妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

止められない初恋1


写真素材 pro.foto

 

 

桜満開の地吉野では小さな天使の様な童たちが遊んでいた。

他には菜の花やほかの花々も童たちを

歓迎しているかのように咲き誇っている。

 

「吉野の君~遅いよ~~~~~」

「お待ちください、後ろを向いて走ったらこけてしまいますよ。」

「吉野!遅いぞ!あの桜の元まで誰が一番早くつくか、

かけっこだと言ってるだろう」

「兄上も瑠璃姫のことをお考え下さい。」

「ああ~~~~~~、また吉野の君は手加減するつもりでしょう!」

「そういうわけではありません。」

「だったら早く走ろう~~~、鷹男なんてすぐに追いついてあげるんだから!」

「瑠璃には負けないからな!」

「あたしだって鷹男に負けないんだから!」

幼い若君と姫君との間でかけっこが始まる。

勝ったのは若君の方だった!

「瑠璃、わたしの勝ちだな!」

「あ~あ、また負けちゃった!鷹男は本当に早く走るよね!」

「まあな、この中では一番年上だしな。」

「あたしはそんな鷹男が大好きだよ!」

「なっ、瑠璃~~~お前なあ~」

そこにやっと追いついた吉野の君が慌てて話しの中に入る。

「瑠璃姫、そのように自分の感情を率直に言うのはおやめなさい」

「なんでよ!吉野の君?あ~~~~~そうだ!瑠璃は吉野の君も

大好きだよ!」

「「瑠璃姫」」

二人の若君は真っ赤な顔をして紅い顔を元に戻そうと必死な様子。

そんな二人の姿に不思議な顔をよこす瑠璃姫。

瑠璃姫はまだ幼く、自分が言っている意味は分かっていないのです。

父上も母上もおばあさまも融も皆大好き!

好きには色々な種類があるけれど、まだ幼い瑠璃姫は

二人の若君が欲している恋情をまだ感じ取れるほど大人になっていないのです。

「瑠璃姫、私もあなたのことが大好きですよ!」

「なっ、わたしも瑠璃が大好きだ!」

満面の笑みで瑠璃姫は二人にこう伝える。

「ありがとう!」

その姿に見惚れた二人の若君。

まだ幼い童たちはいつか大人になる。

大人になれば人は変わるもの。

いつまでも子供のままでいることが出来たら奇蹟でしょう。

しかし、この童たちにも残酷であろうが三人でずっとい続けることは

叶いません。

そんな三人はどうなっていくのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしの名前は瑠璃姫。

摂関家の流れを汲む内大臣家の総領姫。

貴族の姫君となれば親が選んだ殿方と結婚するのが習わし。

あたしも14歳になり裳着も済ませて誰かに嫁がなくてはならない。

けれど、あたしは自分が好きな相手と結婚がしたい。

そう強い意志を持っているの。

そんなことが許されるわけがないことは分かっているわ。

貴族の姫として生まれたからにはお家の為にも内の格に相応しい家柄の

相手と結婚をせざるおえない。

でもあたしは断固拒否するつもりよ。

それなのに父さまは通う殿方がいないのに何も言ってこないのよ。

なんだかそれが怪しくて仕方が無いの。

父さまは何を企んでいるのかしら。

ふとあたしは自分の手の中にある二つの色違いの押し花を見つめる。

あたしが幼い頃母上がなくなり、一時期おばあさまの元である

吉野の里で何年か過ごしたことがあったの。

そこであたしは二人の兄弟である若君と出会ったの。

年が近いから二人とは話が合って毎日のように遊んだ記憶がある。

今でも昨日のように記憶は鮮明で、あの頃の暮らしが永遠に続くと

そう思っていた。

けれど二人は元々吉野の出身ではなく、あたし同様京出身で

父親に呼ばれたからといって二人は京に戻っていったの。

その時にあたしは初恋というものを知ったの。

あまりにも幼いあたしは恋というものを知らなかった。

吉野の君と鷹男。

二人が大好きで仕方がなかったけれどその好きは恋情ではなく

友愛であって恋愛にまで至らなかった。

気が付けないほどあたしたちは毎日密接に関わっていたから

初恋だと気が付けなかったの。

そんな二人とお別れするときにくれたのがこの色違いの花。

赤い花が鷹男、青い花が吉野の君

二人が京に戻る時に大泣きして必死で引き留めようとするあたしに

二人からまた迎えに来るっていうお約束をしたの。

「瑠璃、わたしはお前が好きだ!友達の好きじゃないぞ!お前だから好きなんだ。

でもわたしはまだ子供だ。大きくなったら絶対に迎えに行く。だから待ってろよ!」

「瑠璃姫、私もあなたのことが好きです。初恋はあなたです。

迎えに行くまで待っていてくださいね!」

「うん、二人があたしを迎えに来てくれるのをずっと待ってるから!」

「「えっ、二人!」」

「何かおかしいこと言った?鷹男も吉野の君も二人とも同じくらい

瑠璃は好きだもの!二人以外好きにならないもん!」

鷹男も吉野の君もその時複雑そうな表情をしていたのに

その時のあたしはよく分かっていなかった。

どっちかを選ばなくちゃならないのに、あたしは二人とも大好きだったから

選ぶことができなかったんだもの。

そうしたら二人が見たこともない綺麗な花を差し出してくれたの。

色違いだけれど凄くきれいだった。

その花を二人はあたしの耳にさしてほっぺにちゅっとしてくれたのよ。

「なっ~~~~~~」

「これで約束を貰ったからな!今度会った時は本物の手ほどきをするから」

「私のことを忘れないおまじないです。絶対に迎えに行くので

待っててくださいね。」

二人はそう言い残し吉野の里を離れたのよ。

それからあたしもおばあさまがなくなったことで京に戻ることになり、

それから二人からの便りは無し。

二人とも身なりはよくて着ているものは最高級の物ばかり。

お屋敷も物々しいくらい護衛の者がいて

幼いながらに二人の邸に近づくのは怖かった。

それを知ってか二人はあたしがいる邸に毎日迎えに来てくれたから嬉しくて

仕方が無かった。

あたしは考える。

鷹男も吉野の君も初恋の君で二人のどちらかを選ぶことなんてできない。

だって二人とも大好きだったんだから。

でもいつか二人が迎えに来てくれるっていう言葉は真実だと思う。

二人とも嘘をついたことなんてないもの。

迎えに来て欲しい、でもどっちか選ばなくてはならないなら

どうすればいいんだろうか。

あたしはそんな不安を抱いていたのよ。

 

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