妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて7


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それは・・・・・・
「融!一体外で何をしているのです。」
「あっ!?父さま?」
「父さまではありません。庭園に出て周りのものが見たら普請がるにちがいありませんぞ。」

「でも~」
そう融が父様に一生懸命に説明していたときようやくあたしに気がついたのよ。
「瑠璃!!!!!そなたが何故後宮の外に出ているのです。まさか抜け出したのではないですか!!」
父様は顔を真っ赤にして怒鳴りだしたの。
「あたしは・・・・」
自分でここに来たわけじゃない。ここへは鷹男があたしの気持ちを分かってくれて連れてきてくれただけ。でも父様の姿を見るとなぜか反論が出来ない。
どうしたら・・・・・
その時!
「私が瑠璃姫をここまで連れてきたのだ。」
東宮様!!!!どうしてあなたがここに?」
「瑠璃姫は吉野から一歩も出たことがないとそう教えてくれました。それは瑠璃姫のご実家であるこの三条邸にも来た事がないということ。まして会ったことがないとはいえ弟君である融殿がお見えになる。だったら私の大切な瑠璃姫にぜひ会わせてあげたい。その一身で内密にここまでやってきたのです。」
「なっ!あなたは東宮さまなのですぞ!もし御身に何かがあったらどう責任を果たされるおつもりか?」
「吉野に比べれば三条邸なんて近いではないか」
「それとこれとは違いますぞ!御所では警護は万全ですが一歩外に出ればいろいろな犯罪者が闇に隠れているのです。もし東宮様が御所を内密に出歩いていると皆に知られたらなんとするのです。」
ふ~鷹男は一瞬呆れた表情をしたけど父様に言い聞かせるように話し出した。
「あなたは瑠璃姫のことを思ったことはありますか?ずっと吉野に追いやられていたのに、急に京に連れてこられたと思えば、会ったこともない私との結婚のために後宮に押し込められる。瑠璃姫は一度も実家であるこの場所には来た事もないのですよ。可愛そうだとは思いませんか?」
「確かに瑠璃は実家に来たことはありません。しかしここよりも後宮のような華やかで安全で瑠璃にとっては一番いい暮らしをさせてやっているのです。瑠璃には返って実家になど来させない方が良いのです。このこは少しおてんばなところがあります。実家という逃げ道を作ってしまえばすぐにここに逃げてしまうではありませんか」
内大臣はそれが瑠璃姫のためだとおっしゃられるのか」
「もちろんです。私はこの子の幸せのために一番の良縁を結ばせた。もちろんあなたも瑠璃と婚約できたのですから何も文句はないでしょう。」
何なの?やっぱり父様はあたしのことをなんとも思ってないのね。
最初はあたしのほうを見ていたけれどもう意識は鷹男ばかり。あたしの存在って父様にとって何なんだろう。
「鷹男・・・・行きましょう」
「ですが瑠璃姫いいのですか?」
「うん」
あたしは父様を無視して鷹男と共に三条邸を去ったの。
御車の中であたし達は何も話さなかった。
あたしは何も考えずただ忘ぼお~としていた。これ以上何も考えたくなかったから。
父様があたしのことをどう思っているのか幼いころからわかっていたのですもの。だから何も考えたくないの。なのにどうしてだろう~
目から何かがあふれ出してくるのよ。ぽろぽろと大粒の何かが。
その姿に気がついた鷹男はあたしについた何かを何も言わずに拭ってくれるの。
「これは独り言・・・・・・・あたしって一体何のために生まれてきたのかしら。
あたしって生まれた意味があるの?父様のただの政治の道具でしかないんじゃないのかしら。だったらあたしに最初から心をくれなくても良かったのに。こんな生活疑問に思わない心のない姫だったら良かったんじゃない!それだったらあたしは生まれても傷つかなかったのに!」
ずっとずっと思っていたわ。
父様はあたしに会いにくることもなく吉野に閉じ込めたまま。
どれだけ待っても迎えは来ない。
そんな寂しい子供時代。
それなのに父様は全く感じていなかった。
あたしが寂しいんだという気持ちでさえ気がついてはくれなかった。子供は親の道具じゃないのよ!
あたしは一生懸命にこの気持ちを押し殺そうとする。
けれどどれだけ押し殺そうとしても肩の震えが止まらないのよ。
その時ふわ~
私は鷹男に抱きすくめられていた。
「そんな寂しいこといわないでください!あなたが生まれてきたおかげでどれだけ私の心が温かくなったか。あなたをずっと求めて早くあなたに会いたかったのですよ!私はあなたが早く大きくなるのをずっとずっと願っていたのです。それなのに全否定なさらないでください。私が・・・・私があなたを求めているのですから。」
「鷹男・・・・・」
「私もあなたも親にどうして縛られてしまうのでしょうか・・・・」
「えっ!」
最後の言葉は小さくて聞き取れなかった。
けれど父様に受けいられなくてもあたしには鷹男が傍についてくれている。
あたしはもう鷹男を全身全霊で恋してしまった。
あたしにはもう鷹男しかいないの。
鷹男を信頼しているわ。
あたしは鷹男を一生幸せにして見せる。
そうこのときあたしは心の中で誓っていたのよ・・・・・・・・

 

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