妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~3

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 https://www.beiz.jp/

 

 

桜の君と右大臣家で再会してから数年が経った。

元服もして今は東宮として立派に出来るように仕事をこなす毎日が続いている。

ゆるやかな何も起こらない現実に私の心は安心もあるが退屈な毎日でもあった。

若い公達たちが集まり、信頼できるものも私の元に仕えてくれる。

忠義者も現れることにもなり

平和ではあるが頼りになる人材が集まってくれて安心もしていた。

その中でも一番信頼をしているのが右衛門佐である貴久。

彼は私よりも一つ年下ではあるが

真面目で女性の扱いは苦手であり、誠実な人柄で貴久の

父上であった右近の大将に似ていると言われていた。

しかし右近の大将はもう大分前に病でお亡くなりになってしまったそうだが、

我が父上も信頼が厚かったようで

父上がしばらく考え事をしていた覚えがあったように記憶している。

そして右近の大将は我が母上の弟でもあって貴久は母方の従兄弟にあたる。

大臣家のうまれである父、と内大臣家の総領姫である母をもつ貴久は

家柄はとてもいい。

しかし私は貴久の生まれが良いから信頼しているのではなく、

周りに目を配る視点の鋭さと仕事への熱のいれようと

誠実な性格から私は貴久を傍に置くようにしている。

しかし貴久に嫉妬する輩は、貴久が家柄で出世をしていると思っているようで

生真面目な性格が災いして無理にでも仕事をこなそうとするところがある。

だから身を案じてはいるのだがなかなか休もうとはしない。

倒れるまでには休みを無理にでも入れないといけないな

そんな日常を私は過ごしていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

東宮さま・・・御機嫌伺にここまで来てくださり・・・

誠にありがとうと存じます。」

淑景舎に向かうと桐壺の女御がか細い声で挨拶をしてくれる。

桐壺の女御は朱雀帝の親王の内の一人を父に持つ家柄で

両親を二人とも亡くし、後見も心もとないせいか

いつもおどおどしている印象が強く感じる。

姿はお美しいのだが線が細くて気は弱い。

しかし私に嫁ぐしか出来ない桐壺の女御を

大切にしないといけない義務が私にはある。

だから大切に桐壺に接していると自分では思っている。

寵愛と言われる位でもなく、ほったらかしといわれることもなく

普通に桐壺とは夜の生活を共にしている。

大臣家の姫がいづれ私の元に嫁ぐ前に

桐壺に御子が生まれては争いの種にもなる。

だからこそ、その辺は上手くたち振舞うしかなかった。

桐壺は私に対して何かをいうことは全くない。

私のいう通りに行動するしかない。

それは私を東宮としてしか思ったことがない様子で

私に全てを任せることしかできない。

受け身なのはいいことなのか悪いことなのか・・・

だからそんな態度にどうしても私を東宮としてではなく

一個人として接してくれた桜の君を恋する気持ちは

止まることもなくどんどん膨れ上がることしか出来なかった。

だからといって桜の君が一体誰なのかを調べることでさえできない自分に

苛立ちを感じることしか出来なかった。

桜の君を調べる手段がない訳ではない。

しかし、桜の君が一体誰なのかを知ることさえ、今の私では出来なかったのだ。

あんなに父上にえらそうに自分の好きな相手はなんとしてでも傍に置くと

そう宣言していたのに、年を経るうちに

どんどん東宮としての責任から逃れることも出来ず

桜の君を探すことさえも出来ない。

私が女性を探すことを誰かに知られてでもしたら、もしかしたら

桜の君に迷惑をかけてしまうかもしれない。

私は一番大事にしないといけないであろう姫君を

いづれ娶らなくてはならない。

そんな身の上で桜の君を手に入れようだなんて・・・・

自信もないのであろう。

まだまだ私は成長しないといけない

桜の君が私を愛してくださるようにもっと精進しなければならない。

そう決意をあらたにしていた。

 

 

 

 

 

 

それからまた1年が経ったある日ついにこのときがやってきた。

それは右大臣家の姫が私の元に入内することになったのだ。

彼女は右大臣家の末の姫であった由良姫と

内大臣家の跡継ぎでもあった権大納言の一姫だった。

もうすぐ彼女はこの私が住まう東宮御所でもある

梨壺に入ってくるから梨壺の女御としてこの後宮に仕えることになる。

この話を父である今上帝から伺ったのだが一つ気になったことがあった。

それはやけに父上がこの話を喜んでみえたからだ。

この入内は一姫が御生れになったときからすでに決まりつつあった話であった為

別段珍しいわけでもない。

それなのに何故父上が嬉しそうなのかが分からなかった。

そして、一姫の入内と共に一人変った人が一緒にこの後宮に上がるようなのだ。

その方とは、なんと右衛門佐貴久の母君が

一姫の女房として一緒に上がるようなのだ。

貴久が私に嫌そうに話をしてくれた。

何でも変った母君らしく、口よりも手が出るほどの方だそうで

普通の姫君とは違うそうだ。

だから、貴久の母君が私に粗相をすると思っているようで

この参内にかなり頭を悩ませている様子。

貴久の父上は貴久が幼い頃、早めに亡くなられた分

母君に愛情を注がれここまで成長したようなのだが

その分過剰に構われたみたいで母君が少し疎ましいみたいだ。

疎ましいとは言いつつ、それが本心などではないようなのだが・・・

私は貴久と反対で父上は健在ではあるが母上を早くに亡くし、

母の記憶など全くなかった。

父上でもある今上帝は私には愛情というよりも東宮として、

そして次期統治者としてでしか接することも適わなかったので

少し疎ましいと思える位母親の愛を沢山受けてきた貴久を

羨ましく思っていた。

それから後、右大臣家の姫君が私の后となったのだが

今、一番貴族の中で力を持つ右大臣家の力をまざまざと魅せ付けるほど

煌びやかな一行だった。

そうして新しい私の后である梨壺の女御が誕生したのだ。

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