妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

嵐のような恋物語8

別れを告げられてから数日がたったの。

どうして鷹男はあたしにあんなことを言ったのかずっと考え続けていた。

それでも、別れの理由は分からなかった。

そんなある日、あたしは階でまた考え事をしていたの。

しばらくしたら人影が見えたからあたしは思わず叫んでしまった。

「鷹男!」

でもあたしが望んだ相手ではなかったの。

あたしの知らない殿方だった。

蒼白く浮かんだそれはもう美しい顔の人だったの。

「瑠璃姫、やがてわたしが父上に認められ

都に呼ばれ官位を授かることが出来たら迎えに来てもいいですか?」

「まさか吉野の君なの?」

「はい、瑠璃姫、お久しぶりです。あなたを待たせすぎてしまって本当にすみません。

言い訳をするつもりはありません。

ですがやっとあなたを迎えに来ることができました。

瑠璃姫、私の元に来てくださいますか」

「ちょっと吉野の君、それは・・・」

「兄上は、あなたに別れを告げたはずですよね。」

「どうしてそれを・・・というか吉野の君は知っているよね、

鷹男がどうしてあたしに別れを告げたのか、

ねえ~あたしは理由さえ教えて貰ってないのよ。急に吉野の君の元に行けというだけ。

そんなの納得が出来ないわ。

だから吉野の君なら知っているわよね、あたしと別れた理由を教えて!」

「瑠璃姫・・・・分かりました。

でもショックが大きいと思いますが覚悟は出来ますか?」

「いい、本当のことを知らずにのうのうと過ごせないもの。」

「そうですか、分かりました。瑠璃姫、あなたは兄上に騙されていたのです。」

「え!?なんのこと?」

「兄上は瑠璃姫に愛の言葉を囁かれたかもしれませんがそれは嘘なのですよ」

「そんな馬鹿なことがあるわけないわ。

鷹男はあたしのことが好きだとそういってたもの」

「それはあなたを兄上の元に入内させるが為の言い分けなのですよ。」

「意味が分からないわ。

あたしを入内させようとしていたのになんで今頃止める理由があるのよ。」

「今は大分思惑が外れてしまったからなのです。」

「どういうこと、吉野の君、あたしに分かるように話して頂戴」

「瑠璃姫、兄上が東宮だと言うことは知っているのですよね。」

「ええ、知っているわ。」

「では私が今上帝の第二親王だということもお分かりですか?」

「え?あ~そうか吉野の君と鷹男は兄弟なんだもんね。

そうよね、吉野の君ももちろん親王さまだわよね。

でもそれがどうかしたの?」

「今、帝には親王が3人います。丞香殿の女御さまの御子である我が兄上、

そして麗景殿の女御の御子であるこの私、

そして左大臣家の姫君がお生みしたまだ幼い正良親王。」

「へ~3人も親王さまがみえるのね。それがどうかしたの?」

「権力争いが今活発化しているのです。

兄上にとって今は幼い正良親王よりも、一番邪魔な存在が

この私なのです」

「何を言っているの吉野の君!

鷹男は吉野の君の事をあんなに大切にしていたじゃない。まさか後宮

いじめられていたの?」

「いいえ、それはありませんでした。兄上はずっと私にお優しかったです。

しかし、それと権力争いは違うのですよ。」

「でもよく分からないわよ、なんでそこにあたしが関係してくると言うの?」

「瑠璃姫、昔から私が瑠璃姫を好いていたことは兄上もずっと知っていました。

ですが私と瑠璃姫がもし

結婚することになったら兄上の東宮としての地位が危ぶまれることになるのです。」

「なんであたしがもし吉野の君に嫁いだらそうなるの」

「兄上の母君と私の母上は母違いではありますが姉妹。後見も弱い上互角。

だからこそ兄上の東宮としての地位は確立しているわけではないのです。

そのためにもうすぐ右大臣家の姫が兄上の元に東宮妃としてたたれるわけです。

しかし、この私が瑠璃姫と結婚したら後見人もしっかりしているため、

後宮に混乱を巻き起こすのは必死なのですよ。」

「なんで?だって鷹男は右大臣家の姫を東宮妃にたたせるわけでしょう。

だったらそれは強い後見人がつくわけじゃない。

もし、もしよ、あたしが吉野の君に嫁ぐとして家はまだ大納言家よ。

大臣家とは少し身分に差があるじゃないの。」

「ですが瑠璃姫の御実家は摂政家に連なる家柄、

そしてこれはまだ発表されてませんがもうすぐの除目で瑠璃姫の父上さまは

内大臣に昇格が決まっているのです。ですから大臣家の後見であるため

私の後見人が強いというのは兄上にとってはあってはならないことなのです。

そうなる前に兄上は

私が瑠璃姫を迎えに行く前に自分の物にするがために瑠璃姫に近づいたのですよ。」

「うそ、そんなの嘘に決まっているわ。

自分が東宮の地位を固めるためにあたしに近づいたなんて信じないわ・・・・

だったらなんで急に鷹男はあたしを止めて吉野の君の元に行けといったのよ。

辻褄があわないじゃない。」

「それは私が臣籍に降りると兄上に伝えたからなのです。

私さえいなければあとは正良親王だけ。

大臣家の力を手に入れれば、いくら左大臣家の力を持ってしても

しばらくは兄上が東宮として力を強める時間もあるわけですから

正良親王が成長したとしても兄上には適いませんから」

「そんな・・・じゃあ、鷹男は自分の地位を確立するためなら吉野の君も、

そして幼馴染のあたしでさえ

切り捨てられる。そういうことなの?」

「切捨てとは違うとは思いますが、

兄上が帝に立つ為なのですから少しはそういうこともあるかとそう思います。」

「・・・・・・吉野の君にいろいろ聞いたけど、

でも、・・・でもやっぱり納得が出来ない!」

「・・・だったら兄上に直接聞いて見ますか?」

「出来るの?」

「はい、今すぐは無理ですが準備が出来たら兄上に会わせます。

でもこれで納得が出来たら私の元に来てください。

後宮のおぞましい権力争いはもう嫌なのです。」

「分かった。鷹男に本心を聞いてから吉野の君のことを考えるわ。」

そうしてあたしは不安を胸に鷹男からの返事を待つことにしたの

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