妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

止められない初恋2


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ある日のこと。

父さまから大事な話があると告げられた。

いつもよりも神妙な趣であたしにとって人生の節目を告げられた瞬間だった。

「瑠璃、そなたには東宮妃になってもらう。」

「なっ、なんですって!何を急に馬鹿なことを言うのよ!」

「これは大分前から決まっていたこと・・・

だがまさか、他に殿方を通わせていただなんてことがあるわけ

ないでしょうな。」

「なっなっなっ、そんなわけあるか~~~~~!

父さまも知ってるでしょう~初恋の君がいるって!

前から言ってたじゃないの!その人と結婚がしたいって!」

「これ、瑠璃や、脇息を投げつけるでない。」

「だって酷いことを言うんですもの。」

「分かった、分かった、瑠璃がまだその初恋の君を想っていることは

信じますぞ。それでな瑠璃、東宮妃になるためにはそのような野蛮では

いけませんぞ。東宮妃に相応しく花嫁修業をして

東宮様に相応しい妃になれるよう努力しなくては。」

「ちょっと待ってよ!どうして勝手に話が進んでいるの?

あたしの気持ちは?」

「おい、例の物を持ってきなさい。」

怒り狂っていたあたしの前で父さまが女房に何かを頼んだみたい。

何を見せられるんだろう?

あたしは不思議そうな顔で父さまが持ってくるものを眺めた。

そうしてそれを見た途端!父さまが驚く顔も無視してその花々を

手にした。

だって、この花は吉野の里で別れた二人の兄弟から頂いた思い出の

花だったんだから。それも色は赤色と青色。

鷹男と吉野の君だわ。

二人のどちらかが東宮様なんだわ。

だから吉野の里では二人とも本名を教えてくれなかったんだ。

あたしは吉野の里で初めて出会った時、二人に名前を聞いた。

でも微妙な表情をされたの。

本当の名前はまだ告げられないから、あたしに名前を付けてほしいと

頼まれて、丁度あたしたちの頭上で鷹が舞い上がりそのたくましい強さに

兄君の方を鷹男と名付け、弟君の方を吉野の里の様な美しく幻想な容姿に

吉野の君と名付けた。

一気にあの頃の想い出が蘇って来るわ。

本当に鷹男と吉野の君のどちらかが東宮様なら

あたしの邸に迎えに来るわけないですもの。

本当はね、寂しかったのよ。

吉野の里で二人と別れてしまって、あんなに一緒に遊んでいた二人と別れ

ぽっかりと穴が開いたかのようだった。

二人とも大好きで離れるなんて思わなかったのに現実は違った。

あれから二人はどこの家の者なのか分からずあたしはただ待つだけ。

二人からの連絡もなく、本当に迎えに来てくれるのか心配で仕方が無かった。

でもこれで連絡ができない理由もわかった。

二人と出会えたら絶対に怒ってやるんだから。

あたしを寂しがらせた報いは果たしてもらうわよ。

でもその前に、貴族の姫君としての教養も習い事もほとんでしてこなかったから

二人の前に出たとき、鷹男なら絶対にからかってくるでしょうし

貴族の姫君として相応しい姿で出てやるんだから。

「父さま、あたしは東宮妃になります。このままでは東宮妃には

相応しくありません。東宮妃に相応しいよう習い事を一杯するから

手筈を整えて頂戴!」

「なんですと!瑠璃やあ~、やっとやる気を起こすことにしたのですか。

これは急がなくては、誰か誰か~瑠璃に東宮妃としての習い事の先生を

探すのです。気が変わらないうちに早く~~~~~」

父さまは興奮して大騒ぎしているわ。

あたしも本腰を入れて東宮妃に相応しいよう努力しないと

せっかく再会したのに二人をがっくりさせたくないわ。

あたしは二人に再会できることを心待ちにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからあたしは東宮妃として、梨壺に部屋を賜り

梨壺の女御と呼ばれるようになったの。

初めて東宮様に出会うとき凄く緊張をしていた。

花を見たときはあの兄弟のうちのどちらかだと確信できたけれど

もしかしたら違うかもしれないじゃない。

もし二人じゃなかったら?

もうあたしは後がない。

東宮妃としてお役目をいただいたあたしは、

今更止めますとは言えない。

その時だった。

「梨壺の女御、お待ちしていました。顔を御上げなさい。」

凛としたその声は幼い頃の粗野さは失っているものの

面影は残る鷹男だった。

鷹男!

ついその名前で呼んでしまいたくなるほどあたしは興奮していた。

鷹男、鷹男、鷹男!

やっと会えた!

ずっとあんたたちに会いたかった。

寂しかったんだから。

自分の心の想いを今すぐ鷹男にぶつけてしまいたくなる。

けれど今は公の場。

東宮様にお会いできて嬉しく思います。何分後宮での暮らしは

初めてなので色々手ほどきをしていただきたく存じます。」

「手ほどきですか?そうですね、

初めての後宮での暮らしに戸惑うこともあるだろう。

わたしが色々な手ほどきを直にしようとしましょう」

鷹男は手ほどきという言葉にやけに力強く言葉を発し片眼を閉じて

ウィンクをしたの。

なっ~~~~~~~~~~~!

あたしは思わず想像してしまった。

別れ際の時に言われた言葉。

今度は本物の手ほどきをしてやるからな。

真っ赤なあたしの姿に気が付いているのかいないのか分からないけれど

鷹男らしい。

吉野の里での時はわんぱく系で年下のあたし達にも容赦なく接してくれたのに

今ではそんな姿もみじんも見られない。

だからなのか少し寂しい自分がいた。

時間というのはあっという間に過ぎ去っていく。

でもちゃんとあたしを迎えに来てくれた。

寂しかったけれどこれでずっと鷹男たちと一生過ごせると思っていた。

なのにもう一人の幼馴染である吉野の君との再会は

中々叶うことができなかったのよ。

 

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