妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~13

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 https://www.beiz.jp/

 

鷹男はあれから何も行動を起さない。

あんなことを知ったというのに宗義の東宮位を剥奪することもせず

あたしもこのまま女御のまま・・・

ただ違うことはあれから一度も鷹男は藤壺にも来る事もないし

清涼殿に召されることもない。

鷹男からあたしに話してくれるわけもなく1ヶ月が経ったの。

さすがに周りは不信感を抱くようになったわ。

あんなに毎日のように一緒に過ごしていたあたし達が

今は全く一緒にいないんだからおかしいと思うのは当たり前。

そして鷹男はもう笑顔を見せることなく

無表情で耽々と政務をこなすだけだそうよ。

そしてまだ噂にまではなっていないけど

鷹男と宗義の間に只ならぬ雰囲気が漂いまくり、大貴族達も

怯えるほど仲が悪いと思われるのに時間が掛からなかったの。

今上帝と東宮が丁度引継ぎをするような大事な時期に

こんな不仲が世間に知られてしまったら大変なことになる。

二人の間に決定的な何かがあるのだとしたら

今上帝派と東宮派の二大勢力で相争う形にまで発展するとまで

父さま達は思っているみたい。

それだけ二人の溝は大きく出来てしまっていたの。

そんなのは当然の事。

それだけのことをあたしと宗義はしてしまったんだもの。

どうしたらいいのかあたしはただただ藤壺から出る事もなく

不安に押しつぶされる毎日を過ごしていたの。

ところがまだ小さな噂であったけど

あたしにとっては衝撃的な噂がこの後宮で広まりつつあった。

それは今上帝と東宮様の不仲の原因は女御にあると言うことだったのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついにばれてしまったのかとあたしは思った。本当のことではあったんだもの。

どうしてそんな噂がでてしまったのか?

それは以前から源氏物語がこの後宮でも再度広まった事。

そして寵姫であるあたしに最近通わなくなった今上帝と次期東宮様との不仲

これが拍車にかかりそんな噂が広まりつつあったの。

もうこれが潮時なのかもしれない。

そんな思いを描いていたあたしにさらにとんでもない事を聞かさてしまった。

それも身近なものに!

もっと早くこの事を聞いていたらこんな最悪な結果になんて

ならなかったと思ったの。

でも裏切ってしまったあたしにはもう遅いとしかいえなかった事柄だったのよ。

 

 

 

このまま何もせずただただ嘆いていても仕方がないとは思う。

でも当たり前のことなんだけれど

ばれてしまってからの鷹男の態度が苦しくて仕方がない。

裏切ったあたしを許してくれるわけがないと思うのだけれど

あたしが今この後宮を出てしまったら

あの噂をただ肯定しているとしか捉えられないでしょう。

その通りだけれどあたしがお生みした第ニ親王様のことを考えると

軽はずみな行動も出来ず途方にくれていたの。

自分から鷹男に近づくことなんてできるはずもなく

ただ部屋に閉じこもる毎日だった。

食事もあまり喉も通らなかったから痩せほせていったの。

そんなあたしに優しい言葉をいつもかけてくれたのが

幼い頃からあたしに仕えてくれた小萩だったのよ。

 

 

 

「瑠璃さま、今日もお食事を余りおめしになさらなかったですが

お料理はお口にあいませんでしたか?」

「うう~ん、そんなことはないわ。ただ食欲がないだけ」

「ですが最近殆どお召になっておりません。

かなりお痩せになられた様子ですしこのままでは瑠璃さまの体調が

悪くなってしまいますわ。

お願いですから少しくらいお召し上がりになってください」

「いらないわ、小萩」

最近いつもと同じ台詞を交わしていたんだけどこの日だけは違っていたの。

少しの間沈黙になってから急に小萩が話を切り出してきたの。

「瑠璃さま、もういい加減私に相談してもよろしいのではありませんか?

心の中に秘めることなのかも知れません。

ですがこのままでは瑠璃さまが壊れてしまいますわ。

少しでも私が瑠璃さまの心の負担を軽く差し上げて

以前の瑠璃さまに戻られるようにとこの小萩はそう思っております。

私では瑠璃さまの役には立てませんか?

何があろうと、この小萩は瑠璃さまの味方ですわ。」

 

そんな熱い言葉をかけてくれた小萩。

一人ではこの想いを持ち続けるのは限界だったあたしは

思わず小萩に抱きつき大声で泣いてしまったの。

ずっと鷹男への罪悪感でいっぱいだったあたしは

泣いて泣いて今まで生きた中で一番泣けたかも知れない。

その間小萩は何も言わずあたしの頭を撫でてくれたの。

あたしが何をしたとしても小萩はあたしの味方だと再度言ってくれたおかげで

ついに誰にも言えなかった宗義との関係を打ち明けたの。

当然小萩は全く気がついていないから凄く驚いて真っ青になってしまったわ。

でもさすがは小萩。すぐに自分を取り戻し少し考え始めたの。

そうしていきなり小萩はとんでもないことをあたしに告白したのよ。

 

東宮様のあまりのなさりようにこの小萩は恐れ多くではありませんが

怒りに満ちております。

あまりにも非道ではありませんか?

今上帝も、そして瑠璃さまもお可愛そうですわ。

いくら瑠璃さまが今上帝の寵愛を抱いた女御さまだとしても

自分の母上様だけが今上帝の女御としてしか認めないなんてあんまりですわ。」

「・・・・・小萩、ありがとう!

そういって貰えて少し胸のつっかえがなくなったような気がするわ。

でも帝を裏切ってしまったんだもの。

まして第ニ親王さまが東宮の子かも知れないだなんて・・・」

「・・・あのう~瑠璃さま、先ほど伺いました雷の一夜の夜のこと、

本当に東宮様がおみえになったのですか?

私は先ほどあまりにも衝撃的な数々でそこの所は

あまり聞き取れなかったのでございますが

私の思い間違えじゃなければあの夜は確かに帝がおみえになったはずですよ。」

「何ですって!嘘・・・だって宗義があの晩あたしを抱いたってそういったもの。

薄暗かったし宗義も鷹男と同じ香を使っていたからだから・・・だから・・・」

あたしはこれ以上声もあげることが出来なかった。

だってそんなことってありえる?

あたしはずっと宗義に騙されていたっていうことなの?

そんな・・・・そんなことって!

あまりにも衝撃的な言葉に呆然としてしまったの。

しばらくして小萩が声をかけてくれたの。

「あの日は今上帝が藤壺にこられないからと

皆が集まっていたではありませんか?

そんな時急に雷が酷くなり若い女房達が騒いでしまって

瑠璃さまが気を遣ってくださり、私達は同じ局に入り

身を寄せていたのでございます。

そのときに今上帝が私達の悲鳴を聞いたらしく

こちらに見えて瑠璃さまは大丈夫なのかとお聞きして

その日はやっぱり瑠璃さまの元で過ごすとそうおっしゃられていましたわ。」

「それは本当なの。宗義は鷹男と顔立ちが似ているのよ。

だから実はその人が宗義かもしれないじゃない。」

「決してそれはありえませんわ。

帝と東宮様を間違える事なんて絶対にありません。お話もしたのですから。」

そう自信を持って小萩にいわれてしまったの。

もしそれが本当だったらあたしは更にどん底に突きおとされるかの感覚が

湧いて来るのよ。

あたしの顔が更に落ち込み気味になったのを見た小萩は

更にとんでもないことをいい始めたの。

 

「瑠璃さま、最近小さいながらも

この後宮で噂になっていることを御存知ですか?」

噂といったら東宮様が帝の寵姫を奪ったおかげで

帝と東宮様が不仲ということ。あの源氏物語の出来事が

本当にあるのではないかと言うあの噂。

急に小萩に言われてあたしはどんどん追い詰められていく。

そんなあたしの表情を見て小萩はあたしに話し始めたの。

「多分瑠璃さまがお聞きになったことは藤壺の女御さまと東宮様の

禁忌愛のために帝と東宮様が不仲なのではないかという噂だと思います。

瑠璃さまの告白によりこの事柄は正しいのだとそう思うのですが

実は瑠璃さまは少し勘違いをなさっているのです。」

「勘違いですって?そんなわけがないじゃない。

帝の寵愛高い女御を奪った東宮様のおかげで

二人の仲が不仲になったという噂のどこが勘違いだというの?」

「瑠璃さま、今上帝の女御さまは瑠璃さまお一人ではありませんわ。

もう一人おみえになられてますわ」

「え!???何をいっているの?小萩・・・・」

「確かに源氏物語が巷では人気ですからついつい藤壺の女御さまと東宮様の

禁断愛を想像される方も一部おみえですがそれは明くまで一部だけ。

むしろ瑠璃さまよりも麗景殿の女御さまと東宮様の関係が

妖しいという噂の方が高いのですよ」

あまりにも信じられない言葉を聞かされたあたしは宗義が

一体何を考えていたのか全く分からなかったの。

宗義の気持ちなんて分からずそんなに宗義は母上であった丞香殿の女御さまを

お慕いしていたんだとそう思うことしかできなかった。

宗義の気持ちなんて考えることなど出来ないくらいに

あたしは追い詰められていたんだから・・・・

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