妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~狂おしい愛憎の終結5


楓さんからの挑戦を受けたあたしは必死になってさまざまなことを吸収していった。

昔だったらサボって後宮のメンドクサイ仕来りや貴族の仕組みなんて覚えようとも思わなかったはず。

でも今は違う。

楓さんに喧嘩を売られたから買った。それもあるけど勉強をしていくうちにドンドンあたしは

のめりこんでいったの。

あんなに大嫌いな勉強が好きになるなんて昔のあたしだったら考えられない。

でも凄く面白いのよ。

楓さんはあたしに後宮で生活するための知識をすごい速さであたしに教えてくれる。

でもいろいろな歴史を楓さん流にアレンジして物語のように話してくれる。

長い長い歴史の中で女たちがどれだけこの京を、後宮を支えてきたのか。

深い歴史を考えながらそして感じながら覚えていくと自然と体に覚えていくようで

面白いくらい吸収する力が感じられていく。

後宮での役職がどんなものなのか、どういった意味があるのか、女御様たちを支えてきたものが一体どんな人たちなのか。

色々な覚え方で楓さんは教えてくれる。

その教え方がとても上手くて小萩なんてもう今では楓さんを敵視する姿勢は消えほとほと感心しているのよ。

全くこういったことをおぼえようとしないあたしをやる気にさせただけでも凄いって

そういって感動ばかりしているの。

でも実際あたしは今までは貴族らしからぬことばかりしていたでしょう。

それがどれだけとんでもないことばかりしてきたのか知ることができた。

何故周りがあんなにあたしを軽視した目で見てきたのか十分に分かったわ。

だからといってあたしは自分を変えない。

もう何十年と培ってきた性格が変わるわけがないでしょ。

変えようとは思わないけどこういった対処の時はどうすればいいのか、どう声をかければいいのか

どう振舞えばよいのか分かってきたわ。

昔のあたしなら多分そのまま怒りくるって大声で大騒ぎするだけ。

下手したら手が出たかもしれない。

でも昔のままでいるわけにもいかない。

少しはあたしだって成長したんだからね。

そうして沢山のことを学んだ。

もちろん全然できなかった楽器も一通り出来るようになっていた。

あたしが楽器なんて上手に弾ける訳がない。

そういって散々小萩にも迷惑をかけた。

昔は全然弾けなくてだからこそ楽器の演奏なんて面白くもない。

そう思っていたのに案外やってみると面白いもので一緒に合奏する楽しみも出てきた。

今度重陽の宴がある。

その時にあたしは初めて今上帝やさまざまな女御様の前で演奏をすることにもなってるの。

今までは楽器なんて弾けないからといつもお断りするのが大変だったけど

それを楽しんででいることにもあたしは驚きを覚えていた。

今はとても充実していて凄く楽しく過ごすことができている。

そう、あたしはあえて鷹男や高彬のことを今は忘れたかったのかもしれない。

高彬に助けを求めたとしてもそれでもじっと出来ないあたしの気性ゆえだったのかもしれない・・・


色々特訓を重ねているうちについに重陽の宴の日がやってきた。

重陽の宴とはちょうどこの頃は菊の花が美しく咲く時期。そこで菊の花を愛でる日になっているの。

この日は菊酒を飲むと寿命が延びるといわれていて皆で菊酒を振る舞い

そして舞を踊ったり、弦楽を演奏したりして過ごす宴のことなのよ。

ここ後宮ではあたしたち麗景殿が主催する筝の琴を女房達とあたしとで今上帝や女御様方

もちろん鷹男の前で演奏をしないといけないから凄く緊張をしていたのよ。

美しい十二単に身を包んだあたしは普段は平凡な容姿をしているのだけど

結構美しく綺麗にしてもらえることができた。

楓さんの教えてもらったほんのすこしの仕草を変えるだけでこんなに美人に見えるなんて吃驚よ!

あたし達が演奏の場についたときは周りがシーンとなるほど。

いつもだったら色々何かを言うはずなのにね。

まあ~今はその対象があたしじゃなく楓さんに主に集中しているから今のところ大人しく

席につくことができたけどね。

そうして演奏をしようとして琴に指を入れた途端

パチン!!!!!!!!

あたしだけじゃなく他の女房達の分まで弦が1本切れてしまったのよ。

何でよ~~~~~~~~~~~~~~~~~!

絶対に何処かの女御様方の陰険な嫌がらせよ!

いつものあたしなら立ち上がってくすくすと笑っている方の目の前に行って大声で叫び取り乱していたかもしれない。

でも今は違うわ。

あたしはこういったことも起きるかもしれない。

それを想定してもう一つ持ってきた楽器を独奏の形で弾きはじめた。

ずっと一生懸命に筝の琴を麗景殿の女房達と一緒に合奏をしてずっと打ち合わせをしてきた。

初めはあたしがあまりにも下手で浮いていたけど今では皆と一緒に弾いてもなんとかなるくらいにまで

上達をしたわ。

それでもやっぱりあたしには筝の琴はこれ以上は上達できない。何故かそう思った。

変わりに横笛も弾いて練習を続けてきた。

弟の融が横笛が得意だったから何度か麗景殿に来てもらい横笛の練習もしていたのよ。

横笛は融が得意なこともあって三条邸ででも何度も聞いて馴染み深かったから弾きやすくて

練習を続けていくうちに横笛はあたしにでも才能があったみたいで相当上手くなったみたい。

ただ、横笛の練習も必死になっていることは他の人たちに広まらないように内緒で練習もしていたのよ。

まさか土壇場で横笛を披露しないといけなくなるとは思わなかった。

ただもしかしたらの用心として十二単の袖の中に隠し持っていて正解だったわ。

独奏は人前では初めてのこと。

皆には誉められても自分の腕前がこんな短期間で上達できるほどの才能があるとは思えなくて

凄くドキドキしたわ。それでも必死に自分の感情を乗せて全てを出し切った。

そうして弾ききった後は沢山の歓声で迎えられて凄くホッとしたわ。

今上帝からもお褒めの言葉を頂き今までで一番嬉しい宴を迎えることができたのよ。

あの重陽の宴を終えてから周りの反応がガラッと変った。

怖そうな命婦たちからも内の女房達によく頑張ったと誉めてくれたようで

今までのあたしの評価はうなぎのぼりのように上がっていったの。

それにあたしは鷹男を巡って楓さんとは不仲になっても仕方がないはずなのに

今では仲良く一緒に過ごすことのほうが多くて

女御の立場で楓さんを信頼している姿を周りが見かけその姿も評価を上げる一因ともなっていったの。

いろいろあったけどいつの間にやらあたしは楓さんとは凄く仲がよくなっていて

凄く冷たいような態度だし反応がいつも怒って見えるけど実はただ表情の変化が乏しいだけで

凄くあたし達のために言ってくれるからあたしは凄く楓さんにも懐いていったの。

水面下で鷹男と高彬の戦いが表面化するのがもうすぐ傍まで来ていたのにあたしはそれにも気が付かずに充実で楽しい後宮生活を送っていたのよ。

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