妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~揺れ動く恋心3

いつもと変わらない生活だった。

あたしは恋がしたかった。

本気で自分が惚れて、そしてそんな相手に愛されたかった。

それがあたしの今の立場で出来るわけがない事にも

薄々は気がついていたの。

あたしは大納言家の総領姫。

あたしが自分にあった身分のものと結ばれて大納言家を盛り上げていく。

そんなことは分かっていた。

でも少しでも夢が見たかったの。

自分だけを好きでいてくれる人。自分だけを愛してくれる人。

そんな人が必ず現れる。

あたしはそう物思いにふけていた。

今日は満月。

月明かりはとても美しい。

部屋から月を眺めてもこの美しさは分からない。

だからあたしは庭先に出て月を眺めていたの。

自分の邸は警備の者が十分過ぎるほど毎日守ってくれている。

だからあたしは安心していたの。

その時ガサガサ・・・・・・

近くで不審な音がする。

少し怖かったけどあたしは興味の方が強かった。

だからその不審な音に向かって近づいていったの。

そして驚いた。

だってそこには後姿だったけど狩衣姿の男がそこにいたから。

あたしは咄嗟に声を掛けてしまった。

「一体何者!?」

あたしの声に驚いたのか、その男はあたしの方を振り返った。

!?!?!?

その男の姿はとても美しかった。

今まで見た男達の中でこんなに素敵で精悍な男と出会った事がない程に。

今思うとあたしはこの男に一目ぼれだったのだろう。

この男のためにあたしはどれだけ苦しむことになるのか、

この時分かるはずもなかった。

 

 

 

 

 

 


私は身代わりをおいて三条邸に来ていた。

利用出来るものは利用しないと・・・・

そう思い早速瑠璃姫を手に入れるべく行動に移した。

三条邸に行って迷ってはいけない為、ある程度の下準備はした。

私は多分瑠璃姫が住まう東の対に来ているはずだった。

まさかそこに先客が来ているなんて思いもよらなかったのだ。

「何者!?」

女が私に向かって叫んだ。

私は驚きを隠せなかった。今は皆が寝静まっている時。

そして庭に人が、それも女がいるなんて思いもよらない。

私は頭の中でどういい逃れをしようかすぐに計算し始めた。

そのときだった。

女の後ろから何かが光ったのは。

私はすぐに懐に隠した短刀を握り締めそれに向かって投げつけた

「ギャッ!?」バタッ

何かが倒れたような音がした。

私はすぐにその音に近づき警戒した。

よく見てみると身なりが悪い盗賊のような男だった。

この男は大納言家に入り姫君を誘拐しようと企んだものだろう。

その時、この騒ぎに気がついた警護の者がこちらに大勢近づく音がしたのだ。

まさか瑠璃姫に会う事もできずこんなことになるなんて思いもよらなかった。

しかしここで捕まるわけにはいかない。

私はこのまま女を無視してこの場を離れようと思った。

しかし、それは思いとどまった。

この女を利用すれば瑠璃姫に簡単に会うことが出来るかもしれない。

そう思い私はその女に話しかけた。

「お怪我はありませんか?私の名は鷹男といいます。

しかし私はこの場にいるわけにはいきません。」

このままもう少し話したかったが他の者が近づく音が近くなったため

中断してここを離れようと思ったのだ。

そのときだった。

「助けてくれてありがとう。あたしは瑠璃。

次の満月の晩、この時間にこの場所で待ってるわ」

その声を最後まで聞く事も出来ず私はこの場を離れた。

その言葉を頭に刻み込みながら。

そうして無事に東宮御所に戻ったのだ。

あまりにも色々なことが起きて私の頭の中は整理できなかった。

しかし少し時間が経ってから

もう一度先程のやり取りを思い出した。

あの女は瑠璃といっていた。

まさかあの女が瑠璃姫!?

そんな馬鹿な・・・・・・・・

深夜に女一人身で庭に降りるなんて・・・・・・

それに堂々と顔を出して。普通なら顔を少しでも隠すはずだ。

あれでは野生児ではないか?

今までの私の貴族の姫としての見解は簡単に崩れ去ってしまったのだ。

瑠璃姫との初めての出会い。

私は気がついていなかった。

その時自分の唇が緩んでいたことに・・・・・・

まさか自分の心が揺れ動くだなんて・・・・・

この時は考え付かなかった・・・・・

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