妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語18 第二章

瑠璃姫と鷹男の想いは、吉野の君が思いをつなげてくれたことにより

ついに結ばれることになりました。

けれど、鷹男は主上であり、瑠璃姫は女御の一人で他ならなかったのです。

お互い思いあっていようが、一人の姫君に

情を注ぎこむことは許されないはずでございました。

 

 

 

 

あたしの名前は瑠璃姫、内大臣家の惣領姫であり、

なんと今を時めく今上帝の藤壺の女御として寵愛を受けているの。

でも、あたしが入内する前から、二人の女御様方がいらっしゃり

あたしは新参者の女御でしかなかったの。

最初、お主上とは体裁だけの女御としての扱いだった。

あたしも父さまに言われて無理やり女御として入ったから

藤壺にはお渡りも少なく、あたしはそれで十分だった。

でもそれが一変したのは入内して少し経った頃。

偶然雑色の鷹男という男との出会い、ある事件がきっかけで

いつの間にやら彼のことが気になってしまったの。

その上、吉野の君というあたしの幼き頃の、

筒井筒の仲の君があたしを迎えに来てくれてすごい悩んだわ。

でも、鷹男を好きなことに気が付かされて

ついに鷹男と思いが結ばれたの。

そして驚くことに鷹男こそが今上帝だったの。

あの時は、本当に吃驚したわ。

あたしにずっと内緒だったんだもの。

その事件のおかげで幼馴染である吉野の君が

鷹男の弟宮だと発覚して、二人の間に揺れ動いたけれど

結局あたしは鷹男を選んだ。

あれから吉野の君は光徳院が正式に自分の親王だとお認めになられ

後継者争いがまた再開されるかと噂されたけど

吉野の君は僧籍に在籍していたから身分はそのまま据え置きになって

今は吉野の里の住職になっているの。

時々院御所や鷹男に会いに来るけど鷹男のおかげで

吉野の君とはあれから会うことはなかった。

思ったよりも鷹男って独占欲が強いのね。

主上の印象は誰かを特別扱いすることなく

平等に寵愛なさっているのかと思っていた。

もちろん政治の関係があるからその辺はうまく調節しているでしょうけど。

主上とは神に等しい存在。

尊い方だから、感情をコントロールする姿に長けている方かと

勝手な想像をしていたわ。

でも、吉野の君に嫉妬してくれる姿を見ると、お主上

一人の男性なんだなってつくづく思うわ。

それはあたしへの愛なんだと思うと、ついにやけてしまうわ。

 

 

うふふふ、幸せだわね~

藤壺の女御様、とても機嫌がよろしくてよかったでございますね。

毎日お主上から、ご寵愛いただき誠に良いことでございますね。」

「ちょっと小萩、やめてよ。恥ずかしいじゃないの。」

「ですが本当に良かったと思います。

はじめ瑠璃様が入内なさったばかりの頃は

形式上は藤壺にお渡りになられましたが、その数は極端に少なくて

私、どうしたらよいのかと悩んだものです。

ですが、女御様は特に気になさらず、元気にお過ごしでしたから

それでもよかったとも思いましたのよ。

後宮内では、それはそれは女御様の評判は地に落ちてましたし

私たち女房も落ち着かなかったものです。」

「へ~そうだったんだ。」

「何を納得なさっているのですか?

ですが今は毎日のようにお主上がこちらにお渡りになり

瑠璃様もお美しくなられましたわね。」

「もう、からかわないでよ、恥ずかしいじゃないの。

ただ、お主上はあたしが珍しいだけで

小萩がそこまでいうほどではないと思うけど・・・」

「瑠璃様、それは違うと思いますわよ。」

そう小萩が言ったすぐそばから男性の声が響く。

「私の愛する姫はどうして私の言うことを信じてくださらないのか?」

「ちょっ・・・たか・・・お主上!」

「失礼いたしました。」

小萩は慌てて鷹男がくつろげるように席を作る。

「お主上!連絡もなしに来るんじゃないわよ。」

「瑠璃様!」

「いいのですよ、小萩殿。」

「しかし・・・」

「瑠璃姫のこんなところも私は気に入っているので構わないのです。

それから申し訳ないが私の愛する姫と愛を語り合いたいので

悪いが席を外してほしい。」

「かしこまりました」

小萩やほかの女房達が退出していった。

 

「ちょっと鷹男!あんたね、急に来ないでよね。」

「それは悲しいことをおっしゃる。瑠璃姫は

私がここに来ることを嫌がって見えるのですか?」

「いいえ、そんなことはないけど。」

「私は一日中でも瑠璃姫の傍にいたい。そう思う気持ちでいっぱいですが

瑠璃姫は私のことなど何も思ってないのですね。」

「ちょっと待ってよ、そんなわけないじゃないの。」

「では私のことだけ愛していますか?」

「もちろんよ。あたしはあんたのことを愛しているわ。」

「瑠璃姫!」

「鷹男!」

あたしたちは昼中だというのについつい抱きしめあって

鷹男に愛されてしまったの。

う~~~~ん、まずい、最近なしくずしに鷹男のペースに乗って

いたしてしまっているわ。

あんな恥ずかしいことまでつい許してしまう。

でも仕方がないじゃないの。

あたしたち新婚だし、

こんなに愛し愛されるとは思ってもみなかったのだから。

 

 

 

あたしの他の女御様はお二人お見えになるの。

一人は丞香殿の女御様。

この方は幼馴染の高彬の姉君で右大臣家の姫君さま。

以前はご寵愛が高かったとお噂になり、内親王様を二人ご出産されている。

でも最近はお体を壊しになり病で臥されているご様子。

丞香殿の女御様がお元気になってくださるのが一番だと思うけれど

御子様をお二人もお産みになった女御様だから

あたしとしては複雑な思いでいっぱいだったの。

もしかしたら鷹男は本当はあたしじゃなく

丞香殿の女御様がご病気だから寵愛しているのかもと

つい疑ってしまうのよ。

だってあたしみたいな姫君、何のとりえもないもの。

どうして鷹男があたしを気に入ってくれたのかは謎なのよね。

いつも愛を囁いてくれるけど、嬉しくもあり、でも不安でもあるの。

愛しすぎているからこそ、自分に自信がないのね。

そしてもう一人の女御様が桐壺の女御様。

この方は亡き右大将の姫君。

けれど後見役である右大将はなくなり他の貴族が後見役をなさっている様子。

でも、今の貴族の中で一番権力がある右大臣家に逆らうことはできず

そんなに後見役は力を入れてなさらない。

だから桐壺の女御様はお美しいお姿だけれどとても儚い姿で

大人しめの方なの。

お二人の女御様とは直接お話をしたことはないけれど

今は寵愛があたしに来ているから女房達は結構ピリピリしているみたいなのよね。

でも鷹男ともいい仲だし案外後宮もいいところよ。

 

そんな穏やかな生活も長くは続かなかったの。

 

 

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