妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

信じたいのに10終

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あたしの寝所に久しぶりに鷹男が訪れてきた。

あたしは女御らしく口上を述べていつものように鷹男に

身を任せようと思っていた。

けれど、鷹男が新婚の時の様な視線を投げかけてくる

その姿に驚きを隠せず、思わず顔を赤らめてしまった。

何度こういった行為はあたしは慣れることがない。

どうしても恥ずかしくてもじもじしてしまう。

もっと鷹男が喜ぶようにしてあげないといけないのに

鷹男の視線を受けただけで頭がぽ~っとしてしまい

いつの間にやら気持ちがよくなって、流されるまま

気を失ってしまうのがいつもの寝所の光景だった。

最近は鷹男の態度も義務の為だといわんばかりに険しい表情で

あたしを抱こうとするから、あたしなりに精一杯意地を張っていた。

鷹男の姿にいつも傷つき、抱かれるたびに涙が出るけれど

そんな無様な姿は見せたくなかった。

今では抱かれた後は朝まで過ごすことができなくなっていた。

新婚の時は朝まで離してくれなかったのに・・・

その態度の違いに何度涙したか。

なのに今日はいつもと違い、新婚の時と変わらない

優しい眼差しに戸惑ってしまう。

 

「瑠璃姫、そう緊張なさらずにいつものあなたでいてください。」

主上、私はいつもと変わらないですわ。」

 

瑠璃姫と呼んでくれると胸がときめく。

あたしにとっても鷹男にとっても名前を呼びあうのは特別なものだもの。

公では主上と女御。

周囲の目があるから自分をさらけ出すことはできない。

けれど寝所ではあたしと鷹男は私人となる。

鷹男はあたしをすっぽりと腕の中に抱きしめる。

今までにないほどの切ない声で

「瑠璃姫、瑠璃姫、瑠璃姫」

そうあたしの名前を呼ぶの。

一体鷹男に何かあったのだろうか?

けれど久しぶりに鷹男の胸に抱かれ、あたしは嬉しくて仕方がなかった。

見た目よりも着やせするけれどたくましい胸の厚み

テノールの響きがあたしの体にときめきを灯す。

普段の鷹男とは違うけれど、以前の鷹男に戻ったみたい。

愛する人に抱かれ、あたしは幸せを感じる。

このままずっと続けばいいのに。

朝になったら鷹男はいない。

そんな虚無な気持ちを抱えたくない。

そう思いながらあたしはそのまま鷹男に身をゆだねたの。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になったのだろうか?

あたしは眠りから目覚めていた。

このまま目が覚めないままでいたいと思った。

昨日の鷹男は元の鷹男になったかのように思えるほど

視線が優しかった。

何も言ってくれなくても、温かくて熱がこもっている視線。

嬉しかった。

けれど、昨夜のことは夢なのだろう。

目が覚めればいつも鷹男は傍にいないんだから。

切なくて何度涙したか。

けれど、今日は何故か身動きができない。

誰かに抱かれたまま温かく感じる。

怖いけれど目を開けてみると驚いた。

鷹男があたしを抱きしめたまま眠っていたからだ。

なんで・・・・・

あまりにも吃驚して硬直してしまった。

吃驚しすぎて動いたからか、鷹男の目が開いた。

目が開いたと同時に鷹男の目が大きく見開く。

そしてそのまままた胸の中に抱かれてしまった。

「瑠璃姫、瑠璃姫、瑠璃姫・・・やっぱりあなただ。」

あたしは鷹男が何を当たり前のことを言っているのか分からなかった。

けれど、それでもいつもと違う朝の光景に思わず涙が出てしまった。

「鷹男・・・本当に鷹男なの?」

あたしは当たり前のことを言ってしまった。

だって鷹男は冷たかったんだもの。

あたしに対して女御としてしか態度で示さなくなっていた。

夜の使命も義務だといわんばかりに声もほとんど出さず

どれだけあたしが傷ついていたか。

それなのに急にいつもの鷹男に戻っていたんだもの。

吃驚を通り越して涙が出ちゃうじゃない。

「瑠璃姫・・・私はあなたに謝らなくてはいけません。

私はあなたを信じ切れなかった。あなたがあまりにも藤壺の女御として

立派に勤めを果たしてくださった。

その姿に私は多分寂しかったんだと思います」

「寂しい?何でそう思ったの?」

「瑠璃姫には後宮という閉鎖的な空間はお似合いではない。

あなたにはいつも自由でいるのがお似合いだ。

それなのに私があなたを愛したが故、あなたを不自由にしてしまった。

私はあなたが後宮の環境に適応できないとそう思ってたんです。

だからこそ、あなたに無理をしていないかってずっと聞いていました。

けれど、あなたは自分なりに努力をなさって後宮にいる貴族たちを

認めさせる実力を持つようになった。

それに脅威を抱いてしまったんです。後宮は人を変える魔の巣窟

あなたらしさを失うんじゃないかって思ったらあなたから

離れるしかなかった。怖かったんです。瑠璃姫じゃなくなってしまったと。」

「鷹男はあたしを信じてくれなかったの?

あたしがあたしらしくないから。」

「そうです。」

「じゃあ~あたしらしいって何なのよ!あたしはあたしよ!

後宮に来てもあたしは変わってない。あたしはあたしなりに

後宮の生活に満足してるわ。確かに鷹男の女御に相応しくなろうと

入った当初は必至だった。苦手な作法も楽器も必死で学んだ。

それは鷹男の傍にいても迷惑にならないがためだった。

なのに・・・・鷹男はあたしを信じてくれなかったの?」

「言い訳は言いません。

信じれなかった私の弱さがあなたを追い詰めてしまった。

あなたの愛を疑ってしまったのです。」

「鷹男の大バカ者~~~~~~~~~!」

あたしは思いっきり鷹男の頬を引っ叩いてやった。

「どうして信じてくれなかったの?

あたしはあんたしか好きじゃないしあんたへの愛は変わらない。

でも、あんたにはあたしの他に女御様がいらっしゃる。

あたしが嫉妬しないとでも思った?

あんたが他の女御様を夜に招いているだけで苦しかった!

苦しかったんだから!なのに~~~~~~~~~~」

 

鷹男の本心を聞いてあたしは怒り狂っていた。

苦しかったんだから。

もうあたしに興味がなくなったのかって。

他の女性の事を愛してしまったのかって。

男はそういう生き物だからって諦めたふりをしながら

鷹男だけは違うって思っていたのに、まさか鷹男が

あたしを信じてくれなかっただなんて。

あたしは鷹男を睨みつける。

ジッと強い視線で鷹男に怒りをぶつけまくる。

けれど、鷹男はその視線を躱すことなくあたしの苦しみを受け止めてくれるような

慈悲なる視線を向けてくるのよ。

もう・・・・なんなのよ・・・・・

悪いのは鷹男なんだから!

鷹男なのに!あたしは結局鷹男が好きだから絆されてしまう。

あんなに苦しかったのに、鷹男が元に戻ったと思っただけで

あたしの苦しみも昇華されるよう。

好きになったもの負けなんだわ。

だって結局のところ心は許したがっているんですもの。

鷹男が好きだから、大好きだから。

「鷹男の馬鹿!今回は許すけれどもしあたしのことを

疑ったら後宮を出るからね!もう一緒に居て上げないんだから!」

 

そう言ったら鷹男は目を大きく見開き嬉しそうに破顔した。

その表情にまたあたしの胸がときめいてしまう。

顔が整っている人ってホントすぐ許したくなるから卑怯だわ。

でも結局好きなんだから仕方が無い。

こうして鷹男との関係は修復することになったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数年が経っていた。

飛香舎では人があふれ賑わっていた。

「母上様~~~~ねこしゃんを捕まえました」

幼子が愛らしい表情で母である瑠璃姫に笑顔を見せている。

「宗義、そのねこさんに紐をつけるのは可哀そうよ」

「でも、ねこしゃんがどっか行っちゃうかもしれない」

「大丈夫よ、あんたになついてるし、毎日一緒におねんねしてるんだから

ねこしゃんを信じて上げなさい。信じて上げないと

本当にどこかに行っちゃうかもしれないわよ、ね~鷹男。」

「ああ~~~~~~父上もいらっしゃったんですか!嬉しい~!」

きゃあ~といいながら宗義は鷹男の腕の中に抱きこまれ抱っこをされている。

「ははは、これは手厳しい、あの時は本当に申し訳ありません」

その二人を不思議そうに見つめる宗義。

瑠璃姫と鷹男との間に親王が授かった。

あれから二人は疑心暗鬼にならないようにお互い隠し事をせずに

話し合うようにしている。

そのおかげで夫婦円満だ。

人というものは不安に支配される生き物である。

どれだけ強い精神力を持ったとしてもそれは人間の性。

けれど瑠璃姫と鷹男の絆は愛する我が子を授かりさらに強い絆となって

幸せに生きることでしょう。

 

 

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