妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺後宮物語9


そして大皇の宮様との対面が現実になることになった。

唯恵の正体とは誰なのだろうか。

あたしの運命はどうなるのだろうか?

 

ドキドキ

ここは麗景殿

大皇の宮様がついに参内なさったの。

帝の女御だからといってすぐにはご対面できるわけではない。

大皇の宮様を歓迎する宴の後に直接ご対面できるよう、お主上に頼んだのよ。

滅多にお願いしないあたしが大皇の宮様に直接会って話をしたいというものだから、

びっくりなさったみたいだけど、そんなの関係ないわ。

だって吉野の君の父君が誰なのか、はっきりするかもしれないもの。

あ~早くこの宴はおわらないかしら。

 

 

 

つつがなく宴は終わり、ついにあたしは大皇の宮様と二人きりで対面が果たせたの。

 

 

 

藤壺の女御殿、はじめましてですね。」

「大皇の宮様、はじめまして、ご機嫌麗わしくおめでとうございます。」

「あなたと顔を合わせるのは初めてですけれど、後宮には慣れましたか?」

「はい、わざわざ優しいお言葉をいただき誠にありがとうございます!」

「そうですか。元気なことは良いことですわね。帝の為によくお仕えなさるように」

「はい、もちろんでございます。」

あ~こんなことを話してる場合じゃないのよ〜

どうしよう、初対面だというのに、急に吉野の君のことなんて聞けないし・・・

大皇の宮様はお年を召している割にはお若くて元気な方みたい。

見た目は華やかで話しやすそうな方だけど、きっかけがほしいわ。

何かないかしら。

藤壺の女御殿、どうかなさったのですか?そわそわされてるようですが、

私と話すのがつまらないのかしら?」

「いえ!そのようなことはありませんわ。

申し訳ございませんでした。

私、大皇の宮様に会いたくて会いたくて仕方がなかったんでございます。」

「ほほほっ、まあそうなのですか?藤壺の女御殿は案外しっかりした方なのですね。」

「ええ?そんなことはないです。あたしは女御らしくないですもの。

いつも女御らしくしなさいと小萩にねちこく怒られてますわ。

ほんとはこんな窮屈な後宮に大人しくできるわけがない・・・はっ」

やばい。いつもの調子でボロが出ちゃったわ。

興奮して変な言葉遣いになってしまった。

怒らないかしら大皇の宮様は・・・

「まあまあ、ほほほ、元気が有り余ってるご様子ですわね、藤壺の女御殿。」

「いや、あはは、すみません!大皇の宮様。

主上の母宮様という尊き方に向かって失礼しました!」

あたしは慌てて大皇の宮様に頭を下げたの。

急にあたしの手が温かい感触に見まわれた。

なんと大皇の宮様が御簾をはらいのけてあたしのところまで降りてくれたの。

藤壺の女御、気になさらなくていいのですよ。

あなたはいわば私の義理の娘ですもの。そんなに畏まらなくてもいいのですよ。」

「でも、大皇の宮様。」

「クスクス、いいのですよ。もともと格式ばったことが嫌いですもの。

藤壺の女御もそんなに緊張しなくてもよいのですよ、ふふっ」

本当に豪快で面白いお方だわ。大皇の宮様は・・・

あたしは気が楽になっていつものあたしになれたの。

「では大皇の宮様、私のことは藤壺の女御としてではなく

瑠璃と呼んでください。」

「まあ、瑠璃姫ですか?」

「はい、大皇の宮様!」

「お元気ですわね、瑠璃姫は、ほほほ、何だか私と話が合いそうですわね。」

「ありがとうございます。こんな素敵な母宮様ならお主上

お幸せでございますわね。」

「ありがとう、瑠璃姫」

「いえっ」

「そういえば瑠璃姫、私に何か御用があったのではなくて」

「えっ」

「お主上から藤壺の女御が挨拶したいと申していると伺ってますが

あなたの様子を見ると、ただそれだけではない様子。

私の前でそわそわしていませんでしたか?」

「恐れ入ります。大皇の宮様のご推察通りですわ。」

「まあ、そうでしたの。瑠璃姫それでは私に聞きたいこととは何ですの」

急に本題に入れるみたいだけど直接言ってもいいのかしら。

でもそうするしかないわよね。

ええい、いくしかないわよね。

「大皇の宮様、朝霧という言葉に何か聞き覚えはありますか?」

「朝霧ですか?そうですわね、それがどうされたの?」

え!大皇の宮様は知らないなんてあたしにはこの言葉しかないんだけど

どうしよう。

「朝霧を知っているかと、と大皇の宮様にお聞きしろとある殿方が

おっしゃったのですわ。」

「なんですって!まさか・・・殿方がですって・・・」

急に大皇の宮様は表情をお変えになったの。いったい何があるの?

「瑠璃姫、その殿方というものは一体誰なのですか?」

「それは・・・」

「瑠璃姫お願いです。教えてください。朝霧とは何のことなのです?

まさか佐子姫の行方を知っているのではなくて?」

佐子姫?一体なんの話なの?

あたしは混乱していた。

吉野の君が、大皇の宮様に朝霧のことさえ聞けば、吉野の君の父君のことが

分かると思っていたから、ただただ、大皇の宮様を眺めることしかできなかった。

そして、大皇の宮様は昔の話を口になさったの。

「佐子姫は、我が父君の少しばかり身分の低い女性に産ませた腹違いの妹姫です。

その女性がなくなったことから姫は、我が邸に引き取られ、私は幼いころから

これ以上ないくらいに仲良く育ったのです。

しかし、

 

数ならぬ身ゆえ、いずちか去り行かむ しかとも隠せ 秋の朝霧

 

たった一首歌を残して佐子姫は姿を絶ってしまったのです。

腹違いとはいえ、私たちにとっては大切な妹姫・・・

今でも思い出さぬことはありません。

佐子姫が姿を消してしまったのは

あれはきっと・・・

私にお話しできることはここまでですわ。私は何もかもお話ししました。

今度は瑠璃姫の番です。朝霧についてご存じなの?」

「とある殿方が、大皇の宮様に伺ってみよと申したのです。

朝霧を覚えておられるかと。」

「もちろん覚えていますよ。当たり前ではありませんか。

それよりその殿方というのはどういうものなのです。」

「こればかりは口が裂けても申しませんわ。殿方としか。」

「瑠璃姫!」

大皇の宮様は頭を下げながらこう語った。

「どうか教えてくださいな。私は二十年来ずっと苦しんでおりました。

どういう殿方か、せめて年なりと・・・」

「確か今は18か19だと思いますけど・・・」

「絵式部、すぐに院御所に戻ります。瑠璃姫も参りますよ。

よろしいわね。」

二人きりだと思っていたのに隣からすぐに大皇の宮様付きの絵式部が現れる。

「でも・・・急な話でお主上にはなんと・・・」

「光徳院がお熱を出されて急使が来たとか、いくらでも言い繕えるでしょう。

そんなこともできなくて何のお付き女房です!」

「しかし恐れながら藤壺の女御様を一緒に院御所にお連れになるなど

前代未聞の事ですわ。」

「絵式部、あなたは私の第一の腹心女房でしょう。

こいう時に機転を働かせなくてどうするのです。」

「はっ、申し訳ございません。準備いたします。ただしかし、

藤壺の女御様をお連れすることはお主上にはお話しくださいませ。」

「そうね、分かりました。後は頼みますよ。」

ええっ、どうしてあたしが吉野の君の父君を知るだけで

院御所に行かなくてはいけないの?

あれからあたしたちは院御所に向かうことになったの。

 

 

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