妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語27

「瑠璃姫、怖い顔をしてどうされたのですか?」

「鷹男!何よ吃驚するじゃないの。」

「こちらに伺うことは知らせてますが私が来てはいけませんでしたか?」

「そんなことないわ、それより鷹男、あたしの悪い噂を聞いてるわよね。

まさかその噂は信じてないわよね。」

「もちろんですよ。瑠璃姫の体には

私以外の殿方をあなたが受け付けることができないほどに植え付けてますからね。」

「ちょっと馬鹿!あんたは何を恥ずかしいことを言うのよ。」

「ふふふっこれは本心なんですがね。でも瑠璃姫への悪意ある噂は

さすがに私の耳にも届いていますよ。

私の寵愛している藤壺の女御が私以外の殿方と恋文を交わしていると・・・」

「そんなに噂が広まっているの?あたしが聞いたのはさっきよ。」

「この噂は広がってほしいがために瑠璃姫たちの耳に入らないよう

仕掛けられていたようなのです。」

「仕掛けた?ってやっぱり梅壺の女御様よね。」

「はい」

「でもさ~あたしは確かに鷹男あてに文を書いたわ。それは認めるけど

一緒に鷹男の文まで近衛府が持っているはず

だったらこんなうわさを広めても真実は違うじゃない。

なんの理由があるんだろう?」

「確かにおかしいのですよ、でも事実この噂が広まったおかげで

あなたがトラブルを起こす人物だと再認識されてしまいましたがね。」

「まあ~あたしがトラブルを起こす変わった女御なのは入内前から

知れ渡っているじゃないの?

知れ渡っている・・・・

まさか梅壺の女御様はただあたしの評判を

さらに貶めるだけにこんなことをしたの?

そうしたら内大臣家につこうか悩んでいる貴族たちも反内大臣家派につく?

鷹男、まさかすでに馬鹿な貴族たちは梅壺の女御様に接触しているんじゃ」

「ふふっさすがは瑠璃姫です。おそらく梅壺の女御は

自分の味方になりえる貴族を見つけようとしているのでしょう。

実際のところ、梅壺に寵愛があるわけでもなく

バックも他の二人の女御たちには叶いません。

ですから少しでも仲間を増やしたいのでしょう。」

「なんて女なの?野心が強すぎるわ。もし梅壺の女御様が

後宮の権力を持ったら大変なことが起きるわ。」

「そうです。ですから何か手を打たないとなりませんね。」

「鷹男、その手って何かあるの?」

「まあ~手というものはありませんがね。ですが梅壺には

忠告を与えないといけません。この件は私に任せてください。」

「うん、わかったわ。鷹男があたしを信じてくれるだけで嬉しいんだから・・・」

「もちろん私はあなただけを愛しているのですからね。」

 

 

 

今日は鷹男が開いた宴の宴席、もちろん鷹男の帝は几帳台に納まっているわ。

この場に訪れるだけで本当にやっかみが激しくてさすがのあたしも怖かった。

女の嫉妬は本当に恐ろしいものだと実感してしまったの。

あたしがここに来たときはすでに他の女御様達は席に座っていたのよね。

「まあ~噂の女御様が図々しく他の女御様方をお待たせするなんて

いい度胸ですわ。」

「それはそうでしょう。あんな噂が広まっても何も気にせず

主上に侍っているのはおかしいのではなくて?」

「ほほほ、そうでございますわよ。」

おお~こわっ

平気であたしに言ってくる女房達の視線は悪意に満ちていて

怖くはあったけどあたしは平然の風を装っていたの。

何もやましいことなんてしてないのですもの。

だからあたしは扇で口元を少し隠して突き刺さる視線を向ける女房達に

にっこりとほほ笑んであげたわ。

容姿は十人並みだけど、鷹男はあたしの笑顔は人を惹きつける何かがある、

そう言ってくれたことがあるから。

女としての自信が少しついた。

その笑顔を魅せた女房達はあたしの顔にぼ~としていた人がいたほどよ。

さすがは鷹男、鷹男の言葉で少し勇気が出たわ。

あとはこの宴が無事に終わることを願うだけだわね。

そう考えていた時、ついに梅壺の女御様があたしに話しかけてきたのよ。

「あらあら悪い噂で後宮を騒がしくして見える女御様が

よくここに顔を見せることができましたわね。」

くすくす笑っている女房達と梅壺の女御様の言葉に

納得して肯定しているもの、顔を顰めているもの、それぞれ感じ方は違うものの

この場所にあたしを支持するものはうちの女房以外居なかった。

でもあたしは梅壺の女御様に負けるわけにはいかない。

だからあたしは元気いっぱいに答えてあげたわ。

「梅壺の女御様にはご機嫌麗しく存じ上げますわ。

それにしてもこの後宮にいらぬ噂で騒がせているはた迷惑な女御様を

存じ上げていますか?一体なにがしたいのでしょうか?」

「あら、はた迷惑な女御様とはよく自分のことを棚に上げて言われますのね。」

「あらあら、あたしは一度も自分のことなどと申し上げていませんわ。」

「とぼけるおつもりですか?ある女御様がお主上以外の殿方と恋文を

交わして裏切っているという噂はご存じではありませんの?」

「いえ、あたしにはそんな噂は入ってきてませんわ。

だってあたしがお主上以外のかたを愛することなどけしてありませんもの。」

「まあ~しらじらしい。」

「おそれながら藤壺の女御様、われら丞香殿の女房達一同は

藤壺の女御様の筆跡で書かれた恋文を読ませていただきましたわ。

あれは間違いなく藤壺の女御様の筆跡。そして宛名は

鷹男という名前の殿方のものでございました。

せっかくこの場で藤壺の女御様がお見えなのなら

本当のことをおっしゃられた方がよろしいと思われますがどうなのでしょう。」

「そうですわ、その鷹男という男、身分は高いという噂。

まさかここにいるのではございませんか?」

「もうここでその殿方も交えて

主上の前で全部言ったほうがよろしいかと思いますわ。」

「そうでございますわ。藤壺の女御様、その殿方を呼ばれるといいのですわ。」

「あのう・・・」

「言わないとますます疑われる的ですわよ。」

色々な女房たちからの攻撃にあたしは圧倒されてしまった。

でもここで鷹男と呼んでいいものかも分からないじゃない。

本来なら鷹男という名前は今上帝には全く関係がない名前だし、もしあたしが

今上帝をそう呼んでいることがばれたらそれはそれで問題でもあるしね~

う~ん困ったなあ~

「早く藤壺の女御様、呼ばれてください。」

「あのでもそう簡単に返事をしてくださるかはわからないんだけど」

「それはそれ!いい加減はっきりさせたいのですわ。

その反応だとここに見える方なのですか?」

「ええそうだけど・・・」

もうそれだけでざわざわし始めたの。

そりゃあ~そうでしょう。女御が間男とこの場で接触しているのだから。

あたしは返事を期待してないけれど初めて大勢の前でこの名前を読んだの。

 

「鷹男」

「はい、なんです。瑠璃姫」

 

返事はあるけど誰が返事したのかはっきりしないみたいで皆が余計にざわつく。

「鷹男」

「はい、瑠璃姫」

返事をしたほうを皆が見た。

でもその先は一人だけ。

一度の返事では誰も信じなかったけど二度目の返事で分かった人たちも多く

それを理解できた女房達はきゃ~と悲鳴を出すほどこの後宮は騒がしくなったの。

それからは皆が大パニックに陥ってしまったの。

けれどその騒ぎを収めたのは鷹男だった。

「皆静まりなさい。

この後宮を騒がせたのは悪かったと思う。鷹男という名前は

私と藤壺の女御の前だけの呼び名なのです。ですが鷹男という名前は

藤壺との特別な呼び名。他の者たちにはこの名は知られたくなかったが

知られたのなら仕方がない。他の女御には違う名前で呼び合いましょうか?

もうそろそろこの茶番は終わってほしいものです。」

し~んと静まっていく。

そして鷹男からの言葉が響き渡る。

「一体どうしてこのような騒ぎとなったのか。

確かに藤壺の女御の文は内容が内容だけに大事にできないのは分かる。

しかし藤壺の女御の文だけでなく私の書いた文も一緒に拾われていたはず。

それだけで誰が相手か調べればわかるものを。

それがどうして藤壺に不義の相手がいるということになるのか理由が知りたい。

その上、藤壺の書いた文がいろいろな者たちに見られるようになったのも分からぬ。

私たちの恋文を皆に見せびらかしたなどとは私はあまりいい気分ではないな。

そうであろう、梅壺の女御。」

「その、その文を見た私は藤壺の女御様がお主上以外の殿方と恋文を交わす仲だと

本気でそう思ったのでございます。」

「しかし、そなたは拾ったものが文を読んでいるところに見合わせたと聞く。

そこで二つの文の筆跡を見たであろう。」

「それはそうですが、男性の筆跡は帝の筆跡を真似て書かれた文かもしれませんわ。」

「あなたは私の筆跡さえわからぬ方ですか?」

顔色が真っ青になった梅壺の女御様は声を高らかに上げた。

「まさかそのようなことはございませんわ。

それに藤壺の女御様がいけないのでございましょう。

そのような紛らわしい文を書き、あまつさえなくすだなんて

私は全く悪くありませんわ。」

「それでは梅壺、そなたは藤壺の女御が不義の相手と文を交わしているという噂は

誤った情報だと認めるのでしょうか」

「それは・・・」

「あなたは藤壺だけでなく私の名誉も傷つけた。覚悟はできているのでしょうね。」

「それはもうしわけございません。まさか本当にお主上の文だとは

信じられなかったのでございますわ。

私はお主上だけを想っているのに思わず藤壺の女御様に嫉妬心を覚えてしまって」

「梅壺、あなたの行った行為はもっと慎重にしなければいけないことでした。

初めから藤壺の書き損じの文を藤壺に渡せば真相も分かったはず

このおかげでどれだけの人間が傷ついたと思うのです。

しかし文を落とした藤壺も全く悪くないわけではありません。

ですからしばらく私はあなたと藤壺のもとに伺いません

私の心を取り戻すことができるのはあなたしだいです。

他の者たちも私たちのことで迷惑をかけた。

藤壺の不義の相手は私だから噂はなかったことにしなさい。

もうこの話題を出すのは許しません。分かりましたね。」

 

 

 

こうして喧嘩は両成敗の形をとった鷹男のおかげで後宮は静けさを取り戻した。

それから他の女房達との関係も良好な関係になっていった。

鷹男と会えなくなるのはいやよ。

でもこれが帝なんですもの。

鷹男と会えないときは毎日文を頂いたし気に病むこともない。

あたしと鷹男の絆はそう簡単に崩れることはないのだから。

でも鷹男ったらちゃっかりしてるわ。

あの後の文の内容に鷹男の思惑が綴られていたの。

なんと梅壺の女御様に加担している貴族を見極めるため

梅壺の女御様を泳がせていただなんてね。

でも大勢の前で恥をかかさなくてもいいのにと疑問に思ったけれど

鷹男て以外に意地悪なのね。

これで梅壺の女御様に加担する人は減るだろうし

梅壺の女御様は帝に嫌われたと印象に残った。

この件は静かに幕を閉じたのよ。

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