妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

届かない想い3

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あれからあたしは院御所で過ごしていた。

大皇の宮さまはあたしの気がすむまでここにいていいと

そう仰せだからついついそのまま

何も気にせずにやっかいにならせていただいているの。

本当なら院御所なんだから、

あたしも出仕の形でここにいる以上、女房として働くのが筋なんだろうけど、

ここ院御所では古参のしっかりとした女房達が沢山見えるから

あたしはただ大皇の宮さまと御一緒に貝合せや、

珍しい絵巻物や綺麗な絹をみたてたりとかなり優雅に

楽しく暮らすことになったの。

あたしが三条邸を抜け出して家出をしたことは最近高彬も知った様子。

やっと高彬は三条邸に寄ったみたいで父さまから

あたしが少し前に家出をしたことを聞いて吃驚した様子だったそうよ。

まあこの事を聞いただけではあたしも納得が出来ないから

早くここにたどり着いて欲しいとは思うのよ。

絶対に分からないところにいるわけじゃないんだから。

少し考えただけで見つかる所なんだからね。

あたしはまずは第一段階が突破したとそう思ったのよ。

父さまはあたしの居場所は知らないととぼけてくれたようで、

あたし自身をみつけるように伝えてくれたし。

だからあたしは安心していたの。今はあたしを真剣に探してくれているはずだと

あたしを早く見つけて謝ってくれる筈だとそう願っていたのよ。

 

 

 

 

 

イライライライラ・・・・

「瑠璃さまそんなにイライラなさってはお体に毒でありますわよ」

「ふん、そんなの知らないわよ!

いつになったら高彬はあたしを見つけてくれるのかしら。

もう父さまから高彬が尋ねてから一週間は経つのよ。

高彬くらいの情報網ならあたしがここにいることくらい

分かっていてもおかしくないじゃないの」

「しかし瑠璃さま、普通の姫さまが家出などなさらないですし、

それに家出先が恐れ多くも院御所だなんてだれも思いつきませんわ。」

「あたしはその辺の貴族の姫さまじゃないわ。これでも顔は広いんだから。

あたしが大皇の宮さまと親交があることくらい高彬は知っているはずよ。

それなのに全然こちらへの連絡もないのよ。

せめてあたしがこちらに伺っていないか位聞いてもいいとは思わない?」

「それはそうでしょうけど・・・

高彬さまにしては行動が遅くは感じられますがまだ一週間しか経ってませんし、

もう少し様子を見ましょう。ねえ、瑠璃さま」

小萩に宥められたあたしは、本当は早く迎えに来てくれない高彬に

じれったさを感じながら

小萩の言う通り、待つしか出来ないあたしは

納得はできないけど院御所でじっとしているしかできなかったの。

そんなあくる日の夜、皆が寝静まったときに

誰かの足跡が近づいてくるような気がしたの。

あたしはこんなに夜遅くだったけど、

皆に内緒でやっと高彬が来てくれたのだとそう思った。

だから妻戸の前で待って高彬を迎えようとした。

なのにあたしが待つ人ではなく、ここにいてはいけない人が

妻戸の外に佇んでいたの。

「瑠璃姫、私です。ここを開けてくれませんか?」

「鷹男!なんであんたがここに居るの?まさか大皇の宮さまにお聞きしたと言うの?」

「いいえ違います。私は高彬が新しい女性を迎えたと聞き、

あなたが心配で文を届けました。

しかしあなたからの返事の文を頂くことは出来なかった。

だから高彬に問いただしたらあなたが三条邸から姿を消した旨を聞き、

高彬には隠れて探っていたのですよ」

あたしは鷹男から高彬のことを聞いたせいでつい

高彬の今の状態を聞きたくて仕方がなかったの。

「鷹男!高彬はどうしているの?あの人はあたしを探してくれているわよね。

もしかしたら高彬は体の体調を壊して出仕をしていないとか・・・

そうよね。高彬があたしを迎えに来るのが遅すぎるもの。絶対にそうよね」

あたしは自分の気持ちがいっぱいで

鷹男の気持ちなんて考えることなんて全く出来なかった。

ただただ高彬が迎えにこないのはここに来ることが出来ない事情があると

そう思うことしか出来なかったの。

妻戸の外に居る鷹男の表情を見ることが出来なかったのだから。

あたしは鷹男のことなど無視して高彬のことを聞いたの。

でも鷹男から聞いた高彬はいつもと変らずに仕事をしている様子だったみたい。

あたしは信じられなかった。自分の妻がもう一週間も実家に居ないのに

高彬がいつもと変らないことに

絶対に高彬は御所では仕事一番だからいつもと変らないだけで

仕事を終えたらあたしを探すのに翻弄している、そう思うしか出来なかった。

あたしは呆然としてしまってわざわざ危険を省みないで

あたしのことを心配してきてくれた鷹男に

「帰って!」

そういうしか出来なかった。

鷹男がここにくるのにどれだけ大変なことだったのか

そんなことを思うより、高彬がいつもと変らずに仕事をしていることに

悲しさを感じてしまったの。

あたしの拒否した言葉に初めは納得しなかったけど

鷹男は一言いってこの場を立ち去ったの

「瑠璃姫がここを開けてくれて、そして私を受け入れてくれるまで

私は毎日でもこちらに通いますから」

そういって立ち去ったけどあたしは鷹男のことよりも

高彬のことでいっぱいだったの。

それから毎日のようにくるのは鷹男だけ、

あたしが一番来て欲しいと願う高彬は姿を現さない。

どれだけ高彬を待ち望んだとしても高彬は来てくれなかったの。

小萩はいい加減高彬が迎えにこないことに怒りを露にして怒ってくれた。

それだけで心が慰められるように感じられたの。

その内鷹男は帝のみでいつまでこちらにくるのかとふと思うようになっていた。

高彬が来ないことへの憤りと不安があたしの心を支配している。

でもあたしの夫でもないただの友人である鷹男が

こんなにしてまでもあたしの元に来てくれることに

疑問を感じてしまった。

昔から鷹男はあたしに興味を覚えて求婚はしてくれていたわ。

でもそれを本気とは思わなかった。鷹男には沢山の女御様がいたんだから。

なのになんでこんなにあたしを心配してくれるのかが分からない。

あたしの心はまだ来ない高彬よりも

ずっと心配してくれる鷹男へと気持ちが変化してい

くのにゆっくりだけど気がついていた。

でもそれでもあたしは鷹男への気持ちは考えないようにしていたのよ。

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