妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~狂おしい愛憎の終結11終


あたしは決心が付いた。

あたしの表情に気が付いたのか、高彬はあたしに向かって手を差し出す。

そしてあたしはゆっくりとその手を掴もうと

前に出したとき

きゃあ!

反対側のほうに引っ張られあたしは力いっぱい抱きしめられる。

一瞬何が起こったのかわからなかった。

でも抱きしめられて分かった。

「鷹男!」

どうして!?どうして鷹男がここにいるの?

久しぶりの温もりだった。

もう何ヶ月も鷹男から離れていた。

話すこともせず鷹男の気持ちが分からなかった。

信じることができなかった。

そんな鷹男が今あたしの体を抱きしめている。

東宮様!瑠璃さんを離してください!あなたに瑠璃さんを幸せにすることなんてできない!

どれだけ瑠璃さんを苦しめてきたのか分かっているのですか?いえ、あなたのことだから分かっていて

やっていたことなのでしょう~」

何?分かっていてやっていたこと??????

それって一体どういうことなの?

「あなたが一体何をしたいのか今なら分かります。でもそれって我儘すぎはしませんか?

一体どれだけの人を犠牲にしたら気が済むのですか?

その犠牲者の中には瑠璃さんも含まれているんですよ!分かって見えるのですか!?」

高彬の必死な訴えに鷹男は静かに聞いているようだった。

あたしは腕をつかまれ抱きしめられていたから二人の表情がどうなっているのかは分からない。

でも高彬の必死な訴えは声を聞いているだけで分かる。

あたしがどうして鷹男の犠牲者なのかその意味は分からない。

でもあたしは確かに鷹男の気持ちが分からずに苦しんで苦しんで凄く辛かった。

鷹男の気持ちがあたしにないのだったらもう後宮を去ってもいいと思った。

高彬の元で暮らせばいいとそう思えた。

なのに鷹男はあたしを引きとめる。

あたしが力を入れてもびくともしない。

力いっぱいあたしを抱きしめる。

もう離さないといわんばかりに!

でもどうして?どうしてあたしを引きとめるの?

もうあたしなんてどうでもいいんじゃないの?

鷹男にとってあたしなんて居なくてもいいんじゃないの?

鷹男にはもう楓さんという愛する人が居るのだから・・・

結局あたしには他の人と共有なんてできないんだから・・・・・・・・

「鷹男・・・お願いよ・・・離して頂戴・・・・・

もうあたしは鷹男の元で暮らすなんて出来ないわ。あたしにはやっぱり無理だったのよ。

あたしだけを愛してくれる、そんな人と結婚した方がよかったのよ。

あたしは東宮妃には向いていなかった。あたしは普通の姫じゃないんだから。」

「だったら私も普通の東宮ではありませんよ瑠璃姫。」

「えっ!?」

「私はあなたと一緒になって変りました。今までは京のため、そして自分が次期帝のためにどうやっていくのがいいことなのかずっと考えて行動してきました。

自分の利用価値が高いものを優先に考え

自分の思い通りに前に向かっていくだけ。ほぼ全てのものが簡単に手に入った。

だからこそ自分が欲しいと渇望する気持ちは芽生えることがなかったのです。

しかし今は違う。何があろうとも私にとって一番優先する人がいる。

この人のために、愛する人と一生を共に生きて行きたい。瑠璃姫、あなたと出会ってから

私はあなた以外は欲しくなかった。

何を犠牲にしてもあなた以外欲しくなかったのです。

そして今、あなたは私の胸の中にいます。」

「鷹男・・・」

「瑠璃姫に辛い想いをさせてきました。あなたが苦しんでいるのをただ黙って見ているだけでした。

でも私はあなたを信じていたのですよ。あなたなら乗り越えてくれると。」

でも・・・鷹男・・・あたしには無理だった。

あんたが他の人に向いたところを目撃して心穏やかなはずはないわ。

だから高彬に救いを求めてしまったのよ。

「ごめんなさい、あたしには無理だった。」

「いいえ!さすがは私の姫君です。あなたは私の期待に答えてくれました。あなたが頑張ってくれたからこそ後宮は一つになることができたのです。」

後宮が一つ?

一体何を言っているの?

「やはりそうでしたか」

高彬の諦めに似た言葉が耳に届く。

「瑠璃さん、東宮様はとんでもないことを成し遂げようとしてみえたんだよ。

瑠璃さんのために、瑠璃さん以外を后に迎えないようにずっと動かれそしてもうすぐ

それが実現しようとしている。」

何?

「今は確かに鷹男の女御様はあたししかいないわ。梨壺の女御様は右大臣家の方だし

桐壺の女御様は右大臣家と手を組んで鷹男を失脚させ自分の御子様を次期東宮様にしたてようとな

さったのだもの。お二人とも尼になられるとお聞きしたわ。だけど女御様が今はあたししかいないけど

これからは、沢山の貴族達が自分の娘を女御様に上げようと必死になさるでしょう。

だからあたしだけというのは無理なはずよ!」

「常識で言うならそうだよ。でも東宮様が今までずっと行動していたのは瑠璃さんと二人きりになるため

。簡単に言えば東宮様の后は瑠璃さんだけ。これからはそうしようと周りに手回しされていたんだよ。

僕も東宮様に負けてからやっと気が付いたよ。東宮様が瑠璃さんを簡単に手放すわけがない。

そう思っていたのに自分の欲望を優先させてしまった。」

そんなことできるの?

鷹男は東宮様なのよ!次期帝になられるお方よ!それも今上帝は病で伏せていることが多いから

もうすぐ譲位が近いと噂されていたから鷹男はもうすぐ帝になるのよ。

そんな高貴な身分のお方がたった一人だけしか后を迎えないなんてできるわけがないわよ。

「私はね、瑠璃姫。あなた以外は欲しくはないのですよ。ずっといい続けていましたね。

あなただけをと。でも自分の身分でそれを許されることは容易ではありません。

自分の身分をかけても、そして命を懸けてでもあなたが欲しかったのです。

もう新しい女御を迎えなくてもよくなりました。

私にはあなただけ。瑠璃姫あなた以外に私の愛する人はいないのです。

お願いですから高彬の元に行かないでください。

一生あなたを幸せにします。あなた以外は愛しません。

一生あなただけですよ!」

あたしは信じられない気持ちでいっぱいだった。

夢のような台詞。

鷹男があたしだけだと行動してからの初めてのプロポーズ。

あたしは涙を流しながら鷹男に顔を向ける。

鷹男はあたしよりも背が高いためあたしは上を向く形になる。

「鷹男!あんたのプロポーズ受けます!もうあたしを離さないでね!」

そう言って自分のほうから口づけをした。

まだまだ完全の終わりではない。

沢山の人を犠牲にしてしまったんだから。

でも鷹男があたしのために犠牲をしてまで頑張ってくれたのだからあたしはその罪を

鷹男と分かち合いながら後宮を治めていこうと思う。

鷹男が沢山の人々の責任を負いながら政治をやっていくのだったらあたしは鷹男を

支えて後宮での争いをなくし共存しながら頑張って生きたい。

鷹男が後ろを安心して任せてもらえるように努力をするわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして鷹男は帝から譲位され今上帝へとなった。

その隣にはあたしが鷹男の唯一の后となり鷹男を一生支えることになる。

今までの治世の中で帝の后が一人というのは前代未聞のこと。

しかし鷹男に逆らってまで新しい后を入内させようという貴族はいなかった。

そういうものは全て先の陰謀でみな粛清されてしまったから。

あたしの後継人である父さまは元々野心がない人だったから周りの人にはあまり警戒されなくて

あたしが唯一の鷹男の后であっても許してもらえるように鷹男のほうから働きかけもあり

思ったよりは揉めなかったの。

後宮の一番の仕事はお世継ぎをもうける事。

でもあたしは心配していない。

愛する鷹男のためにどちらかに似た可愛いやや子が生まれてくる。

そんな予感がするのよ。

産まれなくても次期後継者はどうするのか鷹男は既に動いているみたいだしね。

あたしがまさか鷹男にとってただ一人の女御になれることができただなんて信じられない。

でもここまで来るまでに沢山の犠牲を伴ってきたわ。

あたし達は一生忘れない。

あたしと鷹男は犠牲の上で今の地位に居られるのだから。

そのためにも一生をかけて鷹男と共に京を守っていくわ。

そして一生を鷹男に捧げる。

今、あたしは幸せよ・・・・・・・

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