妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~狂おしい愛憎の終結11終


あたしは決心が付いた。

あたしの表情に気が付いたのか、高彬はあたしに向かって手を差し出す。

そしてあたしはゆっくりとその手を掴もうと

前に出したとき

きゃあ!

反対側のほうに引っ張られあたしは力いっぱい抱きしめられる。

一瞬何が起こったのかわからなかった。

でも抱きしめられて分かった。

「鷹男!」

どうして!?どうして鷹男がここにいるの?

久しぶりの温もりだった。

もう何ヶ月も鷹男から離れていた。

話すこともせず鷹男の気持ちが分からなかった。

信じることができなかった。

そんな鷹男が今あたしの体を抱きしめている。

東宮様!瑠璃さんを離してください!あなたに瑠璃さんを幸せにすることなんてできない!

どれだけ瑠璃さんを苦しめてきたのか分かっているのですか?いえ、あなたのことだから分かっていて

やっていたことなのでしょう~」

何?分かっていてやっていたこと??????

それって一体どういうことなの?

「あなたが一体何をしたいのか今なら分かります。でもそれって我儘すぎはしませんか?

一体どれだけの人を犠牲にしたら気が済むのですか?

その犠牲者の中には瑠璃さんも含まれているんですよ!分かって見えるのですか!?」

高彬の必死な訴えに鷹男は静かに聞いているようだった。

あたしは腕をつかまれ抱きしめられていたから二人の表情がどうなっているのかは分からない。

でも高彬の必死な訴えは声を聞いているだけで分かる。

あたしがどうして鷹男の犠牲者なのかその意味は分からない。

でもあたしは確かに鷹男の気持ちが分からずに苦しんで苦しんで凄く辛かった。

鷹男の気持ちがあたしにないのだったらもう後宮を去ってもいいと思った。

高彬の元で暮らせばいいとそう思えた。

なのに鷹男はあたしを引きとめる。

あたしが力を入れてもびくともしない。

力いっぱいあたしを抱きしめる。

もう離さないといわんばかりに!

でもどうして?どうしてあたしを引きとめるの?

もうあたしなんてどうでもいいんじゃないの?

鷹男にとってあたしなんて居なくてもいいんじゃないの?

鷹男にはもう楓さんという愛する人が居るのだから・・・

結局あたしには他の人と共有なんてできないんだから・・・・・・・・

「鷹男・・・お願いよ・・・離して頂戴・・・・・

もうあたしは鷹男の元で暮らすなんて出来ないわ。あたしにはやっぱり無理だったのよ。

あたしだけを愛してくれる、そんな人と結婚した方がよかったのよ。

あたしは東宮妃には向いていなかった。あたしは普通の姫じゃないんだから。」

「だったら私も普通の東宮ではありませんよ瑠璃姫。」

「えっ!?」

「私はあなたと一緒になって変りました。今までは京のため、そして自分が次期帝のためにどうやっていくのがいいことなのかずっと考えて行動してきました。

自分の利用価値が高いものを優先に考え

自分の思い通りに前に向かっていくだけ。ほぼ全てのものが簡単に手に入った。

だからこそ自分が欲しいと渇望する気持ちは芽生えることがなかったのです。

しかし今は違う。何があろうとも私にとって一番優先する人がいる。

この人のために、愛する人と一生を共に生きて行きたい。瑠璃姫、あなたと出会ってから

私はあなた以外は欲しくなかった。

何を犠牲にしてもあなた以外欲しくなかったのです。

そして今、あなたは私の胸の中にいます。」

「鷹男・・・」

「瑠璃姫に辛い想いをさせてきました。あなたが苦しんでいるのをただ黙って見ているだけでした。

でも私はあなたを信じていたのですよ。あなたなら乗り越えてくれると。」

でも・・・鷹男・・・あたしには無理だった。

あんたが他の人に向いたところを目撃して心穏やかなはずはないわ。

だから高彬に救いを求めてしまったのよ。

「ごめんなさい、あたしには無理だった。」

「いいえ!さすがは私の姫君です。あなたは私の期待に答えてくれました。あなたが頑張ってくれたからこそ後宮は一つになることができたのです。」

後宮が一つ?

一体何を言っているの?

「やはりそうでしたか」

高彬の諦めに似た言葉が耳に届く。

「瑠璃さん、東宮様はとんでもないことを成し遂げようとしてみえたんだよ。

瑠璃さんのために、瑠璃さん以外を后に迎えないようにずっと動かれそしてもうすぐ

それが実現しようとしている。」

何?

「今は確かに鷹男の女御様はあたししかいないわ。梨壺の女御様は右大臣家の方だし

桐壺の女御様は右大臣家と手を組んで鷹男を失脚させ自分の御子様を次期東宮様にしたてようとな

さったのだもの。お二人とも尼になられるとお聞きしたわ。だけど女御様が今はあたししかいないけど

これからは、沢山の貴族達が自分の娘を女御様に上げようと必死になさるでしょう。

だからあたしだけというのは無理なはずよ!」

「常識で言うならそうだよ。でも東宮様が今までずっと行動していたのは瑠璃さんと二人きりになるため

。簡単に言えば東宮様の后は瑠璃さんだけ。これからはそうしようと周りに手回しされていたんだよ。

僕も東宮様に負けてからやっと気が付いたよ。東宮様が瑠璃さんを簡単に手放すわけがない。

そう思っていたのに自分の欲望を優先させてしまった。」

そんなことできるの?

鷹男は東宮様なのよ!次期帝になられるお方よ!それも今上帝は病で伏せていることが多いから

もうすぐ譲位が近いと噂されていたから鷹男はもうすぐ帝になるのよ。

そんな高貴な身分のお方がたった一人だけしか后を迎えないなんてできるわけがないわよ。

「私はね、瑠璃姫。あなた以外は欲しくはないのですよ。ずっといい続けていましたね。

あなただけをと。でも自分の身分でそれを許されることは容易ではありません。

自分の身分をかけても、そして命を懸けてでもあなたが欲しかったのです。

もう新しい女御を迎えなくてもよくなりました。

私にはあなただけ。瑠璃姫あなた以外に私の愛する人はいないのです。

お願いですから高彬の元に行かないでください。

一生あなたを幸せにします。あなた以外は愛しません。

一生あなただけですよ!」

あたしは信じられない気持ちでいっぱいだった。

夢のような台詞。

鷹男があたしだけだと行動してからの初めてのプロポーズ。

あたしは涙を流しながら鷹男に顔を向ける。

鷹男はあたしよりも背が高いためあたしは上を向く形になる。

「鷹男!あんたのプロポーズ受けます!もうあたしを離さないでね!」

そう言って自分のほうから口づけをした。

まだまだ完全の終わりではない。

沢山の人を犠牲にしてしまったんだから。

でも鷹男があたしのために犠牲をしてまで頑張ってくれたのだからあたしはその罪を

鷹男と分かち合いながら後宮を治めていこうと思う。

鷹男が沢山の人々の責任を負いながら政治をやっていくのだったらあたしは鷹男を

支えて後宮での争いをなくし共存しながら頑張って生きたい。

鷹男が後ろを安心して任せてもらえるように努力をするわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして鷹男は帝から譲位され今上帝へとなった。

その隣にはあたしが鷹男の唯一の后となり鷹男を一生支えることになる。

今までの治世の中で帝の后が一人というのは前代未聞のこと。

しかし鷹男に逆らってまで新しい后を入内させようという貴族はいなかった。

そういうものは全て先の陰謀でみな粛清されてしまったから。

あたしの後継人である父さまは元々野心がない人だったから周りの人にはあまり警戒されなくて

あたしが唯一の鷹男の后であっても許してもらえるように鷹男のほうから働きかけもあり

思ったよりは揉めなかったの。

後宮の一番の仕事はお世継ぎをもうける事。

でもあたしは心配していない。

愛する鷹男のためにどちらかに似た可愛いやや子が生まれてくる。

そんな予感がするのよ。

産まれなくても次期後継者はどうするのか鷹男は既に動いているみたいだしね。

あたしがまさか鷹男にとってただ一人の女御になれることができただなんて信じられない。

でもここまで来るまでに沢山の犠牲を伴ってきたわ。

あたし達は一生忘れない。

あたしと鷹男は犠牲の上で今の地位に居られるのだから。

そのためにも一生をかけて鷹男と共に京を守っていくわ。

そして一生を鷹男に捧げる。

今、あたしは幸せよ・・・・・・・

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結10


あたしの予想通りに後宮が混乱している中、隙を抜けて出るのは難しいことではなかったの。

そしてあたしは右大臣邸へと向かっていった。

当然右大臣邸は警備の者達が物凄い数で見張っているため入るのは容易ではない。

しかし伊達にあたしは普通の姫じゃないわ。

幼い頃から何度も高彬の家である右大臣邸には訪れていた。

そして子供だからこそ見つけれた秘密の抜け道がある。

あたしと高彬と融しか知らない秘密の抜け道。

あたしはその道を使いながら高彬の部屋へと向かった。

床下を潜り抜け下から高彬の部屋へと入れる場所がある。

幼い頃は高彬の元に行くのに抜け道を使って外で隠れて何度遊んだことか。

この道を使えば誰にも見つかることなく高彬に会える。

あたしは急いで高彬の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


抜け道は昔と変らず残され、誰にも咎められることなく床をあげて部屋へと入っていった。

そして!

「高彬!」

あたしはやっと高彬に会えることができた。

やつれた感じはあるけど無事な姿が見られて凄く嬉しい!

「瑠璃さん。」

部屋の中は誰もいなくて多分部屋の前には沢山の見張りがいるんだろう。

でも中に入ってしまえば分からない。

「高彬・・・・・あんたは一体何やってるのよ!無事よね!」

凄く不安だった。

責任感が高い高彬のこと。

自分たちが起した事の責任を取ってこの世を去ってしまうんじゃないか?

そう思えるほど高彬の性格は把握しているつもりよ!

京を騒がしたものとして責を負う。

馬鹿みたいに頑固者だもの。

そんな高彬を救わなくちゃ。

「ありがとう瑠璃さん。やっぱり瑠璃さんだ。まさかここまできてくれるなんて思わなかったな。

でも来てくれなかったら責任を取って天へと逝ってしまっているかもしれないね。」

「何を言っているのよ高彬!そんなこといわないで頂戴!あたしはあんたが天に逝くのを許さないんだか

ら!命があるのに簡単に逝くなんて言わないでよ!」

「そうだね。瑠璃さんがここにきてくれたんだから考え直そうと思う。

ねえ瑠璃さん最後のお願いを聞いてくれるかい?」

「なあ~に?」

「僕たちは謀反を起しその罪で京を去らないといけない。かなり遠い遠いところへと行くことに

なるだろう。そしてもう二度と瑠璃さんとは会えない。

だからね、瑠璃さん。僕と一緒に来て欲しいんだ。今のように贅沢な暮らしはさせて上げれないかも

しれない。でも今なら瑠璃さんを東宮様の手から助けることができる。

そう今しかないんだ。あんなに瑠璃さんを苦しめた東宮様の手から離れることができるんだよ。

僕だったら瑠璃さん以外愛さない。瑠璃さん一人だけだ。瑠璃さんを愛してるんだ!

お願いだから僕と一緒に来て欲しい!」

真剣な眼差しで必死になってあたしに願いを高彬が述べた。

あたしが京から離れる?鷹男の元から去り二度と会うことはない?

そしてあたしだけを愛してくれる人と暮らす?

どうしたらいいんだろう?

最近鷹男のことよりも後宮での勉学に勤しんでいたせいか一番肝心な問題から逃げてしまっていた。

鷹男の寵愛高い楓さんとはいつの間にやら仲がよくなってしまい前と違って一緒にいても

苦しいとは思えず姉のような感覚になってしまっている。

今、後宮での生活は苦にはなっていない。

でも鷹男から逃げてばかりではいけないわ。

高彬の提案はとても甘美で穏やかな生活にあたしは惹かれていってしまう。

心が揺れ動く。

「瑠璃さん、今はいいけど後宮が落ち着いたらまた新しい女御様を東宮様は迎えなくてはいけない。

僕の姉君である梨壺の女御様や桐壺の女御様が後宮を去ったとしてもそれは変わらないんだよ。

多分東宮様は昔なじみのものを更衣の位に上げて瑠璃さん以外のものに熱を上げるかもしれない。

東宮や帝の地位だからこそ一人に縛られることなんて絶対に出来ない。

瑠璃さんが認める恋愛は東宮様にはけして叶えることができないもの。

だからね、僕にしなよ。落ちぶれたとしてもそれでも瑠璃さん一人にだけしか愛を捧げないんだから。」

高彬の言うことは分かる。

確かにそうだわ。

あたしのような我儘が通るわけがないのですもの。

あたしの苦しみは歴代の女御様方が堪えぬきそして帝を沢山の女御様たちとで守り抜いてきたのですもの

。長い長い後宮の歴史の中で色々なことがありそれを乗り越えて後宮が成り立っているのですもの。

あたしのような我儘だけをいうだけのものには女御は相応しくないのかもしれない。

色々歴史を学んだけれどやはりあたしには女御は重荷なのかもしれない。

あたしには高彬のように一人だけを愛することが出来る人の元で暮らすのが幸せなのかもしれないわ。

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結9


結局元に戻った状態であたしは自分の部屋に戻った。

もう既に遅かったことに気が付いたのはそれからすぐのことだった。

夕餉が終わり一息がついたころ周りが物凄く騒がしくなっていったの。

沢山の足音が行ったりきたり。

そして警備のものたちが後宮にまで厳戒態勢で張り巡らされ急にピリピリし始めたの。

一体何が起こったのかもわからずにあたし達は部屋を出ることもかなわずにじっとしていることしか

できなかった。

そして様子を伺いに行った小萩が大慌てで部屋に飛び込んできたのよ。

「瑠、瑠、瑠璃さま~~~~~~~~~~~~」

女御という尊称も忘れて小萩は大声を上げて中に入ってきたのよ。

「小萩落ち着きなさい。一体何が起こったの?」

「それが、右大臣家東宮様に謀反を起しそれが失敗し沢山の方々が捕えられてしまったのです。

梨壺女御様がたも幽閉されて部屋から一歩も出してもらえない状況のようですわ!」

なんですって!!!!!!

じゃあ~もしかしたらあの文を書かせたのは右大臣家?

でも鷹男の女房が持っていたのよ。それって!

あたしは色々考えを巡らせていた。

頭がいい鷹男のこと。もしかしたらこの陰謀は最初から分かっていてこの陰謀を暴いたんじゃないの?

色々な考えが頭をよぎる。

そしてあたしは愕然とした。

もう遅いのだと。

陰謀が起こる前に止めたかったのに・・・・・・

大臣家が首謀者だったら高彬は?高彬はどうなったの?

まさか!あたしを助けるために陰謀を起したんじゃ?

「ねえ!小萩!高彬はどうなったの?無事なの?」

「それが陰謀によって誰かが命を落としたものはなかったそうです。右大臣家やそれに加担したものは

皆捕えられ幽閉か蟄居の形になっているようですわ。そして高彬様も!あっ!」

急に大きな声を上げた小萩はあたしに少し待つようにいい自分の部屋へと戻っていってしまったの。

そしてすぐに小萩はあたしのところに戻ってきて小さな声で文を渡しながらこういったの。

「これは高彬様が数日前に高彬様の身に何かがあったら瑠璃さまにお渡しするように言いつけられたものですわ。」

何ですって!

あたしはその文をばっと受け取り慌てて中身を読み出す

 

この文を読んでいるということはもう僕は東宮様に負けてしまったということなんだろうね。

苦しんでいる瑠璃さんを救おうと思い僕はありとあらゆるものを使い東宮様に望んだんだけど

ダメだったみたいだ。

瑠璃さんを後宮から出してあげることができなくて本当にごめんよ。

もう会うことはできないとは思うけど幸せになってほしい。

絶対に僕の後を追わないでよ。

瑠璃さんのことだから僕を助けようだなんて考えるかもしれないから。

瑠璃さん・・・・・さよなら・・・・・

高彬より

 

 

 

 

 


あたしはこの文を読んで立ち上がった。

高彬のことだから覚悟を決めて死を選ぶかもしれない。

鷹男と高彬の間で何があったのかは知らない。

でもあたしは高彬との付き合いは何十年とあるのよ。

高彬の性格だったら絶対にこのままで終わるわけがないわ。

あたしが高彬をここまで追い詰めてしまったのよ。

自分のことで必死になって高彬に救いを求めてしまったんだもの。

あたしが今動かないでいつ動くのよ!

今は丁度陰謀が発覚したばかりで皆が慌てて動き回っているところよ!

あたしが動ける隙は必ずあるわ。

高彬!お願いだから早まらないで頂戴!

お願いよ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局僕は東宮様に勝つことができなかった。

東宮様を陰謀の首謀者に仕立て上げようと色々画作して自分のできる限りの力で向かっていったのに

ダメだったよ。

まさか自分が動く動きをさきに読まれて東宮様の手のひらで僕は踊らされていただなんてね。

僕は馬鹿だ。

でもまだ完全に負けたわけじゃないんだ。

僕は瑠璃さんさえ手に入れることができればいいんだから。

貴族としての栄光を奪われたとしても謀反人の称号をもらっても瑠璃さんさえ僕の元で一生を過ごしてくれればそれでいいんだから・・・・・・・。

もうそろそろ瑠璃さんは僕の文に気が付いたところだろう。

瑠璃さんのことだから僕を助けようと必死になって後宮から抜け出してくれると思う。

そうなったらもう僕のものだ。

早く瑠璃さん・・・・・・・・・・・・僕の元にきて欲しい。

これで瑠璃さんは僕のものだ!

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結8


一体あの文は何なのか?そして楓さんが言った私達って一体誰なのか?

色々考えそして次に自分がどう動けばいいのか悩み続けた。

楓さんが言った私達って言うのが誰なのかはそう難しいことではなかった。

多分あの小百合という女房のことだと思う。

彼女も鷹男の女房だし楓さんとは同僚だわ。

小百合と楓さんが繋がっているからこそあの文を楓さんがあたしから取り戻そうとしたんだと思う。

だったらどうして?

鷹男を今上帝暗殺者に仕立て上げるとても恐ろしい文なのよ。

あの文の意味を知っていてどうしてあんなに冷静な態度で入られるの?

あの文が一体誰が書いたのかそしてその意味を知っているとでもいうの?

考えれば考えるだけ訳が分からなくなる。

でもあの文を見た状態でこのまま動かないなんてあたしの性分じゃ無理だもの。

早速あたしは小百合の元に言って話を聞こうと思ったの。

本当のことは話してくれないかもしれない。

でもすぐにでも動かなければ間に合わない。

そんな予感がするんだもの。

あたしは女房装束を小萩から借りて東宮御所のほうへと向かっていったの。

そして運がいいことにあたしは小百合の姿を見かけたの。

端っこの部屋で、確かあそこは物が置いてあるだけの塗籠だったような気がする。

あんな場所に何か用事でもあるのかしら?

あたしはそこに誰も入っていかないか、入るものはいないか、そう様子を伺っていたのよ。

しばらくしても誰もその部屋から動きがないためあたしはその部屋に入ろうとした。

その時その部屋から女性が出てきたのよ。

見たこともない女性。化粧が濃くて容姿には優れていないけど別段気にもせずあたしは

部屋の中に入っていったの。

でも!?

あれ????

誰もいない・・・・・・・・

絶対にあの部屋に小百合は入っていった。自分の目で見たんだもの。

でもその部屋から小百合は出てこなかった。

なのにどうして小百合が部屋にいないの?

そしてハッとなって気が付いた。

まさか!

あたしは慌てて部屋を飛び出した。

さっきすれ違った女性。

彼女を必死で探していく。

あの女は一体誰?

すれ違ったと同時にあの香水くさいにおいがうっすらと廊下に残されている。

化粧が濃かったためかなり独特なにおいがすれ違ったときしたのよ。

それを頼りにあたしは急いで走っていった。

そして見つけた!

その彼女を見つけた先はあれ?

そう彼女は梨壺の女房達が集まっている部屋へと中に入っていったのよ。

あの女性は梨壺の女房?

でも彼女はもしかしたら小百合じゃないかとあたしは疑っているのよ。

あの濃い化粧に隠された素顔は小百合なのじゃないかと。

でもどうして小百合が梨壺の女房のふりをするの?

その意味は何なの?

彼女は間者なのだろうか?

そのままその部屋から離れずにしばらく待っていたの。

あの厚化粧の人が小百合なのかも確かめないといけないしあの女が何を考えているのかも知りたいし。

そう思いながらしばらく待っていたら部屋からあの女性が姿を現した。

でも一人でもなく見たことがある殿方と一緒に。

その殿方とは鷹男に少し容姿が似ている帥の宮だった。

二人はほんの少し話を交わしただけですぐに別れていった。

二人の雰囲気は恋愛沙汰な感じじゃなく少し緊張感があったような気がした。

一瞬考えているうちに二人はどこかに行ってしまったのよ。

これでは手掛かり最初に戻ったのと同じよ。

結局一体どういうことなのか分からずあたしは部屋へと戻っていったのよ。

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結7


唐突に自分の目の前に現れた一枚の文。

そこに書かれていたのはとんでもないものだった。

どうすればいいのか分からずあたしはただそれを何度も何度も読み直すことしか出来なかったの。

そして気が付いた。

あれ!?

初めはパニックになっていたため気が付かなかったけどよくよく目を凝らしてみると

鷹男の筆跡にしては少し違う文字が目に映る。

まさか!?

もう一度最初から最後までじっくり読んだあたしは気が付いた。

これは鷹男が書いたものじゃないということに。

これは偽物よ!

ということは誰かが鷹男に陰謀をかぶせようとしているということなの?

でも・・・・一体誰がそんなことを?

それよりもこれを早く鷹男に見せないと!

一刻も早くこれを見せて鷹男を救わなければ!

あたしはその文を持って部屋を出ようと立ち上がった。

でも、ふと頭によぎった。

ちょっと待って?この文を持っていたのって小百合という鷹男の女房じゃなかった?

だったらもしかして小百合という女房が鷹男を裏切って筆跡を似せた文を誰かに渡そうとしていたの?

あ~~~~~~~~分からないわ!

色々なことが頭によぎっていく。

小百合が鷹男にとって味方なのか?それとも敵なのか?

あたしは小百合のことを知らない。

顔だけチラッと見たことがあるだけ。

どんな人なのかは知らない。

でもこれはいえる。これから起こることはこの女性が関与しているということを。

あたしは色々考えた結果すぐに鷹男のところに伝えに行くのを止めることにしたの。

あたしの手にはこの文しかない。

情報がまったくないんだもの。

こんな物騒なものがあたしの手の中にあるのよ。

絶対にこれを取りに来ようとするものはいる筈よ。

だったらこの文を狙うものが何者なのかそれを知ってから鷹男にいいに言っても遅くないと思うのよ。

それにしても一体誰がこんな恐ろしいことを考えようとしているのよ。

あたしの知らない間に色々とことが起こっている中あたしもいつの間にやら

鷹男と高彬の攻防戦のなかに知らず知らずのうちに参戦していることにこの時のあたしはまだ

知らなかった。

あたしは文の中身を知らない振りをしてこの文を狙うものをおびき寄せようとしたの。

ここは麗景殿。そう簡単にはこの文を手にしようとするものはいない。

でも簡単に手にできるようにおびき寄せればすぐにでも正体を現してくれるはず。

そう思い罠を張り巡らした。

自分の寝所の一角に文箱を置きそこに文を置いた。

蝋燭の火がうっすらとする中周りは夜の帳が落ちる。

本来なら皆が寝静まる真夜中。

静かな部屋の中であたしは寝た振りをしながら文を狙うものがこないか今か今かと待ち続ける。

そして静に足音がしたのよ。

あたしは一瞬で緊張がピークになった。

あたしはただ犯人の動きに集中しながらじっと我慢しながら待つ。

そして文を持った犯人が立った瞬間あたしはすぐ傍に置いておいた蝋燭に火をつけ犯人の顔を

見つめた。

なっ!!!!!!!!

あたしは多分小百合が文を取りに戻ったのかそう思っていたの。

でも違う、文を持って立去ろうとしたのは楓さんだったのよ!

「どうして!!!!!!!!!」

あたしはあまりにも驚き楓さんに声をかける。

「何故その文をあんたが持っていこうとするのよ!それが一体何の文なのか知っているの!」

あたしの突然の動きに楓さんも一瞬驚いた表情をしたの。

でもそれはすぐに消えいつもの冷静な楓さんに戻ってしまう。

「この文の中身を女御様は知ってしまったのですね。」

あたしの態度に気が付いた楓さんはそう淡々とあたしに答えたの。

その姿を見たあたしはつい怒りにかられた。

だって鷹男の寵愛高いといわれる楓さんが鷹男を裏切っているのよ!

そんなことをあたしが知って黙っていることなんてできないわよ!

「楓さん!まさかあんたがたか、東宮様を裏切っているなんて思いもよらなかったわ!」

あたしのこの発言に急に怒りの声を楓さんは露した。

「私達は東宮様を裏切ることなんて致しませんわ!申し訳ございませんが女御様。この件は

お忘れください。お願いですから私がここに来たことはなかったことにしてくださいね。

お願いいたします。」

そういった楓さんは急いで部屋を出て行ってしまったの。

あまりにも驚いてしまってそのままあたしは楓さんを行かせてしまう。

どうして!どうして楓さんは鷹男を裏切ってないというのよ。

だったらなんで鷹男の偽物の文を持っていってしまうの!

あの文は鷹男が今上帝を呪い殺すために依頼した恐ろしい文なのよ。

それをもっていきながら鷹男を裏切っていないとどうして自信満々にいえるというのよ!

あまりにも理不尽さにあたしは頭を抱えた。その時楓さんが言ったある一言を思い出した。

私たちが東宮様を裏切るなんて致しません。そう楓さんは言ったわ。

殆ど冷静な姿であたしと対峙したくせにあの質問のときだけ感情が露になった。

私たちは東宮様を裏切っていない・・・・・・それって楓さんと誰?・・・・・

誰が裏切っていないの?

あたしはこの言葉の真実を解き明かそうとした。

それによって今起ころうとしている陰謀の意味が分かるんじゃないかと

そう感じながら一睡もしずにずっとあたしは考え続けていたのよ。

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結6


重陽の宴が終わり一段落終わった感じがした。

それと同時にずっと心の奥に隠し持っていた気持ちが急速に大きくなっていく。

あたしはあの眼差しを感じたのに、あたしが愛した人の視線を感じたのに無視をしたの。

重陽の宴では沢山の方たちが集まる。

当然鷹男の席もあったわ。

もう何ヶ月も姿を見ていなかった鷹男を見ることが出来て胸がドキドキした。

けしてあたしの方をずっと鷹男が見ていたわけじゃない。

でもあたしに無言の視線がまとわり付く。

それでもあたしは楽曲の演奏を成功させることで必死でしょう。

絶対に鷹男の方は見ない。

そして必死になって演奏をした。

あたしは演奏が成功したことで気持ちも昂ぶっていたけど結局一度も鷹男の方を見ることはなかったの。

鷹男と視線を交わしたらあたしはどうなってしまうの。

ずっと気持ちを押し隠していたのよ。

自分が宴で成功した場でどんなことになっていたか分からないじゃない。

だからずっと無視していたの。

その視線から逃れるようにあたしはずっと無視して結局一度も視線が会うこともなかった。

でも人段落するとやっぱりあの視線を無視しなくてもよかったんじゃないかとそんなことを

思うようになる。

鷹男を少し見ただけ。言葉を交わしたわけじゃないし視線でさえあたしは無視した。

それなのにたったあれだけなのに結局鷹男に会いたいのよ。

色々ウジウジシテいるけどただ会いたいのよ。

ずっと会わなかったらそれでよかったんだろうけど。

でも姿を見てしまった。ただそれだけで会いたい気持ちが募る。

あたしから会いにいくわけにもいかないしそんな勇気もでない。

ずっと考え抜いた末あたしは結局鷹男に文を書くことにしたの。

あてさわりもなく宴のことから書き始めそして鷹男に会いたいから麗景殿に来て欲しいと。

何度も書き直しては必死に書いた。

この文を小萩に頼んで鷹男に届けてもらえばあたしは鷹男と久しぶりに言葉を交わすことが出来るのだ

ろう。でも・・・・でも・・・・・・怖い・・・・・・

会うのにもう何ヶ月も経つしそれに楓さんのこともある。

また色々悩んでしまう。

結局あたしはその文を手に持ちながら東宮御所に向う。

この文を直接渡せる勇気がないのに偶然鷹男に出会えたら。

そんな馬鹿な望みが心をよぎる。

偶然を願い麗景殿からゆっくり歩き出した。

そして曲がり角を曲がろうとしたとき

ドシン~

「「きゃあ~」」

あたしは誰かとぶつかってしまったの。

結構衝撃はあった。でも怪我はするほどのことはなかった。

「まあ~女御様ではございませんか?」

「えっ!?」

言葉をかけてきたのは話をしたことはないけど鷹男付きの小百合という女房だったの。

「あたしは大丈夫よ、でも~」

あたしは転がっている箱にきが付いた。

箱から文が落ちていたようで

あたしはその文を小百合に渡そうとしたとき

「女御様!」

必死な声があたしの行動を止める。

「?」

その隙に小百合は文を手に取り簡単な挨拶をしたらその場をさっさと立去ってしまったのよ。

急ぎなようだったからあたしはあえて声を掛けなかったけど一体なんだったんだろう?

すぐに自分も文を持っていたことを思い出し文を探した。あたしの文はすぐに見つかった。

結局その文を鷹男に渡すことができず自分の部屋に戻ることにしたのよ。

何でだろう。やっぱり自分で文を渡すことができない。

こんなことが続いたら鷹男と会うことなんてできないじゃない。

あたしはやっぱりもう一度見直して小萩に渡して鷹男の方から会いに来てもらえるように

しよう。そう思い文を見直そうとした。

でも!!!!

え!????????

どうして!!!!

そんなことあるわけがないじゃない!

何度みてもあたしの字じゃない。

そう何度もなじ親しんできた鷹男の筆跡じゃない。

それなのにこれはどうして今上帝を呪い殺そうとする依頼が書いてあるのよ!

鷹男が今上帝を呪い殺そうとするなんてあるわけがない!

そんなことするわけがないじゃない!

あたしはわけが分からなくなりパニックに陥ってしまったのよ。

この一枚の手紙が陰謀への第一歩になっていたなんて思いもよらなかったの。

あたしの知らない水面下でさまざまな遣り取りがあっただなんて気がつきもせず

あたしはただ動揺して考えることしかできなかったのよ。

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好きなのに~狂おしい愛憎の終結5


楓さんからの挑戦を受けたあたしは必死になってさまざまなことを吸収していった。

昔だったらサボって後宮のメンドクサイ仕来りや貴族の仕組みなんて覚えようとも思わなかったはず。

でも今は違う。

楓さんに喧嘩を売られたから買った。それもあるけど勉強をしていくうちにドンドンあたしは

のめりこんでいったの。

あんなに大嫌いな勉強が好きになるなんて昔のあたしだったら考えられない。

でも凄く面白いのよ。

楓さんはあたしに後宮で生活するための知識をすごい速さであたしに教えてくれる。

でもいろいろな歴史を楓さん流にアレンジして物語のように話してくれる。

長い長い歴史の中で女たちがどれだけこの京を、後宮を支えてきたのか。

深い歴史を考えながらそして感じながら覚えていくと自然と体に覚えていくようで

面白いくらい吸収する力が感じられていく。

後宮での役職がどんなものなのか、どういった意味があるのか、女御様たちを支えてきたものが一体どんな人たちなのか。

色々な覚え方で楓さんは教えてくれる。

その教え方がとても上手くて小萩なんてもう今では楓さんを敵視する姿勢は消えほとほと感心しているのよ。

全くこういったことをおぼえようとしないあたしをやる気にさせただけでも凄いって

そういって感動ばかりしているの。

でも実際あたしは今までは貴族らしからぬことばかりしていたでしょう。

それがどれだけとんでもないことばかりしてきたのか知ることができた。

何故周りがあんなにあたしを軽視した目で見てきたのか十分に分かったわ。

だからといってあたしは自分を変えない。

もう何十年と培ってきた性格が変わるわけがないでしょ。

変えようとは思わないけどこういった対処の時はどうすればいいのか、どう声をかければいいのか

どう振舞えばよいのか分かってきたわ。

昔のあたしなら多分そのまま怒りくるって大声で大騒ぎするだけ。

下手したら手が出たかもしれない。

でも昔のままでいるわけにもいかない。

少しはあたしだって成長したんだからね。

そうして沢山のことを学んだ。

もちろん全然できなかった楽器も一通り出来るようになっていた。

あたしが楽器なんて上手に弾ける訳がない。

そういって散々小萩にも迷惑をかけた。

昔は全然弾けなくてだからこそ楽器の演奏なんて面白くもない。

そう思っていたのに案外やってみると面白いもので一緒に合奏する楽しみも出てきた。

今度重陽の宴がある。

その時にあたしは初めて今上帝やさまざまな女御様の前で演奏をすることにもなってるの。

今までは楽器なんて弾けないからといつもお断りするのが大変だったけど

それを楽しんででいることにもあたしは驚きを覚えていた。

今はとても充実していて凄く楽しく過ごすことができている。

そう、あたしはあえて鷹男や高彬のことを今は忘れたかったのかもしれない。

高彬に助けを求めたとしてもそれでもじっと出来ないあたしの気性ゆえだったのかもしれない・・・


色々特訓を重ねているうちについに重陽の宴の日がやってきた。

重陽の宴とはちょうどこの頃は菊の花が美しく咲く時期。そこで菊の花を愛でる日になっているの。

この日は菊酒を飲むと寿命が延びるといわれていて皆で菊酒を振る舞い

そして舞を踊ったり、弦楽を演奏したりして過ごす宴のことなのよ。

ここ後宮ではあたしたち麗景殿が主催する筝の琴を女房達とあたしとで今上帝や女御様方

もちろん鷹男の前で演奏をしないといけないから凄く緊張をしていたのよ。

美しい十二単に身を包んだあたしは普段は平凡な容姿をしているのだけど

結構美しく綺麗にしてもらえることができた。

楓さんの教えてもらったほんのすこしの仕草を変えるだけでこんなに美人に見えるなんて吃驚よ!

あたし達が演奏の場についたときは周りがシーンとなるほど。

いつもだったら色々何かを言うはずなのにね。

まあ~今はその対象があたしじゃなく楓さんに主に集中しているから今のところ大人しく

席につくことができたけどね。

そうして演奏をしようとして琴に指を入れた途端

パチン!!!!!!!!

あたしだけじゃなく他の女房達の分まで弦が1本切れてしまったのよ。

何でよ~~~~~~~~~~~~~~~~~!

絶対に何処かの女御様方の陰険な嫌がらせよ!

いつものあたしなら立ち上がってくすくすと笑っている方の目の前に行って大声で叫び取り乱していたかもしれない。

でも今は違うわ。

あたしはこういったことも起きるかもしれない。

それを想定してもう一つ持ってきた楽器を独奏の形で弾きはじめた。

ずっと一生懸命に筝の琴を麗景殿の女房達と一緒に合奏をしてずっと打ち合わせをしてきた。

初めはあたしがあまりにも下手で浮いていたけど今では皆と一緒に弾いてもなんとかなるくらいにまで

上達をしたわ。

それでもやっぱりあたしには筝の琴はこれ以上は上達できない。何故かそう思った。

変わりに横笛も弾いて練習を続けてきた。

弟の融が横笛が得意だったから何度か麗景殿に来てもらい横笛の練習もしていたのよ。

横笛は融が得意なこともあって三条邸ででも何度も聞いて馴染み深かったから弾きやすくて

練習を続けていくうちに横笛はあたしにでも才能があったみたいで相当上手くなったみたい。

ただ、横笛の練習も必死になっていることは他の人たちに広まらないように内緒で練習もしていたのよ。

まさか土壇場で横笛を披露しないといけなくなるとは思わなかった。

ただもしかしたらの用心として十二単の袖の中に隠し持っていて正解だったわ。

独奏は人前では初めてのこと。

皆には誉められても自分の腕前がこんな短期間で上達できるほどの才能があるとは思えなくて

凄くドキドキしたわ。それでも必死に自分の感情を乗せて全てを出し切った。

そうして弾ききった後は沢山の歓声で迎えられて凄くホッとしたわ。

今上帝からもお褒めの言葉を頂き今までで一番嬉しい宴を迎えることができたのよ。

あの重陽の宴を終えてから周りの反応がガラッと変った。

怖そうな命婦たちからも内の女房達によく頑張ったと誉めてくれたようで

今までのあたしの評価はうなぎのぼりのように上がっていったの。

それにあたしは鷹男を巡って楓さんとは不仲になっても仕方がないはずなのに

今では仲良く一緒に過ごすことのほうが多くて

女御の立場で楓さんを信頼している姿を周りが見かけその姿も評価を上げる一因ともなっていったの。

いろいろあったけどいつの間にやらあたしは楓さんとは凄く仲がよくなっていて

凄く冷たいような態度だし反応がいつも怒って見えるけど実はただ表情の変化が乏しいだけで

凄くあたし達のために言ってくれるからあたしは凄く楓さんにも懐いていったの。

水面下で鷹男と高彬の戦いが表面化するのがもうすぐ傍まで来ていたのにあたしはそれにも気が付かずに充実で楽しい後宮生活を送っていたのよ。

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