妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~狂おしい愛憎の終結1


あたしは苦しくて苦しくて救いの手を探し握り締めてしまった。

この時、後のことなど全然気にしていなかった。

今の苦しみを取り去って欲しかったから。

でももしあの時あの手を握り締めなかったら

あんなことにならなかったかもしれない。

沢山の人たちの人生を狂わさなくても良かったかもしれない。

それでもあの時はこうすることしか出来なかった。

自分のことで精一杯だった。

あたしは愛する人を信じることが出来なかったの。

愛する人と決別してもいいくらい

あたしは狂っていたのかもしれない・・・・・






















愛する人と尊敬する人との間で揺れ動いていた僕は

忠誠心ではなく愛情を選んだ。

ずっとずっと好きだった人の苦しんでいる姿なんて見たくない。

だったら僕が東宮様から愛する人を奪う。

その気持ちが芽生えた途端

今までの臆病な自分が消えていき、狂った僕の本性が現れる。

瑠璃さん・・・・・

瑠璃さんさえ僕の元で一生を共に過ごしてくれるのだったら

周りなんてどうなってもいいんだ。

ずっと真面目だった僕。

仕事を優先し、右大臣家の人間として

今まで動いていた僕だったが今は違う。

どんな犠牲を伴っても僕の思うままに生きる。

それが破滅の道となろうが犠牲を払おうがどうでもいいんだ。

瑠璃さんさえ手に入れればどうなっても僕は構わない。

何があろうが僕は負けないよ。

瑠璃さん・・・・僕は瑠璃さんだけを見ているからね・・・
























着々と準備が進んでいく中私の心は複雑でもあった。

もし愛する人が重ならなかったら

私の一の部下として信頼の置ける人物となりえただろう高彬。

その彼をここまで追い詰めてしまったのは他でもない私だ。

高彬が愛し続けていた姫君を、私も愛し彼から奪う形となった。

もしこのまま私が瑠璃姫を苦しめなかったら

こうなってはいないはずだった。

しかし私はもう既に狂っていたのだ。

どんな犠牲を払おうとも

私は瑠璃姫だけを愛し愛されたかったのだから。

瑠璃姫を苦しめようとも、

そして高彬を苦しめようとも、あれを実行したかったのだから。

実行できたとしてもそれは皆が幸せになるわけではない。

ただの私の我儘。

それが失敗になっても私は後悔はしない。

一生を賭けて瑠璃姫だけを愛する計画を立てた。

どうなろうとももう始まってしまった。

終わりはどちらか軍配が上がったときだけ。

さてどうなっていくのだろう~























         好きなのに~狂おしい愛憎の終結












高彬の手を取ってから数日が経った。

高彬はこの苦しみから救う準備があるため、忙しく動き回っていた。

あたしは下手に動くと高彬の邪魔になってしまうため

じっとすることしかできなかった。

本来ただ黙って待つだけは、あたしの性格上合わないことだった。

でもあたしは動こうとはしなかった。

もう心が疲れていたから。

だから高彬のいうとおり連絡があるまで

麗景殿から出ることもなく過ごすことにしていたの。

あれから高彬からの連絡もなくあたしは暇だった。

あたしを救ってくれる。

そう動いてくれる高彬の気持ちがありがたかった。

今まで自分のことで精一杯だったあたしは

やっと周りを見ることが出来たの。

苦しい気持ちばかりだったあたしに余裕の気持ちが表れていた。

だからなのか、周りの声がよく聞こえるようになっていたの。

麗景殿の一室にある部屋から少し騒がしい声が聞こえてくる。

気持ちに余裕があるためか

いつもなら気にしないのに気になって仕方がなかった。

その騒ぎにあたしはそろ~りと近づいていく。

そして見かけたのは内の女房二人となんと楓さんだった。

同じ麗景殿にいたのに

最近は全然楓さんの姿をあたしは見ていなかった。

周りを見ていなかったこともあるけど

女房達があたしと楓さんを

近づけないようにしてくれていたのだろう。

耳を傾けると内の女房が

無理難題を楓さんに言いつけているのが聞こえてきた。

「楓さん、頼んでいたものはできたかしら?」

「ええ~この通りできておりますわ。」

「そう~?」

楓さんは衣を女房に渡していた。

その時ビリビリ!?

何と女房がその衣を破り捨てたのだ。

なっ!?!?!?

そしてその衣を楓さんに向けて投げつけた。

「あら~もう一度やり直しね。

あなたは衣を縫うこともままならない役立たずね」

その台詞を聞いたあたしは思わずその場の前に出て行ったの。

「ちょっと!あんたたち何をやってるのよ!」

無意識だった。

明らかにいじめをしている場面を見てか~となってしまった。

その相手が誰であろうと我慢できなかったの。

急に現れたあたしの出現に、皆が驚愕の表情を浮かべていたの。

「しばらく見ていたけど明らかにそれは嫌がらせでしょう!

どうしてそんなひどいことをするの!」

あたしは女房達を怒鳴りつけた。

あたしの出現にやっと気が付いた女房達は

不満そうな表情で訴えてきたの。

「しかし女御様!この女のせいで

女御様がどれだけ苦しめられているか私たちは知っておりますわ!

ですから少し困らせたくなってしまい

このようにしてしまったのです。」

「でもこんなことをされてあたしは嬉しくないわ。

普通に接してあげなさい。」

「でも!」

「いいわね!

あたしがこう言ういじめが大嫌いなのを知っているでしょう」

「・・・・・・・・」

「お願いだから、お願いだからこういうことは止めて頂戴。」

あたしは女のいじめは大嫌いなの。

いくら自分が苦しくても、自分のためにしてくれていようとも

絶対に嫌だった。

女房達があたしのためにしてくれていることだとしても

絶対にやめて欲しかったの。

しばらくして女房達は「分かりました」

そう言って部屋を退出していった。

そのためあたしは楓さんと初めて二人きりになった。

今までそんな機会なんて全然なかったのに、二人で顔を見合わせる。

あたしは急に緊張してきてしまったの。

何を話せばいいのかわからない。

でもあたしは先ほどの女房達の態度の非礼を詫びないといけない。

そう思い思い切って私から話しかけたの。

「・・・楓さんさっきの女房達の態度が悪いのは申し訳なかったわ。

今度からこうならないように皆に話すからだから許して欲しいの。」

あたしの言葉を聞いた楓さんは

しばらくあたしの方を見て何も答えてくれなかった。

ただじっとあたしのほうを見つめて何もいわずにいたの。

楓さんの意図が読めず

あたしもしばらく黙って見つめることしか出来なかったのよ。

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