実を語るのか語らないのかはあなたの判断にお任せします。」

そういって大皇の宮さまは長い長い昔話を話されたのよ

 

 

 

 

 

 

 

 


「私と姉上は仲がよい姉妹だったの。

でも双子だったためこの時代禁忌とされていたから私の存在は

世間に知られる事なく邸に軟禁状態だった。

本当なら寂しくて苦しくて仕方がなかったと思う。

この世を呪っていたと思うわ。でも姉上がいた。

女御になっても姉上は私を内緒で後宮に呼び

入れ替わりごっこもさせてくれた。

昔から姉はあたしを少しでも外に出してくれていたの。

そんな姉上は院の女御となって凄く幸せそうだった。

帝は本来一人を特別扱いしない。

何故なら女御に上がる女性の裏には

さまざまな貴族が後ろに控えているのですもの。

まして内は身分はいくら高くても後見人としての力は不足していた。

それでも姉は周りからいろいろされてもびくともなされなかった。

あのままだったらよかったのに・・・・・

あのまま院が沢山の女御を蔑ろにさえしなければ

そうすれば姉上はあんなことにならなかったのに!」

「大皇の宮さま?」

「ごめんなさいね・・・

そうして院が姉上をあからさまに寵愛され今上が宗平親王

誕生されたの。

姉上が次期帝候補を御生みになり

周りのものは院に更に不信感を抱き始めていたの。

当然院は自分が愛する姉上との間に出来た宗平親王

次期帝にしたくて仕方がなかった。

でも周りがそれを許さない。

気丈な姉上は段々心が病んでいってしまったの。

自分を守ることにより貴族との仲が次第に悪くなり

どんどん院に不審を抱くものが多すぎることに・・・

そうして姉上は自分で命を絶たれてしまったのです」

「え!?」

なんで?御生母さまは誰かに暗殺されたって

藤の宮さまも、そして鷹男もそういっていたのに何故?

「今上も当然知りません。何度も言いますが

私は自分以外に真実を話すことなどしないとそう思っておりました。

しかし、あなたの決意を目にして考えを変えました。

あなたなら姉上が一番大切にされていた今上を

お守りになることができる!

あなたなら姉上のように自分が身を引くようなことはなさらない。

だからお話しました。」

「何故御生母さまはご自分でお命を絶たれてしまったのです!

そんなのおかしいではありませんか?

自分の愛する息子を残して自分だけこの世を去ろうとするだなんて!

そのために・・・・

そのためにどれだけ鷹男が苦しんできたのか

大皇の宮さまはお分かりになっていません!」

あたしは涙が目頭に溜まるのをこらえながら

大皇の宮さまに思わず怒鳴ってしまった。

この時鷹男と思わず言ってしまった事にも気がつかないほどに。


どうして愛するもの達を残してこの世を去ってしまったの?

このまま御生母さまが鷹男を慈しみ愛してくれていたなら

鷹男は苦しむことなく生きることが出来たはず。

なのにどうしてなの?

あたしの言葉に大皇の宮さまは少し苦しそうに見えた。

そしてあたしに話をしてくれた。

「姉上はこの世を去りたかったわけなどありません!

しかしこのままでは院もそして今上も守る事ができなかったのです。

あのままであったなら院は貴族達に

退位を申し込まれるはずだったのです!

もしそうなったら今上もどうなっていたか!

院にどれだけ姉上を特別扱いしないように忠告しても

それをやめる事はされなかった。

だから姉上は自分がいたら院は破滅に向かってしまう。

そう思われた姉上はもともと入れ替えごっこ

後宮を大体把握していたあたしに今上と院を頼むと言い残し

この世を去ってしまったのです」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

あまりにも衝撃的過ぎる真実!

御生母さまはどんな思いでこの世を去っていったのだろうか?

愛するものを自分の写し身に託し院と鷹男を守っていった御生母さま。

でもこの世からいなくならなければならなかったの?

生きていればよかったんじゃないの?

あたしの表情を見た大皇の宮さまは穏やかに話された。

「いつもの姉上だったら死を選ばなかったかもしれない。気丈な姉だった。

けれど、気が強い姉ではあったけど

院の前では女らしく御淑やかな姉だった。

院に守られるのが似合う人だった。

あの時院にどうして姉は相談しなかったのか?

貴族の陰謀をどうして伝えなかったのか。

そのことを私は今でも悔やんでいます。

でもね、院に守られていた姉は凄く幸せそうだったわ。

あたしをいつも守ってくれた優しい姉上よりもね。」

あたしは全てを聞き更に強く決心をしたの

「大皇の宮さま!あたしは簡単には死にません!

ずっと長生きをしてやります。

下手な貴族には負けるわけがありません。

あたしはあたしなりに鷹男を守って見せます!

そしてこのお腹の中の御子さまも

鷹男と力を合わせて幸せにします!

だから大皇の宮さまあたしにお任せください!」

あたしの力の入った台詞に安心をなさった大皇の宮さまは

黙ってあたしに頭を下げた。

あたしは慌てて大皇の宮さまに頭を上げるようにいっても

しばらくは上げられなかった。

そしてあたしを受け入れてくれた大皇の宮さまは

あたしたちを応援してくれることを言葉にしてくれた。

あたしはこのことは今は鷹男に話さない。

でもいつか鷹男には真実を語ろうと思う。

鷹男を守ってくれた御生母さまと

その死後守り続けてくれた大皇の宮さまには

感謝の言葉を言い表せないほどだった。

あたしは二人の母上さまの意志を受け継ぎ鷹男を守って生きます。

これからも幸せになります。

どうかお二方、あたしたちを見守っていてくだいね。

後宮はさまざまな思惑が飛び交う危険な場所

どんなことが待ち受けているかわからない

それでもあたしはけして鷹男の傍から離れないわ。

鷹男を愛しているのだから・・・・・・・・・・・・・・・

幸せになろうね鷹男!!!

 

 

 

あれから、あたしは後宮の女性たちを味方につけるべく

女房の姿になってか弱い女性たちを守るようになるけれど

そのおかげで、少しずつあたしは女御として力をつけていくようになる。

鷹男が帝の責務から苦しんでいるのだから、その苦しみを少しでも

軽減してあげたい。

少しでも認められるよう頑張ろうと思うわ。

 

 

 

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