妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙12


写真素材 cg.foto

しばらくあたしと鷹男はお互いを見つめていた。

でも最初に目を逸らしたのは鷹男の方だった。

何か考えているようなそして諦めたようなそんな表情をしていた。

あたしはその表情を見てもう鷹男はあたしを必要としていないんだと確信をした。

だってこんなところに鷹男はもちろんのこと

あたしだっていたらいけないじゃない。

女御であるあたしがここにいるということは

後宮を逃げたしてしまったっていうことでしょう。

そのあたしを見つけて普通なら何故ここにいるか問い詰めるものじゃない?

なのに何も言わずにただ諦めた表情で視線を逸らしたという事は

あたしなんて別に傍にいなくても良いということに繋がる。

そうあたしは判断した。

なんだか悲しくて悲しくてそして悔しかった。

あたしはそこまで鷹男に必要とされていない存在なんだって。

後宮から逃げてももう別に良いんだ。

そんな馬鹿なことを考えてしまう。

じゃあ、あたしがあんなに鷹男を待ち続けていたのは

ただのあたしの思い込みだったっていうの?

胸が苦しい・・・・・・・・

本当にあたしは鷹男にはどうでもいい存在だったの?

そんな気持ちが支配されていく。

そうしてあたしはついに決意をした。

後宮に入ってからずっとずっと言いたかったこと。

聞きたかった事。

それを投げかけてみた。

「鷹男・・・・・・・・あんたに聞きたいことがあるわ。」

あたしの思いつめたような声にハッとした鷹男は

あたしをもう一度見つめてくれる。

その姿を見ながらあたしは言った。

「あたしは鷹男とここで幼い頃に出会ってから

迎えに来てくれることを夢見てずっと待っていたの。

あんたはあたしを見つけて迎えに来てくれる。

そうあたしに約束をしてくれたわよね。

なのに結局あんたは迎えに来てくれなかった。

それってあたしのことなんて忘れちゃっていた?

それともあたしのことなんて・・・・

名前も知らない姫との約束なんて

あんたにとってはどうでもよかったことなの?

あたしが勝手に勘違いをしてあんたを待っていた。そういうことなの?

ねえ~鷹男!本当のことを言ってよ!

あたしは結局最初からどうでもよかった存在だった。

ただそれだけだったんでしょ!!!」

段々気持ちが昂ぶり最後の方には悲鳴に近い声を上げていた。

涙があたしの目からドンドン流れ落ちていく。

あたしは多分勘違いをしていたのかもしれない。

鷹男と出会ってあたしは初めて恋に落ちた。

だからあたしを探し出してくれるという言葉に東宮様も

あたしと同じ想いだと思っていたのだから。

でも鷹男はあたしのことなんて本当は別にどうでもよかったのかも。

だから迎えに来てはくれなかった。

それをあたしは自分から鷹男に近づき

傷つき泣いて泣いて苦しい思いしかできなかった。

ただのあたしの一人よがりだったのだと。

ここであたしは鷹男に真実を言われれば少しは気持ちが晴れると思う。

鷹男のことなんてきっぱり忘れられる。

ただのあたしの一人よがりだったとそう思えたら、あたしはきっと楽になれる。

だから早くあたしに肯定して頂戴よ。

あたしは自分の質問の答えを尋ねた。

鷹男はあたしのいった言葉に酷く動揺をしていた。

そして一言「違う!」

そうあたしに言った。

でもその言葉を口にした途端すぐに黙ってしまい

鷹男の方が酷く傷つけられた表情をしたの。

一体何なの???

なんでそんな表情をするの?

あたしの方がどれだけ傷ついたと思っているのよ。

そしてしばらく黙っていた鷹男があたしに質問を投げかける。

「瑠璃姫・・・・・この池の中で私のお守り袋を

幼いとき拾ってくださったのは瑠璃姫。そうですよね。

そして私はあなたを探して迎えに行く、そんな約束をしていた。」

鷹男はまるでそれを確認するかのように静かにに質問をしてきたの。

あたしはそのまま素直に答える。

「ええ~そうよ、幼い頃にあたしはあんたと出会った。

そして池の中に入ってしまった大切な東宮様のお守り袋を拾った。

そのお守り袋はあんたの母宮さまが作ってくださったものでしょう。

中にあんたの臍の緒が入っているもので

片時も離さないってそう言ってたじゃない。

そんなことも忘れてしまったの?」

あたしの話を聞きながら鷹男は諦めの表情をどんどん浮かべていく。

「そうですね~あなたを探して迎えに行く。そんな約束を致しました。

でも瑠璃姫、申し訳ありません。

私はその約束を忘れてしまっていたのです。

だからあなたを迎えに行くことは出来ませんでした。

あなたが池に溺れたとき思い出しました。

私は馬鹿でしたね。

あなたのような素晴らしい姫に幼い頃に出会っておきながら

見つける事が出来なかったのだから・・・・・

そういえば瑠璃姫が右大臣家に居るということは後宮を抜け出したんですよね。」

「抜け出したんじゃないわ。もう後宮に戻らないつもりよ」

あたしの言葉に鷹男は酷く驚いた表情をした。

多分あたしが戻らないとは思っていなかったと思うわ。

その言葉を聞いた鷹男は考え込みながら

そして決心した表情であたしに驚きの言葉を言ったの。

「分かりました瑠璃姫。後宮を出るのを許しましょう」

「えっ!?」

あたしはもちろん後宮を出るつもりだったけど

こんなにすんなり許されるとは思っていなかったから吃驚した。

でもそれと同時に悲しかった。

鷹男にとってあたしはやっぱりいらない存在だったのだと

そう実感してしまったのだから。

少しは反対されると思っていたのに

簡単に承諾されてしまったのだから・・・・・・・

鷹男はあたしが後宮を出ても父さまや融やあたしの大切にしている人達に

極力罪がいかないように画作してくれることを誓ってくれた。

東宮妃が失踪するのだもの。内大臣家の失墜に関わること。

それを少しでも誤魔化してくれる。

そう誓ってくれた。

心の中では苦しくて仕方がなかった。

でもあたしは必死で今まで泣いた顔を笑顔に戻し精一杯強がって見せた。

「鷹男、今までありがとうね。

いきなり女御さまにしてと押しかけちゃって迷惑をかけたわね。

もうあの思い出は忘れてなかったことにしてね。

あたしもなかったことにする。

鷹男、梨壺さまとお幸せにね!

今は不仲でもあんたの一番愛している人は梨壺さまなんだからね!」

一生懸命に笑顔を作り鷹男にお別れの言葉を告げた。

もう限界。

鷹男の傍にいたら大声で泣いてしまう。

声を上げてしまうわ。

あたしは泣くのを堪えて鷹男に背を向けて走り出したの。

鷹男・・・・・・・・さよなら・・・・・・・もうあんたを忘れるわ!

さよなら!!!

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村