妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~渦巻く嫉妬の嵐11


毎夜毎夜鷹男は麗景殿にやってきて泊まって行く。

本来鷹男を独占しているのは麗景殿の主であるあたしのはずが

実は別の人の元で夜を過ごされている事実をもう今では知らない者がいないくらい

後宮内に知れ渡ってしまっていた。

女御の元に寵のある女性を客人として預かるように命令した帝も東宮

前例がないほど異例のことだった。

なのにその上その主を素通りして他の女性の元に通う鷹男の神経を疑いたくなる。

小萩も内の女房達もさすがのこの仕打ちに鷹男への批判が強まってきてしまっていたの。

後宮内では鷹男とそして楓さんの評判はドンドン下がっていき変わりに

あたしへの同情が大半を締めていたの。

今まであたしに嫌味を言ったり嫌がらせをしてきた女御様方、そして過去鷹男の寵を抱いていた女性達も

いつの間にやらあたしの味方になる方達も増えていったわ。

でもあたしはまだ何もいえずにいたの。

鷹男の行動があたしへ何かを伝えようとしているかのように思えたから。

でも・・・・・・・でもあたしは自分が愛する人が他の女性を所望する姿を見ているほど

大人じゃないわ!

皆はあたしに気を遣ってくれる。その雰囲気だけでどれだけあたしが苦しんでいると思うの!

苦しい・・・・苦しすぎて何も考えられない位なのよ!

あたしだって嫉妬するわよ!鷹男の傍にいる女性はあたし以外にもいっぱいいてそれも国が

認めてしまっている。

あたしの理想の通り自分だけを愛してくれる人なんてこの後宮内では皆無に等しいわ。

でも・・・それでもあたしは信じていたの。

あたしを一度傷つけた鷹男は信じて欲しいと今度こそは信じて欲しいと

愛しているとそう囁いてくれたんだから。

だけどこの状態で鷹男をどうすれば信じることが出来るっていうのよ!

あたしは毎日のように傷つき苦しみ、でも人前でその姿を見せることが出来ず

あたしは今しか弱った姿をさらけ出せないでいたの。

そう、この寝静まった暗闇の中誰にも知られず涙を流すことしか自分を保つことが

出来ないでいたのだから。

あたしは鷹男が楓さんの元にいる間、麗景殿から離れ階に降りて色々考えることが

毎夜の日課になってしまっていたの。

自分が住まう麗景殿で鷹男が他の女性と愛を交わすところを声が聞こえなくたって

いられるわけがないじゃない。

そんなの無理でしょう~

だからあたしは鷹男が梨壺に戻るまでずっと部屋を抜け出していたのよ。

今は夜も遅いし警備のものがここまで来るのは時々しかないため一人になるには

都合がいい場所だったの。

 

 

 

しばらくあたしは葛藤をし続けていたの。

今日は満月。

いつもより周りが明るく庭を少しは見渡せるくらい明るかった。

その景色に少し目を取られていたためか近くに人が近づいていたことに全然気が付かなかったの。

気が付いたのは鋭い声だった。

「そこにいるのは何者!正体をすぐに現しなさい!」

やばい、いつもだったらたいまつで人の気配がすぐに分かるのにあいにく今日は満月。

不覚を取ってしまっていたわ。

「ごめんなさい!あたしは怪しい者じゃないのよ。」

あたしが声を出した途端相手が驚いたように後ろに後ずさった。

「まさか・・・瑠璃さん!?」

「え!?高彬?」

最近では殆ど連絡が付かなかった高彬との再会だったの。

でもあたしは高彬とここで出会いたくなかった。

あたしは高彬の求婚を振って鷹男の女御になったのよ。

傷ついた表情をしたら高彬に悪い。それに高彬にこの姿は見せられないわ。

あたしは元気が良いような声で高彬に話したの。

「凄く久しぶり・・・元気にしてた?」

「瑠璃さんこそこんな所にいるなんて危険だよ。すぐに部屋に戻った方がいい」

「うん、ありがとう」

あたしはこのまま部屋に戻ろうと思い高彬に背を向けた。

その時

「瑠璃さん、東宮様のこと・・・」

高彬が何を言おうとしているのか分かっていた。

でも高彬にはあたしは幸せに暮らしているということを知っていてほしかったから。

だから普段どおりの声でこういった。

「あたしと東宮様のことで後宮内を騒がしているかも知れないけど唯の噂だから。

だから何でもないから心配しないで」

あたしは高彬を騙せたかどうかは分からない。

それでもこの顔を見せることが出来なかった。

この後ろで高彬がどう思っているのか何も考えることが出来なくなっていたのよ。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村