妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~渦巻く嫉妬の嵐2


あたしが麗景殿の女御になって2ヶ月が経った。

後宮ではあたしを迎える宴が毎日続いたの。

いろいろな女御様方からの歓迎の宴が開かれ、

そのお礼の宴をあたしからも開かなければならなかった。

だからこの2ヶ月の間宴の毎日であたしはくたくただったの。

本来あたしはお姫様らしいことはしない性質だったからこの宴は苦痛で仕方がなかった。

話なれない敬語で色々な女御様方と言葉を交わさないとならないし

十二単は物凄く重くて肩が凝るし~

小萩からすればこれが本来の姫君方の暮らしぶりだからあたしがおかしいんだとか。

まあ~あたしはその辺の姫様と全然違うから仕方がないんだけどね。

数々の宴をこなさないとならないあたしは、

やりたくもない筝の琴の演奏会にも参加しないとならないから

鷹男の元に入内したからといって暇なわけじゃなく凄く大変だった。

それでもあたしは好きで鷹男の元に行ったわけだから嫌でも頑張るしかない。

不得意な琴の練習も以前のあたししならしないけど今は毎日するようにしているのよ。

元々評判が悪いあたしだから少しでも鷹男に相応しい姫君だと思われるように

あたしは努力する気持ちを忘れないようにしていたの。

 

 

 

 

 

あたしが後宮に入ってから鷹男は毎日のように麗景殿に入り浸ってくれる。

少しでも暇があればあたしの姿を見にきてくれる。

その気持ちが凄く嬉しくてありがたかったの。

本当はあたしは後宮に入るのが凄く怖かった。

鷹男は以前女性の噂が絶えないほどのプレイボーイの人だったから。

鷹男の女御様は実はあたし以外には二人しかおみえにならないの。

鷹男が元服した時に添い節の任を得た桐壺の女御様と鷹男が東宮になるために必要だった

梨壺の女御様。

この二人しか女御様はお見えじゃないの。

でも女御の地位にはついていなくても女御様つきの女房や命婦、更に内侍さまにまで

お手付をしたなどとの噂もいっぱいあった。

あたしは凄くすごく驚いたわ。

だって後宮にいなければ知らない噂が物凄くあったのですもの。

一夜限りの逢瀬も楽しんでいたとの噂もあったほどで

どれだけ鷹男は女性に手を染めていたのだろう。

そんな嫌な噂ばかりしか聞こえないこの後宮

唯一味方になるのはやっぱり鷹男本人以外はいない。

その鷹男が以前噂になった女性は利用価値があったからだと。

愛があったわけじゃないと。

昔の過ちを聞くたびにあたしは心が苦しいのに鷹男に

「今はあなただけです。もうあなた以外は抱くことはありません。」

そう毎日囁いてくれる。

その言葉が真実なのかはあたしはまだ自信がない。

それでも鷹男からの甘い言葉にあたしは酔うことしかできないの。

あたしは鷹男を信じることにしたのだから。

 

 


そんなある日のことだった。

鷹男に急に見せたいものがあるからついて来て欲しい。

そう言われたの。

「瑠璃姫これに着替えてください」

そう鷹男から手渡されたのはなんと女房装束だった。

生地も高価なものではなく目立たないような色の衣装。

あたしは不思議だったけど鷹男が優しい声でそう言ってくれたので

何も聞かずに着替えることにしたの。

着替え終わり鷹男はどこに向かうのかも言わずにあたしの手を掴みドンドン歩いて行ってしまう。

なんだか面白そうな愉快そうなそんな表情であたしをひっぱて行ったの。

あたしの後ろからは2名のお付のものが少しはなれたところからついてきて

あたしと鷹男の奇妙なお忍びが始まったの。

 

 

 

 

 

 

「瑠璃姫、さあ~私達は数刻の間は自由の身です。欲しいものがあったら言ってください。

何でも買ってさし上げますよ!」

鷹男はあたしに満開の笑顔で言った。

あたしはこの状態がよく分からなくて戸惑ってしまう。

だって、あたしは鷹男について歩いただけなのよ。

それなのにいつの間にやらあたし達は後宮を抜け

何処かの市場にいたんだから!

そんなことってありえる?

鷹男は東宮様だしあたしは鷹男の女御なのよ。

そんな身分のものが何故市場で買い物しようとしているのよ!

あたしは何だか慌ててしまう。

以前のあたしならなんとも思わなかったと思う。

あたしだけだったら何も思わないわよ。

だけど今はあたしだけじゃない!鷹男も市場にいるのよ!

東宮である鷹男がいるのに市場で楽しめるわけがないじゃないの!

あたしは思い切って鷹男に聞いて見たの。

「鷹男!あんたはここがどこなのか分かっているの?ここは京の市場じゃないの!

あんたのような身分のものがこんなところに来ていいと思っているの!?」

鷹男は不思議そうな表情であたしを見つめた。

「瑠璃姫、嬉しくないのですか?」

「そういう問題じゃないでしょう~あんたがここにいて何かが起こったらどうなるの?

凄く大変な事が起こるじゃない!」

「ふふっ、瑠璃姫は私の身を心配してくださっているのですね?」

「当たり前じゃないの。」

そんなこと当たり前よ。もし誰かに狙われでもしたらどうなるか分かったもんじゃないわ。

後宮みたいに沢山の警備の目があるわけじゃないんだから。

それにしても鷹男はおかしいんじゃないの?

普通は下々の市場になんて顔を出さないものじゃないの?

あたしの不思議そうな顔で判断したのか鷹男はあたしに答えてくれた。

「瑠璃姫、心配をかけましたね。後宮でずっといるだけでは何も分からないのです。

貴族達の言葉だけを信じるわけにはいきません。

私は全ての民を守る義務があります。

ですから度々後宮を抜け出し市場に出て楽しみ

市井の声をじかに聞きに行っていたのです。

瑠璃姫だったら私に着いて来たら喜ばれると思ったので一緒に来ていただきました。

あなたなら私のことをいろいろ知ってくださるとそう思ったもので。」

あたしは物凄く驚いていたの。

鷹男の向上心の高さに。

自分が将来就くであろう帝になるための努力を惜しまない。

最高権力にただ甘んじるわけじゃなく、全ての人々のために自分がなすべきことをする。

衝撃的だった。

あたしと少ししか違わない年なのにその責任の捕え方に。

あたしは更に鷹男を好きになった。

愛おしく思った。

そんな鷹男のためにあたしは出来ることをしよう。

そう強く思ったの。

「瑠璃姫、いろいろな店が出ています。市井の暮らしを身近に見るチャンスです。

楽しみましょう。」

そう鷹男は言ってくれる。

あたしも言われた通りこの市場を楽しもうと思ったの。

ブラブラと何も買わずにお店を探索して行く。

見たこともない食べ物やさんを発見したあたしはしばらく眺めてしまっていたの。

面白そうな形で作られた饅頭に釘付けだった。

「瑠璃姫、饅頭が欲しいですか?」

「うん!食べて見たい!」

鷹男はお店の人に頼んで饅頭を10個買ってくれた。

「ええ!?10個も多いわ!」

「いいのですよ、瑠璃姫つきの女房達にも差し入れして上げなさい。

喜ばれると思いますよ。」

鷹男の親切な心にあたしは凄く嬉しかったの。

「10個だね!それにしても~~~~~~鷹男!お前も隅におけないなあ~」

「何だよ!別にいいだろう~本当ならこの饅頭やさんは通り過ぎようと思っていたんだけどな。」

「なんだと!鷹男!」

「あははは~嘘だよ!この饅頭屋は種類が豊富で俺も大好きなお店だよ。」

「またあ~お世辞をいいやがって。ほらおまけだよ!このアメ細工も持っていきな。

俺が作った最高傑作だ!これはお金は必要ないさ」

「いいのかい?」

「ああ~鷹男の彼女を初めて紹介して貰えたんだからな。」

「ありがとう~~~~恩にきるよ!おやじは今何か困ったことはないのかい?」

「今年は米が豊作だったからなあ~去年と違って新作の饅頭も沢山出せて売れるしいいこと尽くしだ。」

「また困った事があったら俺が出来る限りは協力するからね。」

「おお~ありがとよ!彼女さんを幸せにしてあげな!」

「もちろんだ!」

鷹男と饅頭やさんは顔見知りらしく二人とも凄く楽しそうに話していたの。

あたしはまた驚いてしまう。

鷹男は東宮様だと言うのに身分がないものにまで気さくに話かける。

凄く驚いたと同時にあたしはすごいと思った。

「鷹男は偉いのね!」

「えっ!?」

「だって鷹男は自分の正体を隠してここでいろいろ情報収集をしていたのでしょう。

大勢の民のために、よりよい暮らしにするために

危険を冒してまでここに来ていたんですもの。

あんただったら最高の帝になることができるわ!」

「瑠璃姫・・・・・ありがとうございます。あなたにそういって貰えてすごく嬉しいです。」

「あんたに負けずにあたしも頑張らなくちゃ。」

「瑠璃姫・・・・・・あなたがそう言ってくれて誠に嬉しく思います。

私にはあなたしかいない。そう確信が強まりました。

私の元にはあなたしかいません。ですからここで誓います。

私が愛しているのはあなただけです。あなた以外触れるつもりはありません。

しかし今後の私の行動であなたを傷つけることになるかもしれません。

ですから私を信用してください。どんなことがあっても私を信じてください。

あなたなら賢い。どんな困難も乗り越えてくださると思っています。」

「ええ~任せて頂戴!あたしはあんたに相応しい女御になって見せる。

どんな困難も乗り越えて見せる。だから信用して頂戴ね。」

あたしはまだこの時甘かったの。

鷹男が言った台詞に自分は何があっても乗り越えて見せる。

そんな自信があたしにはあった。

だから鷹男の気持ちを信用する自信があったからどんな困難も乗り越えて見せる。そう思えた。

でもまさかその試練がこんなに苦しいものだなんてこのときのあたしは

全然思いもよらなかったの。

嫉妬をあたしは甘く見ていたのかも知れない・・・・・・

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