妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて6


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あれから変わらず鷹男は毎日ご機嫌伺いにやってくる。そして沢山の贈り物と共に。美味しいお菓子のときや珍しい唐から伝わった物語や楽器などさまざまなものを届けてくれる。
慣れない後宮での生活だったけど鷹男の心遣いのおかげであたしはあんなに嫌だった後宮での生活が苦にならなくなっていたのよ。
そんなある日のこと。
いつものように鷹男は梨壷にやってきた。
でもあたしに手を差し伸べた後行き先も告げずにスタスタと歩き出してしまったの。
一体どういうことなのか分からずに聞いてみると内緒だといいそれ以上多くは語ってくれなかった。
だけど鷹男の温かい手に差し伸べられたのだもの。
悪いようにはしないのだろう。そう思い鷹男に身を預けたの。
ところがどんどん進んでいくのだけど最初は廊下を歩いていたのに、庭先を出たと思ったら通路とはいえな
いところまで歩く羽目になって一体どういうことなのかさっぱり分からなかったの。
そして気がついたときには
えっ!?
そうあたしたちはいつの間にか高い高い塀の外に出てしまっていたのよ。
そこには質素な御車が一台あったの。
それにあたしは誘導されあたしたちを乗せて御車は進んでいった。
「鷹男!これは一体どういうことなの?あたし達はまさか後宮の外に出てしまったんじゃないの?」
「はいそうですよ瑠璃姫」
「はいそうですよじゃないわよ~なんで冷静なのよ~」
「先ほどの道順ですが瑠璃姫は忘れてくださいね。あの道は私が時々後宮を抜け出すための、秘密の抜け穴ですからね。」
「なっ!?」
「あの抜け道を暴露されたらまた自分で抜け道を勘考しなくてはいけませんから。」
そう内緒がばれてしまったような楽しそうな表情であたしに向かって堂々と吐いたの。
「もう~~~~~~~~~鷹男!あたしたちが後宮を抜け出すってどれだけ大変なのか分かってる?
女御になる姫が外に出るなんてかなわないのよ。それを~東宮のあんたがあたしを連れ出すってどういうことなのよ~~~」
「瑠璃姫こそ何を興奮なさっているのですか?あんなに吉野に帰ると後宮を抜け出す気満々だったくに。」
「それとこれとは違うでしょう~~~~」
あたしだって一応常識はあるのよ。あたしだけ抜け出すならまだしも鷹男があたしを連れ出すって
もしそれが見つかったらどんなお咎めがあるか分からないじゃない~~~
あたしならどうなってもかまわないわ。

鷹男の名誉があたしのために傷つくのはどうしても我慢できないのよ!
どうしてそれを分ってはくれないのよ~~~~
あたしがいろいろ鷹男に言っている間御車は急に止まり鷹男もそれと同時にあたしを連れて
外へと導いてしまうのよ。
あたしはもっと文句を言おうと思ったら鷹男は口に指を当てて静かにするようにとあたしに指示を出す。
もっと言いたいのにそう指示されたらその通りにするしかないでしょう~~~
好きになったらその人の言うことを守りたくなるじゃない。乙女心とは複雑なのよ。
そうしてあたしは今度はどんな場所に連れ出されるのかドキドキしていたのだけど・・・・・・
ここはどこなの~~~~~~~~?
広い広い立派な御邸。そして美しい庭園。
まさかここは後宮?????
そう思えるほど立派な作りをしていたのよ。
「ここは後宮なの?」
「ふふ・・・・ここはあなたがずっと来たくて仕方がなかったところですよ。」
それって・・・・・・・
その時何かが弾む音がしたの。
その音の先を見てみると元服前の男の子が一人蹴鞠をして遊んでいるところだったのよ。
しばらく見ていたのだけれどどう見ても上手いとはいえない。
あたしはやったことがないから難しいのかわからないけれどあたしならもっと上手く出来ると思うわ。
そんな時鞠があたしの前に飛んできてしまった。
「えい!」
あたしは思わずその男の子の前へと姿を現してしまったの。
急なあたしの出現に男の子は豆鉄砲が飛び出るほど驚いた表情をしたの。
そしてしばらく固まってしまったけどしばらくして自分を取り戻したのかあたしに話しかけてきたのよ。
「おねえ~ちゃんは誰?」
おっとりした感じの男の子の声。年齢にしては少し幼い感じがしたの。
あたしはさすがに自分の本名を明かすことが出来ずついついきつい口調で話したの。
「人の名前を聞くなら先に自分の名前を言いなさいよ~」
「ごめんなさいおねえ~ちゃん。僕の名前は融」
融ですって?融といったら
「まさかあんたは内大臣家の」
「うん!僕がそこの一人息子だよ~」
そう!あんたがあたしの弟の融なのね!
あたしよりも1歳年下の弟とは一度も会ったことがなかったの。
京に来れば融とも出会えるチャンスが増える。
そう思っていた矢先まさかここが内大臣邸だなんて思うわけないじゃない~~~~
あたしはたぶん無意識だったと思う。
幼いころから今まで京に来たことがない。
だから父様たちが住むこの三条の邸には一度もいったことがなかった。
だから小萩に三条邸の方向だけ聞いていたから無意識に眺めていたんだわ。
だから鷹男はあたしをここに連れてきてくれたんだと思う。。。
「融、あたしの名前は瑠璃。あんたの姉よ」
「えっ!?姉さま????でも姉さまは梨壷の女御様になったって父様が言っていたよ。」
「そうなんだけどあんたに会いにきちゃった。」
「え~~~~~でも姉さまに会えて嬉しい。」
「あら、あたしもよ!でもそれにしてもあんたは蹴鞠下手ね~~~~」
「う~~~~~~そうなんだよ。だから上手くなれるようにと一人で一生懸命に練習をしているんじゃな
いかあ~」
「ふ~ん、だったらあたしもその練習を手伝ってあげるわ。一人でやるよりも二人でやったほうが上達は早いと思うから。」
「ほんと?姉さま~」
「ええ~」
あたしと融は二人でひとつの鞠に向かって練習を開始する。
鷹男はあたし達姉弟水入らずを体験してくれるためか一人離れた場所であたし達を観察していたの。
初めて出会った弟だけど素直でおっとりしたとてもいい子だった。
融との蹴鞠はとても楽しかった。
ところがこの練習を妨げるものが現れたの。

 

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