妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺後宮物語1

  • フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

 

藤壺後宮物語1

 

第一章

 

 あるところに、瑠璃姫という名の姫がおりました。

摂関家の流れをくむ惣領姫。格式高い家柄に育った姫でございます。

しかし、一般的な姫とは大きくかけ離れた感性をおもちでした。

姫君というなれば、邸の奥深くに隠され、人前には家族や夫となる男性以外

姿を見せず、普段であるなら扇で顔を隠し慎ましくあれと育てられるもの。

ですがこの姫君は御簾越しを嫌い他人がいなければ御簾を上げて庭におりて

木に登ったり、池の鯉を釣ったりと男君のような振る舞いをしておりました。

瑠璃姫には、一人の弟君がおりましたがその弟君は、雛遊びや、歌合せ、

横笛をひいたり、大人しく暮らしておりました。

瑠璃姫は普通の姫君ではなく、自分らしくありたい。

それが瑠璃姫の大きな夢でした。

ですが、この世の中貴族社会では女性は家の道具として扱われ、跡継ぎを生むのが

幸せだと言われております。瑠璃姫はいつまでも何も起きない生活が送れたらと

ずっと思ていたのでございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

退屈だわ、父さまは、いつまで長々と同じ話をしてるのかしら、

もうほっといてほしいのだけど

「聞いておるのか瑠璃!」

欠伸が出るわね、早く終わらないかしら、

「瑠璃!!!」

「何よ、うっさいわね」

しまった。

「瑠璃!どうしてお前はそうなのだ、毎日山のように、きていた求婚の文も、

全くお前が取りあわないから、近頃では、すっかり減ってしまったではないか!

大納言家の姫なのに16にもなって、婿の一人も決まってないとは

、情けないと思わぬのか。このままでは、我が大納言家の将来も、おしまいじゃ」

「五月蠅い、五月蝿い、うるさーい!あたしは、吉野の君を思いながら、

一生独身を通すのよ!」

父さまは、しばらく小言を言って、私の局から呆れた顔をしながら、出て行った。

「瑠璃様、今日もお殿さまを、怒らせてしまってよろしいのですか?」

「いいのよ、いつも、いつも、同じことの繰り返し、

いい加減、父さまも諦めるでしょ。」

 

 

まあ、あたしも、父さまの気持ちが、分からないわけではなわ

摂関家の流れも汲む、名門の姫であるあたしが、もう16を過ぎても、一人も通ってくる殿方が、いないなんて、この時代では珍しいくらいだしね。

「いくら今の時代、13,4で結婚するのが常識とはいえ、

あたしに、他の姫君のような、婿をとれなんて、横暴なのよ。そうでしょ小萩」

「しかし瑠璃さま、それではお殿さまが、心配なさるのも、

無理ないのではないでしょうか?」

「それはそれよ。あたしは、普通のどこかの姫とは、訳が違うの。

父さまみたいに、ほいほい浮気する男と結婚して、あたしが幸せになれると思う。

そんなの冗談じゃないわ。あたしは一生独身を貫き通すの!」

「瑠璃様。」

あたしから何度も聞いたであろう言葉に、苦笑いをする小萩。

「クスクス」

「相変わらずだね、姉さん」

「こんにちわ、瑠璃さん」

「やだっ、融に、高彬、あんた達聞いてたの?」

「当たり前じゃないか、姉さんの声は、凄い大きいから、

向こうの対屋まで聞こえていたよ。」

 

「あはははは、いつものことだから、気にしないでよね。」

「気にならないけど、これ以上、父上の頭を、白くさせないでよ」

「分かってるわよ、そんなこと」

「そう、ならいいけど、じゃあ高彬、あっちで音合わせしよ」

「なによ、音合わせって。」

「今度、管弦の宴に、高彬が、琵琶を弾くから、僕と音あわせをしようと思って」

「そう、幼馴染同士仲がいいのね。」

二人はそのまま融の局に向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

十二単を着て、管弦の宴に望んだ瑠璃は、いつもとは違って、

大人しく御簾越しの中に納まり、宴を眺めるところから始まる

 

「瑠璃姫はご幼少の頃、吉野で過ごされたとか、実は私も昔、吉野に参ったことが、

あるのです。

ですから、偶然、大納言さまからそのお話を聞き、懐かしく思ったのです。

この場で申す話ではないのですが、父に縁のある女性が、

若君とともにくらしておりまして、父について一度だけ・・・・

瑠璃姫と同じ時期に、吉野にいたことを思いますと、なにやら縁があるように、

思いまして」

「父さま、その話は本となの?」

「うむ、確か中務卿宮の身分が低い愛人が、行く末を悲願して、

吉野へ移ったという話があって、若君もおられたとか」

ふるふるわなわな

ドドドド―ン

「なっ!、どうしたのじゃ瑠璃、気になるのではないか?」

目をぱちぱちしている父さまと権少将に向かって

御簾越しから、脇息を投げつけて、こういってやったわ。

「おとといきやがれ」

慌てふためいた、父さまが見えた。

「瑠璃、何をするんじゃ、それにその物言いは」

「大納言さま、話が違うではありませんか、

この話は、なかったことにしていただきます。」

どすどすどすどす

「るる瑠璃、お前というものは、どれだけわしに苦労かけていると」

「大臣様」

 

 

 

 

あれから大騒ぎになったのは、無理もない話ね。

でもね、この天下の瑠璃に向かって、あんなちんけな嘘話、聞いてられないわよ。

「それにしても瑠璃さま、どうしてこの前の宴の時、お殿さまと、

中務権少将さまのお話が、作り話だと見破られましたの?

瑠璃さまは、あんなに吉野の君の事を、気にかけておられましたのに、

もう気になさらないのですか?」

「ブハッ、 小萩、何馬鹿なことをいうのよ。もしあたしが、何も知らなかったら、

危うく騙されるとこだったのよ。」

「しかし、どのようにして、作り話だと分かったのでございますか?」

そうなのよ、完全にあたしの性格を、逆手に取った、父さまの陰謀よ。

このあたしでさえ、真相を知って倒れそうになったわ。

でもね、天は、あたしに味方になって教えてくださったのだわ。

ホンとは偶然だった。

あの弟の融が、馴染みの女房に、この真相を、口にしてたのを

盗み聞きしてしまったから。

まああたしのように、風変わりな姫だからこそ、知りえたことだけどね。

「るるるるる」

「父さま、るるるるっと、五月蝿いわよ、一体なにがあったの?落ち着いてよね。」

「これが落ち着いてなど、おれるわけがないではないか?」

「わかったわよ。早く用件を言ってくれる?」

「親に向かってなんと言う口答えなのか!こんなことでは、我が大納言家の将来も、

危ういではないか、あー困った困った。」

「お殿様、落ち着いてくださいまし。一体なにがあったのでしょうか?」

「そうだ瑠璃、お前が東宮様に、入内することが決定したのじゃ。」

「?」

「えっ入内?って誰のこと?まさか、あたしのことじゃないでしょうね」

「お前以外、誰だと思ったのじゃ」

「ととと父さま、嘘でしょう、そんなわけないじゃない。間違いよ。」

「よく聞くのですぞ。まだ少し前、先の左大臣の陰謀が、

表立てになった事件を、知っているはず」

確かに最近、宮廷を驚かす、ある大事件が起こった。

それは先の左大臣だった、大海入道が起した、とんでもない事件。

その事件とは、なんと東宮さまを廃した上、自分の孫である正良親王を、東宮に据え、いづれ、正良親王が帝になった暁には、自分が外祖父として権力を、

一手に握る考えだったの。

それを解決されたのが誰なのかは、謎ではあるけれど、

その事件が発覚したおかげで、いろいろな者達が、

厳罰に処理されることになってしまった。

一番の、被害者である、正良親王様は、入道の罪を知り、世を儚み、

一人ひそかに出家してしまわれたという。

それだけ、世を賑わす大事件があったことを、知っているけど、

それと、あたしの入内と、なにが関係あるというのよ。納得できないわ。

「瑠璃や、落ち着いて聞くのですぞ。これは今上帝が、おきめになったことなのじゃ」

「いくらお主上が決めたからって、どうしてあたしみたいな、奇特な姫を、

入内させようという気になるのよ。」

「瑠璃、その通りではあるが、貴族の姫らしくない、おてんばな姫であるとはいえ、

この大納言家の姫である。いくら毛色が変わっているとはいえ、

身分的には全く問題がない話。」

「そんなの納得がいかないわよ。他に東宮さまに、相応しく、美しい貴族の姫君は、

沢山いるでしょう。どうしてあたしが選ばれるのか、納得できないわ。おかしいわよ、父さまの馬鹿!そんな話を、真に受け止めて、いい加減にして欲しいわ。」

「瑠璃、どうして東宮さまの、入内に、お前が選ばれたのか、

お前の行動のせいではないか。」

「はあ?なにをいってるの父さま。

いくら、奇人、変人と言われてるこのあたしの噂が、なぜ主上の耳に、入るわけ?

おかしいじゃないの。」

主上は内裏におわせられるお方。いくら奇人変人とはいえ、参内もしていない、

女性の事を、主上が知る由もない。

「馬鹿者!この前の管弦の宴の時、お前がどんな行動をしたのか、

覚えてないわけではあるまいな。」

「あ、あれね、父さまが、吉野の君のことで、あたしを騙そうとした宴の話ね。

覚えてるわよ。それがどうしたの?」

「瑠璃が、あんな振る舞いをしたおかげで、わしはどれだけ、身が縮む思いをしたと、思っておるのじゃ」

「父さま話が見えないんだけど、はっきりしてくれない?」

「お前のその凶暴な行動のおかげで、宮廷では、瑠璃が、とんでもない姫だと、

噂の的になってしまったのじゃ。」

「それとこれとで、どうして東宮さまへの入内が、決まることになるのよ。」

「お前の行動が、宮廷で広まりすぎたおかげで、お主上の耳に入ってしまったのじゃ」

「なにそれ?それが入内に繋がる理由に、なる方がおかしいいわ」

「だから、先日の入道事件のおかげで、

東宮さまは仲のよかった弟君と、離れ離れにならなくなってしまった。

しかし、次期帝に、ならなくてはいけない東宮さまも、弟宮と、離れたことで、

かなり落ち込まれたご様子。

一刻も早く、東宮さまには、お元気になっていただかなくては。

それに、近々帝は譲位されるともおっしゃった。」

大海入道一味は、内裏で大きな大事件となって世間をにぎわせていた。

そのおかげで、内裏では何人かは粛清や謹慎等の処罰を受け、

新たな人事への引継ぎと、内裏の安全を図るための警備への増強などと、

平穏とはいいがたい。

今は何も起こってはいないが、なにかよくないことを、起こす愚か者が、

世にでることもあるでしょう。だからこそ、これを吹っ飛ばせる吉事が必要。

「それがあたしと関係が、あるとは思えないんだけど」

東宮さまには、現在女御さまが、お二人おみえになる。

だが、次期帝になるということは、次期東宮さまを、お決めにならなくてはならない。しかし、現在東宮さまの御子様は、内親王お二人だけ。

梨壺の女御さまは、右大臣家の姫君。後見はしっかりして見えるが、

長いこと親王さまが、授からない。

子孫を作るのが、大事なことであるため、今上帝は、だれか身分のしっかりした姫を、探しておられたそうなのだ。

そこにたまたま目に付いたのが、瑠璃だったと言うのじゃ。

もう決まったことなので、いい応えは許しませんぞ。これを断ったら、我が大納言家はおしまいじゃ。

けしてなにもしてはいけませんよ、絶対です、分かりましたか?」

「でも父さま、あたしは自分一人だけを思ってくれる人と結婚がしたい、

それか一生独身で居たいんだもの。」

「馬鹿なことを、言うものではありません。お前がした行動のおかげで、

瑠璃が入内しなくてはならないとは、これ以上、心労をかけたくなかったのに。

もしこのまま女御になって、御子様誕生になったらどうなるのか、

考えただけで、倒れそうじゃわい。

瑠璃、頼むから、尼になるとか、逃げ出そうとは、けして思いなさいますな。

小萩、瑠璃が、無茶な行動をしないように、見張っているようにな」

父さまはふらふらしながら私のもとを去っていった。

このままじゃあたしが入内!!!!!

冗談じゃないわ、どうしたらいいのかしら、

この時の瑠璃は、ただ呆然と、運命を受け止めるしかなかったのです。

 

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村