妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~15

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鷹男の怒りに満ちた表情。苦しんでいる鷹男を見たとき、涙が浮かんできた。

どんな思いで鷹男はこの場に現れたんだろう。

でも殴られた宗義は飄々としていた。まるで自分は悪くないかのように。

そんな態度だからこそ鷹男も震えるように口に出した。

 

「お前は一体何がしたいのだ!

瑠璃姫に手を出す前から麗景殿の女御と仲がよかった事、

私が知らないと思って居ったのか?」

「別に隠して居りません。それに元々父上が瑠璃姫を女御にする前は

一度も馨姫とは夜を共にしたことはございません。」

「何故なのだ!!!先ほど瑠璃姫に申したことは誠なのか?」

「さあ?何のことでしょうか?もしや雷の一夜のことでしょうか?

それならば父上の方が詳しいでしょう。

あの雷の時父上が藤壺に行かないと言っておきながら

結局瑠璃姫と夜を共にしたことを。

薄々気がついておられたのではありませんか?

あの日風邪気味だからと医師に声を出さないようにと

指示されていたのを私が命じたのではないかなどと・・・・」

「何ですって!!!宗義それはどういうことなの?」

「偶々父上が風邪気味だと聞き喉をいためていたことを聞いたものですから

それを利用しようと思っただけです。

上手くことが運ぶとは思いもよりませんでしたが。」

東宮そなたというものは!!!!」

またもや鷹男が腕を振り上げようとしたから

あたしは今度こそ鷹男の腕にしがみついたの。

「鷹男ダメよ!!!あんたが宗義の体を傷つけたとしても

この男の心には何にも響かないわ。

かえってあんたの方が傷つく。これ以上鷹男が傷つくところは見たくない。

お願いよ・・・」

「瑠璃姫・・・・」

このまま理性のまま鷹男が宗義を殴ったとしても

宗義にとってはなにも意味を成さない。

そう思えて仕方がなかった。

宗義はあたしを憎んでいるのですもの。あたしが苦しむところが見たいだけ。

鷹男を苦しめればあたしが一番苦しいことを

宗義は知っているんだから

これ以上鷹男の手を汚して欲しくない。

そんな思いを胸に抱えていたの。

あたしの目を真正面に見据えた鷹男は

あたしの思いを汲み取ったのか冷静になるかのように

一度深呼吸をして再度話し始めた。

「お前は私と瑠璃姫を離すがために麗景殿の女御に

私を引きとめるようにそう何度も指示していたのではないか?

それは何故なのだ?」

 

何それ?全く知らない。鷹男が時々来れないと言っていたのは

政務が忙しかったからじゃないの。

鷹男に宗義との関係を知られたくない気持ちが大きかったから

まさかそんなからくりがあっただなんて・・・

時々鷹男が来れないことを察知したかのようにあたしを呼び出す宗義に

あたしは不信感を募らせていたけど

麗景殿の女御さまがまさか宗義と組んでいただなんてなんてことなの。

そう思っていたのに宗義は更に追い討ちをかけるかのように

衝撃発言をすることになる。

 

「まさか馨姫は父上にお話なさってしまったのですか?

今日だけは絶対に父上をこの桜の木の元に

近づかせないようにあんなに頼んでおいたと言うのに!」

今まで飄々としていた宗義に少し気が乱れたかのように思う。

そんな宗義にとんでもないことを鷹男は言った。

「麗景殿の女御はお前を愛していた。そうではないのか?

なのにお前と言うものは!」

 

なんですって!!!

麗景殿の女御さまが宗義のことを・・・・そんな・・・・・・

 

「それがどうしたと言うのです父上!私は馨姫を愛しているだなんて

一度も言ったことなんてありませんよ。

ただ馨姫が私に協力してくれる、そういったからこそ

二人を離す手段として頼んだだけで・・・・・・

まあそんなに睨まないでください。分かってます。

私が馨姫を利用していたのわ・・・

私がどうしても欲しいものの為に利用していたんですよ。

ただそれだけ、唯の同情で近づいた・・・

ううぅ・・・・・グツ・・・・バタン・・・・・」

 

急に宗義はそのまま背中を向けて倒れてしまったの。

あたしは何が起こったのか全然分からなかった。

だって背中に刃物が刺さった状態で宗義は倒れてしまったんだもの。

そして刃物を刺した人物は涙を流しつつ、

それでも綺麗なあの麗景殿の女御さまその人だったのよ。

 

 

麗景殿の女御さまは自分の起したことにやや呆然とされ

体を震えた状態でなき狂ったように宗義の名前を叫び続けた。

「宗義さま!宗義さま!」

 

切ない声で泣き叫ぶ女御さまにあたしはただ見続けるだけしか出来なかった。

そんな状態に一瞬我を忘れていた鷹男は

すぐに麗景殿の女御さまから宗義の体を引き離した。

そのときやっとあたしも体が動き宗義に近づいたの。

そして鷹男に呼ばれて侍医を今すぐ呼ぶように言われ

すぐに侍医を呼びにいこうと思った。

この悲鳴に警備の物が気がつき、こちらに向かっているとそう思ったから。

こちらに近づく人の動きが近づいてくるんだもの。

そんなあたしは今すぐこの場を離れようとしたら急に衣を引っ張る手があった。

なんとそれは意識が朦朧としている宗義だったの。

刃ものは背中から心臓に達しているみたいで血がにじみ出ていた。

体から刃物を抜いていないからこそ出血もそんなにどくどくと出てはいない。

でもみるからに宗義の生気はこの短時間で様態が変わっていたの。

どこからこんな力が出ているのか不思議なくらいの力強さであたしの衣を握る宗義

そして

「さ・・く・・き・・み・・・・・あ・・・る」

何を言っているのか分からないくらいのか細い声で声を発した。

でもこのままでは宗義は死んでしまう。

そう思ったあたしは宗義に大丈夫だからと笑顔で答えたの

そうしたら宗義の手から力が抜けた。

そしてあたしはすぐに侍医を呼びに走ったのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな大事件に後宮は大混乱に陥ってしまったの。

だって東宮である宗義は麗景殿の女御さまに刺されて瀕死の状態。

そしてその現場に帝とあたしがいたんだもの。

周りの者達からしてみれば過去においてもこんな醜聞が

あった事なんてなかったんじゃないかしら。

どれだけ侍医が手を尽くしても結局あのまま東宮宗義は

若い年齢でこの世を去ってしまったの。

宗義を刺してしまった麗景殿の女御さまは

そのまま尼になってしまわれ元春日野大納言も責任をとって

出家してしまった。

あれだけ権力にしがみついていても

これだけの大事件を起してしまってはどんな理由があっても

誰かが責任をとらなくてはいけない。

さまざまな犠牲を払った惨劇だった。

周りの者達は本当の事なんて知らない。

ただこの事件は東宮様が麗景殿の女御さまと

不義な関係で結ばれ、それを帝が怒りを露にし喧嘩になったところを

藤壺の女御であるあたしが止めに入った。

そして帝に別れるようにいわれた東宮は、

麗景殿の女御がいることに気がつかず

別れを帝の前で言ったことを聞き、嫌がった女御さまに刺され命を亡くした。

そんな噂で大きな事件は収束に向かいつつあった。。

どれだけ口止めを仕様としてもこんな大事件では噂は広まる一方。

内容は違っていても噂だけがドンドン先にいってしまった。

でもあたしと宗義のことはこの事件により噂になることもなかった。

鷹男もあえて噂を止めることもしなかったから尚更のこと。

この事件によりあたしは更に鷹男と話す機会が無くなってしまった。

このままいることなんてできない。

あの日あたしは鷹男に言って後宮を出ようと思っていたのに

どうしてこうなってしまったんだろう。

あたしがこのまま失踪をしてしまっては更に混乱を招く。

だからこそただじっと待つしかなかった。

でもこのままではいけない、そう思ったあたしは

ついに鷹男と決着を付けようと思ったのよ。

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