妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~5

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知られたくなかったのに、いえ、いづれは知られるとは分かっていたのに

こんな最悪な見つかり方にあたしは身が震えるような気がして仕方がなかったの。

東宮さまがまだ幼かった頃からあたしは数回しか会ってはいなかったけど

それでも会うたびにいろいろお話も出来て

わりと友好関係が気付けているとそう思っていたのに

まさか鷹男と一緒に出会っているところを見られるなんて・・・・・

そして言われてしまった。

あたしがこの場所で高彬のことを想い涙していたことを・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あたしは東宮さまと初めてで会ったとき、

高彬には言わずに後宮に遊びに来てしまっていた。

前から仕事熱心だった高彬は変らず仕事ばかりしていた。

もちろんあたしと高彬は変らず仲もよくて夫婦生活も順調だった。

そんな時、久々に鷹男から東宮のことで相談を受けて

年も近い貴久を一緒に後宮に連れて行き

東宮宗義さまに会わせれば話しもあうかと簡単な気持ちで遊びに行ってしまった。

あの頃は丁度高彬の仕事が詰まっていたから、あまり家にも帰ってこなくて

だから内緒で行ってしまったのよ。

そしてあたしはあのときに後宮にいる場合じゃなかったの。

東宮さまと出会って桜の木から離れたとき

あたしの元にすぐに二条邸に戻るように守弥から文が来たの。

それは高彬が倒れたと言う知らせだったの。

結局そのまま慌てて二条邸に戻ったあたしは、高彬の元にかけて行ったけど

すでに遅くて、行った時は眠ったように起きる気配がなかった。

あのとき守弥に高彬は仕事疲れでそのまま帰って来た時

久々に家に帰ったときにあたし達の姿がなくて

凄く悲しんでいたと伝えてくれた。

その時はただ疲れて寝ているだけだとそう思っていたのに違っていた。

高彬は原因不明な病魔に犯されていたの。

でも原因も不明だしあたし達に知られたくなかったらしく

ずっと秘密にしていたみたいで

結局あくる日、目が醒めていつもの日常が始まると思っていたのに

疲れと疲労でそのまま寝込み続けてしまった。

それでも元気になるとそう信じていたのに

発熱や嘔吐で食欲も減ってその内衰弱してしまったの。

看病しても原因不明だったから回復せずにこの世を去ってしまった。

あのとき、あたしが後宮に行かずに高彬を迎えることができていれば、

高彬をあのとき悲しませることがなかったのに。

いえ、もっと高彬の事を見ていれば

高彬の体のことを早く気付くことが出来たはずなのに

仕事だからと気にせずに高彬に集中しなかったから、だから倒れてしまった。

そう、あたしは自分を責めることしか出来なかったの。

もしあたしがあの場にいたとしても別に何も変らなかったかもしれない。

でも、あの時あたしは東宮宗義さまのことよりも

鷹男に会えることへの嬉しさと、かすかなトキメキががあった。

だから罪悪感を感じてしまっていたの。

夫が病気で苦しんでいるときに違う殿方に会える、

そして少しでもトキメキを持っていたことに高彬への

信頼を奪ったかのように思えてならなかった。

高彬が亡くなってからあたしは何も考えたくはなかった。

でも最後に高彬に瑠璃さんが想うように生きて欲しいと、

そして貴久を僕の変りに立派に育てるようにとそういったの。

あたしには貴久を無事に育てる使命がある。

泣いてばかりではいられない。

そう思えて何も考えずにただひたすら貴久を育てることに集中するだけだった。

そのためか、貴久も立派に育つようになったの。

でも時々高彬のことを思いだすこともあってよく実家である三条邸や

お忍びで右大臣邸に行ったり

そうして高彬への思い出に浸ることもしたの。

鷹男は高彬が病気で亡くなってからもあたしたち親子のことを

心配する文を贈り続けてくれた。

もちろん鷹男もあたしと一緒で丞香殿の女御さまを早くに亡くされた経験もあって

同じく年も近い息子もいるわけだったから

似た境遇だったわけだし、そのまま何事もなくただ文だけの付き合いだった。

もう鷹男と再会することなどないとそう思っていたのに

由良姫の一姫さまが東宮妃になるということで

時々話を交わして少し懐いている悠里姫の頼みで

あたしまでもが後宮に参内することになろうとは思わなかった。

でも何故、後宮にいってもいいと思うようになっていたのかも

あの時は分からなかった。

でも鷹男と対面するのはどうしても怖かった。

会いたいと思う反面怖くて、遠くから鷹男を見るだけで良かったの。

あたしが一緒に行くことは内緒にして貰ったはずなのに

あたしが後宮に上がったとき几帳台に収まって入るであろう鷹男の視線が

こちらに向いているような気がして凄く怖かった。

鷹男の方は見ることも出来ず、もう鷹男の前には出たくなくて宴にも出なかった。

あたし見たいな立場の者が本来今上帝と対面することなど全くないはずだったのに

東宮妃となった梨壺の女御に二人きりでお話があるといわれ、

梨壺の女御と2人きりだと思っていたのに

几帳の影から鷹男が出てきてその姿を見届けると

何も言わずに梨壺の女御は部屋を出て行ってしまったの。

あたしは逃げるように部屋を出ようと思ったら鷹男に抱きすくめられてしまった。

まさか二人きりになることもないとそう思っていたのに

結局鷹男と二人きりになってしまった。

「鷹男!離して!あたしに触れるなんておかしいじゃない。

あたしたちは夫婦でもないただの友人よ。

ずっと文であたしを励ましてくれたじゃない。

なのになんであたしを抱き締めるの?」

「だったら瑠璃姫。あなたはどうしてこの後宮に現れたのに

私に会いにこられないのですか?

まして、あなたは私と視線でさえあわせて下さらない。

その理由を教えていただきたい」

「理由なんてないの。あたしはただ梨壺の女御に慣れるまで

この後宮に居て欲しいと頼まれたから着いて来ただけで

鷹男に会いにきたわけじゃないの。だから、鷹男と直接会う必要もないじゃない。

鷹男とはここ何十年も子供のことで相談しあってばかりだったし、

貴久も大きくなったから久々に後宮に来ただけ」

「私に会われない理由をお話になってはいただけないのですか?」

「だったら早くこの手を離しなさい!」

「この手を離したらあなたは後宮から退出してしまうではありませんか?」

「そんなの・・・どうしてよ。

鷹男はこの何十年もあたしにただ高彬のことや貴久のこと

それしか文に書いたことなんてなかった。

だからあたしは安心してこの後宮に来ることが出来たのに

なんで・・・」

「私はあなたを諦めた覚えはありません。

あなたの心の中に高彬がいることは分かってました。

私のことなんて思いだすわけがないと・・・

私が仮にあの頃求婚したとしても絶対に受け止めてくれないとそう思っていました。

あなたには高彬の忘れ形見がいる。

だから私がどう思ってもあなたが私に振り向くことなどない、

そう思っていたから子供を持つ親としてしか接することが出来なかったのです。

だから今度の東宮妃の入内の時権大納言に瑠璃姫に内緒で頼みこんで

あなたを一緒に参内させるように上手く仕組んだのですよ。」

「嘘」

「あなたは私がずっと行動しなかったから全く気にされなかったようで

私も安心しました。

この後宮に居てくれさえすればあなたと会う時間も増える。

これだけ時間がたてばあなたの高彬への想いも変化し

私のことを少しでも気にかけてくださると

そう思っていたのにあなたは私を避けた。

これであなたの気持ちがまだ私にあるとそう思ったのです。」

「止めて!あたしは鷹男のことなんて別に何も・・・」

「あなたは高彬が倒れた時この後宮に居ました。

だからその時のことを後悔して見える」

「それは・・・」

「もういいのではありませんか。

たまたま高彬が過労で倒れたのはあなたのせいではないのです。

だからあなたが自分を責めなくても」

「分かったような言い方しないで頂戴!高彬は・・・」

あたしはこの場を離れることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

あのまま鷹男から離れてその足でこの後宮を後にすれば良かったのに

何故か後宮から離れることが出来なかったの。

あたしは高彬を亡くしてからずっと息子を一番に考えて生活をして来た。

そんな中鷹男からの励ましの言葉にどれだけ救われてきたことか分からない。

鷹男も同じく寵愛の高かった丞香殿の女御さまを亡くされた経験があった。

だから同じ気持ちを共有できたとそう思っていた。

だからこそ、何も気にせずに後宮に来ることも出来たはずなのに

鷹男と何も気にせずに会うことも出来たはずなのに

何故かあたしは鷹男に直接会うことが出来なかった。

鷹男に感謝の気持ちがあってお礼を言う気でもあったはずなのに

本当に後宮にきたらあたしは鷹男に会えなかった。

何でだろう。

鷹男が怖かった。

あたしは高彬に言われた言葉を気にしていたのかもしれない。

高彬は最後の言葉にもう一つだけ言っていた。

「瑠璃さん、僕のことは気にせずに本当の好きな人の元に行っても良いんだよ。」

あんなことを言わせただなんて、あたしはどうしても嫌だった。

本当に好きな人なんて高彬のことだったのに

高彬は死ぬ直前まであたしが、高彬のことを

本気じゃないとそう思われていたかのような気がして嫌だった。

だから余計に鷹男のことはただの友人としてしか思いたくもなかった。

友人だったら普通に会っても別になんでもないはずだったのになのに

あたしは鷹男を遠くで見た瞬間、

自分の気持ちがただの友情だと思い込んでいた事実に

正面から立ちあわなくてはならなかったの。

ただの友情だとそう思っていたのに遠くから少し鷹男が見えただけで胸が高鳴った。

この気持ちはタブ-だとそう思って絶対に鷹男を見ることが出来なかった。

鷹男は友人でいなければならなかったから。

もしここで、鷹男への気持ちが恋心だとしたら

あたしは高彬に本気で恋をしていたわけじゃなかったと

認めることになる。

そんな簡単な想いじゃなかったはず。あたしは絶対に高彬を愛していた。

なのになんで高彬がそう感じたのか分からなかったの。

でも高彬が倒れたとき、

あたしは内緒で鷹男に会いにいったけどあのときどうして高彬に

鷹男に会いに行くことを言わなかったのか。

それを考えるとあたしはやっぱり鷹男のことも

まだ好きな感情が残ってたのかもしれない。

そうしてあたしはこの後宮にきて鷹男への気持ちが友情なのか、

それとも愛情なのか考えなくてはいけないとそう思ったの。


あれからあくる日、あたしは後宮でもお気に入りの桜の木の下に来ていた。

あたしが独身時代から、そして高彬と結婚してからも

後宮に来ると必ずここにきていたの。

何故なら昔、本当に昔に鷹男にここで愛を囁かれていたことがあったから。

あの頃はまだ独身だったけどまだ吉野の君の事件があって、

いろいろな問題があって鷹男への気持ちは受けるわけにはいかなかったから

だからうやむやになってしまったけどね。

そんな思い出の場所だからつい、この場所に来てしまう。

鷹男を思いつつ、あたしはやっぱり高彬への想いを浮かべていたとき

誰かが近寄ってきたの。

思わずここにいるわけがない高彬が来てくれたかのように思ったのに

吃驚してしまったの。

今会いたくない鷹男の顔に似た東宮さまがあたしに話しかけてくれたの。

東宮さまと言えば高彬の姉君さまの忘れ形見。

鷹男から何度も相談を受けていた御子さまだったの。

まさかまだ東宮さまが5歳の頃この場所で会うわけがなかったはずなのに

偶然ここで出会ってそして右大臣邸でもお会いして。

本当に偶然があたし達を引き合わせてくれる。

そうしてあたし達は昔話に花咲かせ、

自分の本名を聞いてくる東宮さまがまるであたしの御子様みたいに

そう感じて嬉しかった。

その内高彬の話しになった時、まさか東宮さまに

鷹男と同じ台詞を言われることになるなんて思いもしなかった。

思わず冷たい態度にでてしまった。

別に東宮さまが悪いわけじゃないのに。

謝罪をするつもりでもう一度桜の木の下に行ってみた。

もしかして東宮さまはこの桜の木の下に来てくれるかもしれない、

そう思っていたからあくる日も行って見たの。

でも結局東宮さまの姿は見ることがなかった。

代わりにいたのはなんと鷹男だったのよ。

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