妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺後宮物語5

 この二人ってどんな関係なんだろう?

最初は権の中将様のほうが上司かと思たけれど、話を聞くと

権の中将様が鷹男を立ててる節がある。だとすると、鷹男は左大将?

でも若すぎる。雰囲気や言葉を見ても身分があるのはわかるんだけど、謎だわ。

藤壺の女御様!」

「はっ、はい!」

うっかり自分の考えに没頭してしまったわ。

鷹男は少し緊張した面持ちで話し始めた。

「それでは本題に入らせていただきます。

実は今上帝が即位して間もなくの頃、今は国母となられた

大皇の宮様のご寝室の枕辺に、

ある朝、「新帝怨参候」と書かれた呪詛状が、

小刀で突き刺されておかれていたのです。

その為、今上帝のお命を狙うものが現れたと思い、警戒していたのです。

以前の入道事件もあり、

その残党が実は関与しているのではないかと推察するのです。」

「ふふっ、その入道事件を解決したのが鷹男というわけね。」

「ええ、そうです。・・・ええ!?藤壺の女御様?」

「あら、鷹男の話を聞いていたら急に思いついてしまったのよね。

カマかけちゃった。」

「何故そう思われるのですか?」

「だって、鷹男は頭が切れる感じがするもの。

その呪詛の件にしろ、今上帝に任せられているから床下にいたんでしょう。

入道事件を解決したのは誰か謎だったけど、あんたのような優秀な男が

今上帝のそばに仕えているなら安心だわ。」

藤壺の女御様・・・」

これでも今上帝の女御だからね。寵愛はなくても大切なお方ですもの。

命の危険があるならなおのこと。

「ありがとうね、鷹男と権の中将様。命の危険があるというのに

主上のために尽くしていただき誠にありがとうございます。」

あたしは二人に頭を下げた。

「「女御様、頭を上げてください!!」」

「あら、当たり前のことを話しただけですもの。気にしないで。」

「ですが!」

「感謝したくなったの。それがお役目だとはいえね。ごめんなさい。

しんみりしちゃったかしら。」

「いいえ女御様にそこまで言われたら、何も言えなくなってしまいます。」

「あのね、二人にお願いしたいことがあるわ。

二人きりの時は瑠璃と呼んでくれる?」

「それは!」

権の中将様は頷いてくれなかったけれど、鷹男は承諾してくれたわ。

やだ、あたしったら大胆ね。これでも新妻なのに、

他の殿方に名前を呼んでもらうだなんて。几帳越しとはいえ

下手をしたら不義と当たるかしら。

でも名前を呼んでもらうだけだしね。あたしは自分の考えに没頭してしまう。

「さすがですね。私は藤壺の女御様の見方を変えなくてはならないですね。」

「くすっ、そうよ。あたしはそこんじょそこらの貴族の姫や女御様とは違うのよ。」

「ええ、よくわかりました。話を戻しますね。」

「それで犯人は見つかったの?」

「残念ながらまだ見つかっておりません。

大皇の宮様は今は光徳院となられた先帝とご一緒に、院御所にお住まいです。

しかし、犯人はその警護の厳しい院御所に、やすやすと入り込むことができる人物。

これはその気になればご寝中の大皇の宮様を

いくらでも傷つけることができるという脅しなのです。

そして、それをあえてしないのは犯人の狙いが新帝一人なのだということに

繋がるのです。」

「そんなことが起こっていたのね。ごめんなさい。鷹男のことを疑ったりして

てっきり鷹男が呪詛を置いた犯人だと思って手を確かめちゃった。」

あっ、まずいことまで言っちゃった。

「左手を確かめたのはどういうことですか。あんなに眺めていたのは

理由があったということですか?」

「鷹男、落ち着いて、犯人は床下だったから全然姿は見えなかったわ。

ただ多分その人のところに猫がいたのね。ひかかれた後の声がしたもの。」

「それは誠ですか?」

「ええ、声が聞こえたわ。でも誰の声だったのかわからない。

少し離れていたし、ただ男の声だった。それは確かよ。とても綺麗だった。

それしかわからないわ。」

「いえっ、瑠璃姫、それだけでも十分です。犯人の手がかりさえ全くなかったのに

犯人の一人が男だということが分かっただけでも、全然違います。

誠に瑠璃姫のおかげです。ここからは私たちにお任せして

瑠璃姫はこのことを内密にしてお忘れください。」

「いやよ!」

「はっ!?」

「はっ?じゃないわよ!あたしもここまで聞いたんだから協力するわ!」

「何を言ってるのですか?あなたは仮にも女御様なんですよ!」

仮にって何よ、仮じゃないし、

「女御だからって何よ。好きでなったわけじゃないわ。

鷹男達が帝のために頑張っているのに女御であるあたしが手伝わなくてどうするの?」

「いえ、これは私が今上帝から内密に命令された事件。

女御様自ら手伝わなくても大丈夫なのです。」

「嫌!あたしも手伝う!」

「姫!これは遊びごとではないんですよ。」

「分かってるわよ。でもこんな大事件を聞いた後にただ何もせずに

ボウとしてるなんて嫌よ!もし鷹男達が嫌がるのならあたしはあたしで動いて

帝をお助けするわ。」

「瑠璃姫・・・はあ・・・わかりました。協力していただきます。

でも無理は禁物ですよ。」

「ええ、分かってるわ。頑張って事件を解決しましょうね。」

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