妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~16終

 

 

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あたしは会えなくてもとにかく行動しなくては先に進めない、

そう感じたため藤壺を出て鷹男が住まう清涼殿に足を運んだ。

いくら女御といえど、帝の許しなくこの場所を訪れることはあってはならない。

案の定古参の命婦に止められてしまったの。

でもこの命婦は割合あたしと仲が良い間柄。

だから耳元でこっそりと鷹男は清涼殿には今はいないと

そう教えてくれたの。

でも行き先は知らないらしく鷹男は一人になりたいといい

何処かにいっているみたいなの。

だからといってこの御所を抜け出すことはしていないようで

あたしは鷹男を探すことにしたの。

藤壺に寄る事なんてありえないし、あたしは丞香殿に向かった。

後宮の女御さま達は今はあたし以外誰もいない。

梨壺の女御さまも、桐壺の女御さまも

あんなことになってしまった東宮の女御を続ける事なんてできない。

だからってこのまま後宮に居ることも出来ず実家に帰されてしまった。

あたしの姪であった梨壺の女御の心情を思うと

申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

そんな感慨にふけながらどんどん奥に進んでいったの。

そうしたらかすかに笛の音が聞こえてくるような気がした。

誰もいない殿舎に震えるような切ない笛の音。

あたしはその笛を吹く持ち主がすぐに分かった。

悲しげの音色。後悔の想い。どれほどの想いを胸に笛を吹いているんだろう。

その切ない音色・・・

あたしはその音色に惹かれながらどんどん近づいていったの。

あたしの姿を認めた鷹男はすぐに笛を吹くのを止めてしまった。

そしてあたしの顔をじっと見つめ続けた。

今度は絶対にあたしの方から鷹男の視線から離すことはしたくない。

そう思いどれだけの時間が経ったのか、鷹男から視線を外したの。

「鷹男・・・・・あたし・・・」

久しぶりの逢瀬。あたしはどきどきしてしまう。何を話せばいいのか分からない。

あたしは鷹男に謝ってこの後宮から立去ることを話そうとした。

でもその言葉を言う前に鷹男から言われてしまった。

「瑠璃姫、あなたがここを立去ろうとするのは絶対に許しませんよ」

「鷹男・・・でもあたしはあんたを・・・あんたを裏切ってしまったのよ。

それなのにのうのうとあんたのそばで暮らすことなんて出来るわけがないわ。」

「瑠璃姫が東宮に体を許していたのは東宮が好きだったのですか?」

「違う!絶対に違う!あたしはあんたしか好きじゃない!

ただ宗義に言われてあんたにこのことを知られたくなかったから

脅しに逆らえなくて、だから・・・・・・・」

「瑠璃姫・・・私はもう疲れ果てました。

自分の愛するもの達に裏切られすぎてしまって・・・」

「それは・・・・鷹男・・・鷹男・・・鷹男・・・・

本当にごめんなさい!!!!!!

本当にごめんなさい!!!!」

あたしは謝ることしか出来なかったのよ。

 

 

 

あたしは謝り続けることしかできなかった。

それしかどうしようもなかったんだもの。

でも鷹男は沢山の者に裏切られてしまった。

そうして今、後宮に残ったのはもうあたししかいないんだもの。

あたしがここで逃げてどうなると言うの?

自分が裏切った罪をあたしは受けなくてはいけない。

だから逃げちゃダメなんだわ。

あたしは涙を拭き鷹男に告げた

 

「鷹男、あたしはあんたの傍からもう絶対に離れない。

あんたの気が済むまであたしを滅茶苦茶に傷つけてもいい!

あんたの苦しみをあたしにぶつけて頂戴。

お願いだから一人で悩まないで!!!」

涙ながらに訴えたあたしに鷹男は話し始めたの。

 

「瑠璃姫、この惨事は私にも罪があるのです。」

「え!?」

東宮と麗景殿の女御が仲がよかったのを

私はずっと前から知っていました。

麗景殿が心細い思いをしていた事も知っていてほおっておいたのです。

そして麗景殿が東宮を愛している事さえ分かっていた事なのに

どうにも出来ずそのままでいました」

「そんなの鷹男の立場だったら仕方がないじゃない。

むしろ二人に告げなかったのだから・・・」

「そうですね。仕方がなかった・・・しかし東宮の気持ちも知っていたのです。」

「宗義の気持ち???

宗義は鷹男の女御に納まったあたしを憎んでいたじゃない。それがどうしたの」

そう言ったあたしに向かって急に鷹男はあたしをぎゅっと抱き締め付けた。

力強い鷹男の腕の力にあたしはとても苦しかった。

それでもこれはあたしの罪何だから受け止なくては・・・

あたしはそのままの状態で鷹男の言葉を聞いた。

 

「私はけして東宮のことは許していない!!!当然ではありませんか?

私の・・・私の一番愛する瑠璃姫の体を奪ったのですよ。

いくらこの世を去ったからといっても

東宮は何も償いもせずこの世を去ったのです。

そんなこと私は一生許さない!!!」

鷹男の肩は震え、多分あたしを抱き締めているから分からないけど

涙を流していると思う。

だって鷹男の大事な御子さまだったんだもの。

本当なら次期帝になられる方だった。

でもこんなことになってしまったんだもの。

無念で仕方がないとそう思うわ。

私は苦しいけど、それでも鷹男のぬくもりを感じることができた。

それだけで胸がいっぱいだった。

そうして鷹男は更に言葉を繋いだ。

「瑠璃姫、あなたは罪を償うとそうおっしゃられた。

だったらあなたに罪を被ってもらいましょう。」

さあ!どんな言葉でもあたしは受け入れるわ!

鷹男を苦しめ続けたんだもの。

あたしはこのままでいることなんて出来るわけがない。

そう思っていたのに鷹男は予想外の言葉を話し始めた。

 

「姫、この事件は東宮と麗景殿の女御が不義の関係を精算しようとし

縺れて東宮はこの世を去った。

いえ、東宮自体この世に存在しなかった。

私と丞香殿の女御の間には内親王以外産まれていない。

私の唯一の親王は、あなたと私の親王のみ!

そう後世へのしるしにも、そう残すように指示をします。

けして東宮の真実の想いはけして探らないこと!!!

これがあなたに架す罪と言うものです。」

「それは宗義の存在を消す。そういうことなの?」

「はいそうです。

あなたの罪と言うのは一生罪悪感を持ち続けるということ。

ただあなたのことですから、幸せになっていいのかと思うこともあるでしょう。

その度に罪を思い出すのです。永遠に許されない罪を・・・・」

鷹男はよくあたしのことを知っているわね。

こんな状態でそばにいる事自体辛い。

宗義の最後の謎の言葉が宗義の最後に語った本当の想いなのだろう

でもそれを知る事は決して許さないということ。

あくまで宗義はいなかったものとして抹消される。

その罪をあたしと鷹男だけが知っている。

その重すぎる真相を私は鷹男と二人だけで分かち合うということ。

鷹男はどうしてこんな裏切り者を傍に置いてくれるのだろう。

あたしはもう宗義の事は想い出さない。

どんな想いを胸に抱いていなくなったのか。

それを知る事自体あたしの重い枷なのだから。

あたしは鷹男と自分がお生みした親王さまを全力で守り続ける。

あたしは今度こそ鷹男を愛し続けるの。

あたしはもう鷹男のものなのだから・・・・・

鷹男・・・・あたしはあなただけよ・・・・・

もう二度とあなたを裏切らないわ、死が分かつ時まで。

 

 

 

今度こそ瑠璃姫を私のものにすることが叶った。

宗義との想いを一生気づかせてなるものか。

私は知っていたのだ。

宗義が瑠璃姫に募らせる想いを・・・・

瑠璃姫は何故か色恋沙汰には鈍感な方だ。

自分への好意を素直に受け取ることをなさらない。

宗義のあの視線を見れば一目瞭然。

義理の母を見る目つきではない。

恋情をはらむ視線になんと鈍感なのだ。

何度宗義に瑠璃姫を見るな見るなと叫びたかったか。

まさか瑠璃姫に手を出しているとは思わなんだ。

私の・・・私だけの大切な初恋の姫君を!

思い出すだけで吐き気がする。

だがもう宗義はいない・・・・

私から愛する姫を奪うものはいなくなった。

自分の子供を抹消する親などありえないこと。

なのに止まらないのだ、

その怒りをぶつける相手もいなくなってしまったのだから。

残ったのは怒りだけ・・・

だが私には愛する姫が残った。

あれだけのことをされたのに、愛情だけはなくなることをとどまらない。

だって初恋だったのだ!

一度は振られたのに、私の元に来てくださるとは思わなかったのだ。

そうしてやっと手に入った大切な姫を私が諦めることができるわけがない。

諦めなかったものの勝ちだ!

もういない者たちへ・・・

私は愛する初恋の姫を一生愛することを宣言しよう。

もう彼女は離さない。

どこにもいかせない。

彼女が先に逝こうものなら私も共に逝こう。

私が先に逝くなら道ずれにしよう。

もうあなたと片時も離れたくない!

生死を共にあなたと最後まで生きていきたい・・・・

私はそれほどあなたを愛してしまったのだから・・・・

 

 

 

初恋は叶わないと誰が言ったのでしょうか・・・

殿方は初恋故だからか、愛しすぎたのか、

あるものは破滅へ・・・

あるものは最後には添い遂げました。

諦めなければ恋は叶うもの・・・・・

 

初恋~叶わぬ想い~終

 

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