妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~4

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梨壺の女御はとても可愛らしくていかにも右大臣家に大切に育てられた姫らしく

のびやかな感じの姫君だった。

桐壺の女御とは違い、人の顔色をみることなど全くなく、

私にいろいろな質問を投げかけたりと朗らかでとても感じが良かった。

梨壺の女御のおかげでこの後宮も華やかになり

いろいろな宴もあったおかげでこの後宮

忙しく皆が楽しく過ごせたように思う。

私よりも年が6歳違うこともあって妹のように甘える梨壺に

私は惹かれるかもしれないとそう思っていた。

桜重ねの美しい衣を纏った愛らしい梨壺の女御を私は愛せるとそう感じていたのに

彼女はやはり私が求めるような姫ではなかった。

始めは私に好意を抱いているのが嬉しくて

梨壺が私好みに自分を着飾るさまは嬉しく思ったのだが

決定的だったのは梨壺に自分の好きな唐衣や香などに

変えても良いと言った時だった。

彼女はいきなり泣き崩れ東宮様の言葉が一番だと、

東宮様好みに変えて何が不満なのかとそうおっしゃた。

梨壺は東宮である私の好みにすれば私が気にいるとそう思っているだけ、

梨壺の好みを私が知りたいとそう話しても梨壺は吃驚して

自分の好みなどないとそうおっしゃったのだ。

いつも女房が着飾ってくれると、女房達を信頼していると、

彼女達に任せれば東宮の私も、梨壺を好きになるとそうおっしゃった。

ショックだった。

貴族の姫というものは確かに女房達に身を預けるのが当たり前ではあるが

自分の好みもないなんてありえないとそう感じてしまった。

自分という者を持ちえない梨壺に

今までの愛おしい気持ちが冷めるかのように思えた。

しかし梨壺の女御のバックは今、一番権力がある右大臣家の姫君

けして無碍に扱うことなどできない。

だから私は自分の女御を平等に扱うことを誓った。

自分が求める姫はやはり桜の君しかいない。

桜の君が欲しい!矛盾だらけの自分の気持ちが嫌でたまらない。

今までは梨壺の女御と毎日のように夜を共にしていたが

自分の心を再度確認したら

あの、思い出の桜の木の下に行きたくて仕方がなかったのだ。

そうして私は急いで桜の木の下に行って見たら

ずっとずっと会いたくて仕方がない桜の君が

思い出の桜の木の下に佇んでいたのだ。

そして私が近づいた時嬉しそうに顔を上げていた。

しかし私に気付いたその時、桜の君の表情が少し曇ったように感じたのは

気のせいだったんだろうか。

そう思いながら私は嬉しくて桜の君に話しかけた。

「随分お久しぶりですね。桜の君!」

「うふふ、そうね、久しぶりだわね。東宮さま。」

東宮ではなく名前で構いませんよ。」

「そうだったわね、二人きりの時だけはそうしましょうか、宗義。

また大きくなって見違えるほど成長したわね」

「桜の君は全然変ってませんよ。」

「あら、やだ口が上手くて仕方がないわね。

もうあたしは三十路を超えたところよ。」

「全然見えませよ桜の君。しかしいつから後宮に?」

「1ヶ月前かしら」

「その時と言うと梨壺の女御が私の后になったときではありませんか。

そんなに経っていたのに何故私に知らせてくれなかったのですか。

あなたと会えるのを楽しみにしていたのに。」

「ごめんなさいね。宗義は悠里姫と新婚さんだから

あえて邪魔なんてしたくなくてね。」

「悠里姫と言うと梨壺の女御の以前の名前ですね。

桜の君はもしや梨壺の女御の女房なのですか?」

「うん、そうなのよ。

でもあたしは正式な女房じゃなくて後宮の生活に不安だった悠里姫が

少しの間だけ後宮に一緒に来て欲しいとそう願ったからついてきただけ。

だからいつも傍にいるわけじゃないの。

それに宴にも全くでなかったから会わなかったのよ。」

「どうして宴にお出にならなかったのですか?」

「あたしは宴が苦手だし、それに会いたくなかったから」

そうつぶやく桜の君の声が少し小さくて何を言ったのか分からなかった。

何故だか詳しく聞けるような雰囲気ではなかったので話を変えてみることにした。

「桜の君!そういえば私はあなたの本当の名前と御身分をお聞きしていません。

よろしければお聞きしたいのですが」

「そういえば全然教えてなかったわよね。あたしは元右大将の妻で瑠璃と言うの。

あたしの息子の貴久が宗義にお世話になってるわね。

内の息子はちゃんと役に立っているのかしらね。」

「え!あなたがあの貴久の母君であられるのですか?

そんな・・・あなたが結婚されていたなんて・・・」

「あははは、やだわ~宗義ったらこんなおばさんを捕まえて

独身だと思っていたの。

なんだか嬉しいような複雑なような気がするわね。」

「確か夫の元右大将はお亡くなりになって・・・」

「ええ~貴久が4歳の頃病気で亡くなったわ。

初めて宗義と出会ったとき、あんたとすぐに会う予定だったんだけどね、

高彬があたしたちが内緒で後宮に来ている頃

過労で倒れてしまってそのまま・・・」

そういった後、桜の君は悲しそうな、

後悔の念を浮かべた表情で桜の木を眺めていたのだ。

彼女が今亡き夫のことを思い浮かべているのは明白ではあったが

なんとかしたい気持ちでいっぱいだった

「桜の君!そう自分を責めてはいけません。

たまたま右大将が過労で倒れたのはあなたのせいではないのです。

だからあなたが自分を責めなくても」

「止めて!その顔でそんな台詞言わないで!

そんなこと言われても分かっているんだから

鷹男と同じ顔で同じ台詞なんて・・・」

桜の君は涙を流し続けた。

鷹男と言うのが誰かも分からずただ、私は言ってはいけないことを

言ってしまったのだ。

彼女が泣いてもただただ何もできずに

黙ってその姿を眺めることしか出来なかったのだ。

 

 

 

結局私は桜の君こと瑠璃姫が泣く姿を眺めていたが

瑠璃姫が自分の態度が悪かったと謝られ

しっくりはこなかったがもうこれ以上それを言い続けることが出来ず

この場を立ち去ることしか出来なかった。

それからいくども瑠璃姫に会いたくてあの桜の木に向かおうと思っても

前の瑠璃姫の表情が思い浮かび

なかなか行くことが出来なかった。

私は結局逃げていたのだ。

その間に瑠璃姫に気持ちの変化があったことにきづくこともなく

時間だけが経っていった。

梨壺の女御の所に行っても瑠璃姫の姿はなく、

梨壺に瑠璃姫のことを尋ねてもどこにいるのかは分からなかった。

彼女はやはり普通の貴族の姫君と違い

この後宮にいても破天荒な行動は変らない様で

名目は梨壺の女御の女房ではあるが

実際は以前からこの後宮に来たことがあり、色んな場所にいかれている。

ただ気になっていたのは瑠璃姫は長い事こと

後宮に留まることはなさらないと言っていたこと。

以前梨壺の女御が慣れたら後宮から立ち去るようなことを

おっしゃられていたのだから

いつ、この後宮からいなくなるかは全く分からなかったのだ。

梨壺の女御に聞くとまだおきめになっていない様子だったので

安心ではあったが、どうなるかは分からなかった。

それから随分たってからやっぱり会いたい気持ちが治まらなくなって

あの桜の木に向かった。

そこには愛する私の瑠璃姫がいたのだ。

胸が高鳴り近づいていきそうして私は凍りついたのだ。

それは私の愛する初恋の君である瑠璃姫が、誰か違う方と一緒だったから。

いや、それだけではない。こちらから相手は見えなかったが

なんと瑠璃姫は殿方と嬉しそうに接吻を交わしていたのだ・・・・・

・・・・・

・・・

あまりのショックに私はこの場から逃げようとしたそのとき

偶然にも瑠璃姫の相手の横顔を見てしまった。

そこには・・・なんと我が父上である今上帝だったのだ!!!

 

 

 

 

 

 

 


あまりの衝撃に我を忘れてつい鋭い声で話しかけてしまったのだ。

「これは一体どういうわけですか!瑠璃姫!

あなたは以前この桜の木の下で亡き夫である右大将の高彬殿を思いだし

そして涙して悲しまれていたではありませんか。

それなのに、何故父上と一緒に居られるのです。その上、接吻などと!

そして父上こそどういうおつもりか!

もう新しい女御など迎えないとそうおっしゃられていたではありませんか。

それは我が母上を愛するが為。

建前はもう貴族同士の争いを避ける為とは言われてましたが

それでも我が母上が一番大切な人だとそうおもわれているのだと思ってました。

それなのにどうして!!!」

私はあまりにも怒りに満ち、そして二人に裏切られた気持ちでいっぱいだった。

母上が可愛そうだとそう思ったわけではない。

私の愛する初恋の桜の君を父に奪われてしまったその悔しさに

私は耐えられなかったのだ。

だから私はつい瑠璃姫にも非難の声を上げてしまったのだ。

そう私が叫んだとき瑠璃姫は悲しそうな視線で私を見ていたのだった

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