妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~揺れ動く恋心12

鷹男の出現に、あたしも馬鹿な見知らぬ男も驚きすぎて声もでなかった。

「こんなところで一体何をして居るのだ!権の少将!」

鷹男の声でこの男が権の少将だという事が分かった。

鷹男の声はとても冷たく凄く怒りに満ちていた。

その感情の意図があたしには分からなかった。

権の少将は殴られたあげく東宮の出現に

初めはおろおろしてとても滑稽だった。

そのままそそくさとこの場を立去るのかとあたしは思った。

しかし、少し考えたこの男は

急に虚勢を張りながら鷹男に話かけて来たの。

「と、東宮様こそどうしてこのような場所に現れたのでございますか?」

「そのようなことそなたに言うことではない!

さっさとここを出て行け!」

鷹男の怒りははじめ静かだったのに声を聞くと

熱情がありこのまま再度殴りかかってしまうのではないか、

そんな不安を背中越しに感じた。

ただ、その怒りにこの馬鹿な権の少将は気がついていないようだった。

そしてとんでもないことを吹っかけてきたのよ。

東宮様、あなたさまならお分かりでしょう~

女など自分の出世のために利用するしか能がありません。

それか、体で慰めて貰うかただそれだけ。

東宮様自身それを実践して見える。

ですからここは目を伏せていてください。

この姫を自分の物にしたら東宮様の力強い味方になりますよ~

いかがですか~東宮様?」

話を聞いているだけで胸糞が悪い!

でも、確かに鷹男は以前あたしを裏切り

女は駒だとそうはっきり言われた。

この場所に鷹男が居ること自体意味が分からないんですもの。

鷹男はもしかしたらこのままこの男の言う通り

あたしを差し出すかもしれない。

鷹男は上を目指すためなら誰を利用してもいいのですもの。

あたしは・・・・また鷹男に裏切られるの?

また、あたしは心に傷を追うの?

あたしはまだ鷹男を信じていたのかもしれない。

ここにきてあたしを助けてくれた。

ただそれだけで鷹男への気持ちは元に戻っていってしまったのですもの。

ふふっ・・・・・どうしてあたしは鷹男を忘れられないのかしら・・・・

あたしは心の中で絶望感を抱いた。

その時鷹男が口を開いた。

「そうだね~私は自分が帝になり

そして自分が思うままこの世を支配したいと思っているよ。

当然女達は私の権力欲のための駒としか思っていない。」

「そうですよね~東宮様、あなたさまなら私の行動は分かりますよね~

この女を自分の物にすれば力が手に入るのですから。」

権の少将はそのまま鷹男に近づいていき

鷹男はそのまま外へ出て行くためか妻戸の方へと歩いていく

ああ~やっぱりあたしは鷹男に再び裏切られるのね。

そう思い二人が交差しすれ違う途端

どたん!!!!!!

鷹男がそのまま権の少将に足をだし

引っ掛け倒れた権の少将の上に馬乗りになったの。

そしてそのまま短刀を権の少将の首際に当て、脅しの言葉をかける。

「お前のようなゲスに姫を渡すことなどできるか!!!!

高彬への嫉妬のためにこのような馬鹿げた計画よくも起したものだ!」

東宮様!さっきと話が違うではありませんか!?

あなたさまだって女を手篭めにして利用しては捨ててきた。

それを私が実行したらお咎めですか?卑怯ではありませんか!」

そう権の少将が叫んだ途端鷹男は首に当てた短刀を

今度は振りかざし目の上で止めた。

「ひい~~~~」

「何か文句でもあるのか?そなたは私欲のために私を利用したのだぞ!

大切な儀式を終えその帰途をお前は邪魔をした!

この事が露見して困るのはそなたであろう~だったら今回のことは

なかったことにしたらどうかな?のう~権の少将」

権の少将は短刀で既に驚きすぎて

おかしくなってしまっているみたいだった。

あまりの恐怖にただ何でもハイハイと言うだけ。

「金輪際瑠璃姫に手を出すのは止めて頂こう!

もし、そのような事があればこの短刀が

そなたの首に刺さるやもしれぬ。分かったか!」

「はい!絶対にこの姫君には金輪際近づきません。

許してください!東宮様!」

「分かっているであろうが今回のことは内密でな!」

「はい!」

その言葉と同時に権の少将は鷹男が体をどいてくれたおかげで

自由になり大慌てで部屋を出て行ったの。

さっぱり鷹男の意図が分からずあたしは大パニックだった。

先ほどの遣り取りで鷹男にまた裏切られたと思ったため涙を浮かべ

オロオロと顔を動かすしか出来ない。

その姿に鷹男は勘違いし

権の少将に押し倒されたことに恐怖感を抱いたと思ったらしく

あたしをぐっと抱きしめてくれた。

「瑠璃姫!ご無事ですか?

あなたに何かがあったら私はどうしたらいいのでしょう~」

男の叫び声にあたしの頭の中は整理しきれない。

鷹男に色々聞きたい。

聞きたいのに声がでない。

質問は沢山あるわ。


どうしているの?

どうしてあたしを助けてくれたの?

権の少将にあたしを差し出さなかったのは何故?

そしてどうしてあたしを心配してくれるの?

どうして?????????


あたしが愛した人はあたしを裏切り去って行った。

なのに何故今さらになってここに現れ助けてくれるの?

分からない。どれだけ考えても分からない。

あなたの気持ちが見えないの。

どうして・・・・・・

どれだけあたし達は抱きあっていたのだろう。

その時だった。

大きな足音がドンドン近づいてくる。

そしていきなり人が飛び込んできたのよ

「瑠璃さん!!!無事か!?!?!?」

一生懸命に走ってきたのか息が荒く興奮している高彬が

いきなりこの部屋に入ってきたの。

その時あたしと鷹男はまだ抱き合ったままだった。

とん・・・・・・

鷹男はあたしからすぐに体を離し高彬の方に押したの。

えっ!?

「高彬遅いぞ!お前の大事な姫は私が守ってやった。

お前の婚約者殿は無事だ。お前に返すぞ!」

鷹男の体が離れあたしの体は高彬の方へと向かい

そのまま高彬に抱き締められる形となったの。

高彬は鷹男に何かいいたそうだったけど

まずはあたしの体を心配してくれる。

「瑠璃さん大丈夫だったかい?」

「ええ~大丈夫よ。鷹、東宮様が助けてくれたから・・・・」

「そう・・・・助けに行くのが遅くなってごめん。

なんとなく権の少将殿が何か企んでいるなとそう思っていたんだけど、

宴で彼の友人たちに取り囲まれてお酒を勧められたから

一体何を企んでいるのか知るため酔い潰してた。

そうしたら遅くなってしまった。本当にごめん」

「いいのよ・・・・・・」

あたしは高彬と話しながらも

鷹男のことが気になって気になって仕方がない。

気持ちは騒ぐだけ騒ぎ胸がいっぱいになっていく。

その時だった高彬が鷹男に話かける。

東宮様!私の婚約者を助けていただき誠にありがとうございます!

このご恩は一生忘れません」

「そうか、婚約者殿が無事でよかったな。私は部屋に戻る。」

「私は瑠璃姫を一生離しません!私が瑠璃姫を幸せにして見せます!」

どうして高彬はそんな事を鷹男に言うの?

鷹男だってさっきまであたしのことを瑠璃姫って言ってくれたじゃない。

なのになんで急に婚約者殿と言うの?

鷹男との距離はそんなに離れていないのに、心の距離は離れていく。

あたしは思わず鷹男に言った。

どうしても聞きたかった。

今言わないとあたしは後悔する。

だから聞いた

「ねえ~鷹男!どうしてあたしを助けたの?

あんたはあたしを裏切った。

あたしの心に傷をつけるだけつけて去っていった。

だったらもうあんたはここに来る必要なんてなかったじゃない。

利用価値がない女に興味はないのでしょう?

こなければよかったじゃない!どうして助けにきたのよ~」

言っているうちに段々感情的になっていく。

聞きたいことがいっぱいで鷹男の心が知りたかった。

その時だった。

「あなたに二度と会うつもりなどなかった。

あなたは高彬を選んだのだから。

幸せになれるなら私は陰で見守ればいいだけだった。

しかしあなたの危険を黙っている事なんて不可能だった!!!

あなたの事は高彬に任せればよかったはずだったのに!

なのにあなたを狙う権の少将の事を知ったら

早くあなたを救わなければ、そうしなければ

私はまた後悔に苛まれる。だから・・・・・・」

鷹男の言っている意味が分からない。

鷹男はあたしを愛してくれなかった。

女を道具としか見れない男だったんだから。

そして最初に手を離したのは鷹男の方だったのよ!

なのに今さら何なの?

しばらくあたし達の言葉を黙って聞いていた高彬が口を出した。

東宮様、私は瑠璃姫ともうすぐ結婚をするのです。

今さら瑠璃姫を混乱に貶める言葉をいうのは卑怯ではありませんか?」

「そうだったな、高彬・・・・そして瑠璃姫・・・・お幸せに」

そう言葉を残し鷹男は去っていった。

あたしの心を混乱に落としいれるだけ落としいれて一体何なの?

分からない分からない分からない。

そんなあたしを高彬はただ何も言わずにぎゅっと抱き締めてくれた。

もう離さないといわんばかりに力強く。

あたしはそのまま高彬に身を預け

整理しきれない気持ちを抱えきるしかできなかったの。

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