好きなのに~揺れ動く恋心9
注意~やや時期が間違ってしまっていますが気になさらないで下さい<(_ _)>
あれから毎日のように高彬は現れた。
以前は融と一緒に私のもとにきていたのに
一人であたしのもとにきて他愛無い話をして帰っていく。
唯それだけだったらあたしは高彬を意識することなんてなかったと思う。
でも高彬はあの頃とはうって変わって
積極的にあたしに誘い文句を掛けてくるの。
いままで弟としか思えなかった高彬の行動に、
あたしは最近ドキドキしてきたの。
下手糞な字であたしに送る御文。
文才のない歌を時々くれるけど、
下手なりに一生懸命考えてくれるその姿に感動し
段々あたしもその文に答えるべく返事を書くようになっていたの。
そんなある日だった。
バタバタバタバタ~~~~~~~
早足であたしの部屋に近づく足音が聞こえてきたの。
一体誰なの?
そう思った矢先に
バン!
いきなり現れたのは高彬だった。
「瑠璃さん!やっと僕は認められたんだね!!!凄く嬉しいよ!!!」
急にあたしに抱きつき大喜びな高彬の姿にあたしは吃驚してしまったの。
そして高彬のすぐ後についてきた小萩も意味深な微笑をあたしに向けてくる。
「ちょっと高彬?一体どうしたのよ?」
「瑠璃さん!やっと僕との結婚を承諾してくれたんだね!」
「ええ!?」
あたしは凄く驚いたの。
あたしはそんな返事をした覚えはないのですもの。
でも・・・・・・・
「瑠璃さんがこの前くれた御文の返事。二つの解釈があったじゃないか!
宮中にいた時に頂いた文だったから同僚達にからかわれっちゃったよ」
そういいながらも凄く嬉しそうな高彬。
そういえば、この前書いた御文の返事は筆が滑ってすべって
思わず会心の歌が出来たと思っていたけど
そうよ!あれは二つの意味があったんだわ!
あはは~今さらあれは筆が滑っただなんて高彬に言えないわ。
凄く嬉しそうだもの。
あたしもいい加減高彬の気持ちに答えないといけないわ。
あたしは覚悟を決めた。
「高彬、これからもよろしくね!」
「瑠璃さん!?嬉しいよ!!!」
そう言った高彬は更にあたしの体をギュッと抱き締めた。
あたしはまだ、高彬を愛しているわけじゃない。
でもこんな高彬を眺めているとあたしも嬉しくなってくる。
こんな穏やかな恋もいいんじゃないの?
あんな切なくて苦しかった恋なんて
あのときこそ恋じゃなく憧れなの!
そう、あたしはもう忘れることができる。
もうあの人のことは思いださないわ・・・・・
あたしはついに高彬との婚約が決まった。
父さまは大喜び。
そりゃあ~あたしみたいなのが
まさか結婚できるとは思ってもいなかったみたいだから・・・。
だからこの話が決まったときは父さまは大泣きしてたわよ。
おおげさなんだから~
だから高彬に婚約破棄を突きつけられないように
優しくしろとか毎日文を送れだとか凄く五月蝿いの。
婚約が決まる前と全然変わってないじゃない。
最近は高彬がもうすぐ始まる石清水放生会の準備に大変そうで
三条邸に寄りつきもしないから
更にせかせかと言いにくるのよ。
本とうっとおしいわ。
大切な行事だし高彬は警備の責任者だから
色々打ち合わせや準備に大変そうで、見てるだけ可愛そうだわ。
この行事が近づく少し前に高彬から聞いていたから
こなくてもあたしは平気なんだけどね~
そしてこの行事には鷹男がいえ、
東宮様が数人の女御様を引きつれながら行啓されるという事だし
更に警備範囲は広いし責任重大ですもの。
高彬の体が心配だわ。
お役目大事だから無理してないかしら?