妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~狂おしい愛憎の終結4


ずっとずっと瑠璃さんの隣にいるのは僕だと思っていた。

瑠璃さんと結婚をしてそして尊敬する東宮様に一生を仕え

京のために一生を捧げるつもりだった。

それが、僕は愛する人と仕える人を両方ともなくしてしまったんだ。

僕は瑠璃さんを東宮様の手から奪うことを誓った。

そのためには僕の力だけではどうしようもない。

だから右大臣邸で父である右大臣とそして兄である春日大納言を呼び僕がこれから行うことを

話したんだ。

その日は丁度雨が降り続いた夜だった。

静かな夜が雨の音によって僕らの声はかき消されていく。


僕の話を聞いた時意外にも父上は保守的な考えだった。

まだ東宮様から梨壺の女御様への寵愛はなくなってはいない。

だからことを早めるのは反対だった。

確かにこれから行うことがばれれば右大臣家は京から追放。

お家は断絶。

父上の代でここまで築き上げてきた権力を失うことにはいかない。

そう父上の表情から見て取れた。

「高彬、確かに今は梨壺の女御様へのお声は全くかかっていない。しかし東宮様は聡い方だ。

女御様方にお声をかけないというのは後ろに付く貴族達を敵にしようとするもの。

まさか東宮様とてそんな横暴なことをなさるはずがない。」

そうでしょうね。今までの東宮様は周りの貴族の関係を把握しながら言葉巧みに

操っていらした。自分はあまり前には立たず貴族達を持ち上げながら自分の思い通りに

されてきた。その意図に気がついているのは本の少数。

東宮様が真に信頼している数少ない臣下達だけ。

そして僕もまだ年が若いから他の方々には及ばないも手助けをしてきたのだから。

だから東宮様のことはよく分かっているんだ。

これから東宮様はとんでもないことをなさろうとしていることを。

だから、僕はそれを阻止するためにも東宮様を出し抜くしかない。

「それでは父上、もしこのまま東宮様が梨壺の女御様にはけしてお呼びをかけなかったらどうされるのです?

そうしてこのまま東宮様が帝にご即位し帝になった後の東宮位はどなたにがおなりになられます?」

「そんなもの、桐壺の女御との間に出来た親王ではないか!」

先ほどまではだんまりを決めていた兄である春日大納言が興奮した声で叫んだ。

相変わらず僕はこの兄が苦手だ。

どちらかというと権力やお金のことばかりで人を大切にしようとしないところが嫌いで

本当ならこの場にも呼びたくはなかったんだ。

しかしこれでも兄上は大納言。

僕よりもずっと位が高い。

使えるものは使わないと僕が負ける可能性があるんだから。

「ですから右大臣家がこの桐壺の女御様との間に出来た親王様の後継人になろうというのですよ。」

「しかし!そんなことをして周りの貴族達が許すわけが!」

「兄上!今この状況で一番苦しいのは東宮様なのではありませんか?

何故なら東宮様は今では女御様方をないがしろにして昔からの馴染み深い女房に溺れてしまって

いるのです。これこそが後宮の争いを引き起す火種ではありませんか?そのような統治者では

次の政治はどうなってしまうのでしょう。このまま東宮様の思いのままでよいのですか?

せっかく梨壺の女御様との間に出来た御子様を後継して外戚の力で巨大な権力を得ようというのに

これでは東宮様と梨壺の女御様を結婚させた意味はございません。」

「高彬・・・・・お前・・・・一体どうしたのだ?前までは東宮東宮様と慕っていたはずだが」

そうですね、瑠璃さんと結婚されたところまでは僕もまだ我慢が出来ました。

しかし、東宮様が瑠璃さんを妻にしてから瑠璃さんの表情が死んでしまった。

あんなに活発で元気がいっぱいあった瑠璃さんがもう昔の瑠璃さんじゃないんだ!

あんなに苦しそうにしている瑠璃さんを見ていることなんて出来ない。

僕は瑠璃さんを奪うためにも全力で東宮様と敵対するんだ。

そのためにも父上や兄上には協力していただかなければ。

今までの僕は仕事人間だった。

でも僕は今、私情で動いている。

こんなに黒い気持ちが僕の中にあっただなんて正直驚いていた。

あんなに嫌いだった兄上も誉めて調子に乗らせれば簡単に僕の言う事を聞いてくれる。

昔の僕は常識に囚われすぎてずっと自分のことを後回しにしてきたんだ。

でも今は自分を優先的にしている。

僕は何でもやるよ。

瑠璃さんを奪うために。

瑠璃さんを僕の腕に抱くために

何を犠牲にしようともね。

これは一生に一代の賭けなんだから。

僕は絶対に勝つ!

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