妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて~鷹男視点4終~

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画像は下記サイト様から。
https://www.beiz.jp/

 

 

私はしばらく瑠璃姫を眺める。

楽しかった思い出だけが走馬灯のように脳裏を駆け巡っていく。

瑠璃姫を憎み瑠璃姫を滅ぼそうと思いながらも

私はずっと惹かれ続けていたのだ。

初めて会ったあの吉野の里から。

あの吉野の桜の木の下で会い、私は瑠璃姫に恋をしたのだ。

それを信じることが出来ず、ずっと心の奥底に隠ししまっていたのだ。

そうでもしないと復讐なんてできなかったから。

復讐をやめることもできたのに、私は母上の憎しみ心から逃れられなかった。

私の弱さが瑠璃姫を奪ってしまったのだ。

今さら自分の本当の気持ちに気が付いてももう遅い。

私はただの大馬鹿者だった。

愛する人を自分自身の行いのせいで失ってしまったのだから。

私が死ねば彼女が生き返るのだろうか?

そんなことをしても意味がない。

分かっていてもそんな愚かな考えを思ってしまうのだ。

私は瑠璃姫を覗き込む。

涙が一つ・・・二つ・・・・三つ・・・・・・

ポト・・・ポト・・・・ポト・・・・・

私はどうあがいても瑠璃姫を生き返らせることなんてできないのに

惨めにもあがくしかなかった。

「瑠璃姫・・・・私はとんでもない間違いをしてしまいました。

私はあなたに対する気持ちを隠してました。

そう、考えないようにしていました。

でも私はあなたを・・・・あなたをずっと愛していたのです。

あなたをずっと憎しみながら・・

そしてその裏側ではあなたをずっと愛していた。

それにずっと気がつかなかった私は馬鹿です。

瑠璃姫・・・・あなたを愛しています。」

そう心から願いながら彼女の唇に口付けを施した。

私と彼女の接吻は初めてではない。

その時の私は本心でしていたわけではない。

彼女に近づくためのまやかしだった。

だが今は違う。

自分の気持ちを受け入れ、彼女を本心で愛し

最後の別れのために口づけをしたのだ。

これで私は罪を受け入れ、本当のことを今上に話そうと思う。

私は東宮位を剥奪され命を失うかもしれない。

それでも自分が行った罪は受けなくてはならないのだから。

私は覚悟を決めた!

その時急に瑠璃姫に変化が起こった。

ぴくっ

瑠璃姫が動いた!?

そして彼女はこう言ったのだ!

「鷹男・・・・・ただいま!!!!!!」

なっ!瑠璃姫は死んだはずでは????

なのにどうして彼女が甦り、私に優しく声をかけてくれるのだ!?

彼女は私を怨んでいるはずなのに!

だったら目の前にいるのは一体誰なのだ?

「瑠璃姫!?どうして・・・あなたは死んだはずでは?」

「鷹男・・・・それよりもあんたに直接聞きたい!

先ほどの気持ちは嘘?それとも真実?」

「もちろんあなたを愛していますよ!

あなただけを・・・・もうあなた以外愛さないとそう思った。

もうあなたに嘘は言いません!

私はあなたを・・・瑠璃姫を愛しているのです!」

そう私は瑠璃姫を愛していたのだ!

彼女に真実を言うことなく彼女は命を絶った。

ずっと言えなかった本物の告白。

私を好きにさせるために優しくしていたわけじゃない。

最初から私はあなたを愛していたのだ。

愛していたのにその気持ちに気がつかない不利をしていたのだ。

気が付いたらもうあなたを狙えないから!

なのに・・・・・どうして・・・・・どうしてあなたは私に優しいいのだ。

私はあなたに酷いことをしたのに・・・・・・・・

瑠璃姫は私を抱きしめ私を許してくださったのだ。

こんな私を・・・・愚かな私を・・・・

だが私は自分自身を許せないでいた。

だがまずは自分の気持ちに決着をつけなくてはいけない。

母上の呪縛からは自分自身で断ち切らないとならないから。

私は瑠璃姫のためにも・・・そして自分自身のためにも母上と決着をつける。

私は全てを瑠璃姫に告白をした。

そして瑠璃姫は私を支えてくれるとおっしゃった。

彼女のおかげで私も母上に立ち向かう勇気を持った。

もう少しで瑠璃姫に自分自身の全てを預けることが出来ます。

もうしばらく待っていてください。

それまで瑠璃姫とずっと一緒にいたい・・・・・



 

 

 

私はあれから一週間後瑠璃姫の元を尋ねていった。

そして「私に着いてきてください。」

そう告げた。

瑠璃姫は説明をしなくても後ろからついてきてくれたのだ。

私は母上とはもう何年も会っていなかった。

麗景殿から部屋を出たときからずっと会えずにいた。

最後に会ったときも母上に瑠璃姫の復讐を頼まれていたから。

毎回会うたびに瑠璃姫のことで念を押されれば私も気がおかしくなってしまう。

だから部屋を変えたのと同時に行くのを止めてしまったのだ。

麗景殿と違って後宮の奥に追いやられた母を

哀れだと思いながらも、自分を支配しようとする母に恐れを感じ

会う事が怖くなってしまったのだ。

だが母上の願いはずっと忘れることが出来ず

ずっと夢の中でもうなされていた。

そんな母に会うのは久しぶりすぎて怖くて仕方がない。

母上は私に会ってどう思うのだろうか?

怖い・・・・私は緊張をしていたのだ。

その時後ろにいた瑠璃姫が私の手を握ったのだ。

瑠璃姫の温かい優しさが私の中に入ってくるような気がした。

そして勇気が湧いた。

過去を恐れては前進することなんて出来ない!

私は立ち止まり瑠璃姫のほうを見る。

私は大丈夫。

そんな思いで瑠璃姫の手を握り締め優しく笑顔を見せる。

瑠璃姫の優しさはとても嬉しかった。

瑠璃姫に出会えてよかった。

そして私はそのまま瑠璃姫を連れ部屋へと入っていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 


久しぶりに会う母上は数年前と容姿は変わっていなかった。

若干痩せた感じはするが病的な感じはしない。

私はまずは挨拶からはじめたのだ。

「お久しぶりです。随分こちらに来ることができず申し訳ありません。」

「・・・・・?」

だが母上は不思議そうな表情を見せる。

いつもと反応が違っていたのだ。

嫌な予感がしたが私が思ったのとはまたく違った反応だった。

「申し訳ありませんがあなたは一体どなた?」

「「!?!?!?」」

驚愕だった。

そんな馬鹿な・・・・

冗談を言っているのでは?

私は疑いの目で母上を見た。

「母上・・・・」

「?????私はあなたの母上ではありませんよ。

確かに私には息子が一人おります。

でもまだ5歳の幼い子供ですよ。」

「なっ!」

何をおっしゃっているのだ!!!!

私は5歳の子供などではない!!!!

母上は何を考えて私を騙そうとしているのだ!

それなのに母上の表情を見ても何も知らない、

戸惑っている表情しか見ることが出来なかったのだ。

そしてすぐ傍に控える母上の忠臣女房の絵式部は

母上の言葉をそのまま肯定したのだ。

それは母上が本当に私をまだ5歳の子供だと思っていることを

裏づけている証拠だった。

絵式部は冗談を言うような女房ではなかった。

母上の言うことを鵜呑みにするだけじゃなく

たしなめる強さを持つことが出来る女房だった。

冗談だったら冗談を返すような賢い女房。

そんな彼女がそのまま受け止めるということは

母上はそこまで精神を壊してしまったのだろう。

私はショックを隠しきれなかった。

どうして・・・・どうしてここまで・・・・・・

その時だった。

「あら~あなたたちは恋人同士なのですか?

それとも結婚なさっているのかしら?二人とも手を繋いで

仲がよろしいのね。」

私は一瞬ヒヤッとしたのだ。

母上の敵の娘である瑠璃姫が部屋にいるから。

その上私たちは手を繋いでいるのだ。

何かしら反応があるのではないかと。

だが母上はニコニコしながら特に何も反応を見せなかった。

私はどう話せばいいのか困ってしまった。

だが瑠璃姫が答えてくれたのだ。

「はい!私たちは愛し合い、もうすぐ結婚しようと思っているのです。」

「ま~そうだったのですか?お目でたいことです。」

「女御様!私はこの方を一生愛し続けます。そして幸せにして見せます。

私はあなたに会いに来たのです。私達を許してくださいますか?」

瑠璃姫にそこまで言われるだなんてなんて私は幸せ者なんだろうか?

嬉しさを感じながら母上の反応がとても気になった。

一瞬の沈黙がおきた。

そして母上の視線もうつろになった。

でも元に戻り母上はにっこり頷いてくださったのだ。

母上の真意は分からない。

だがニッコリ頷いてくれただけで私の中の鎖がちぎれた気がしたのだ。

ずっと苦しみ悩み続けていたものが少し消えたような気がした。

母上が私を5歳児だと思うのは、

多分あの頃が一番母上にとっても私にとっても

幸せだった時期だったからだろう。

あの頃は母上から瑠璃姫を大切にしなさいと教えられていた時期でもあった。

瑠璃姫を好きでいても母上の顔が歪むことがなかったときだったから・・・

母上は狂うことで自我を守っている。

だったらこれが一番母上にとっては幸せなことなののだろう。

瑠璃姫の言うとおり私はこれからは瑠璃姫と一緒に母上に会おうと思う。

過去に縛られるんじゃなく未来を見つめなければ。

そして私は誓う。

これからは一生を瑠璃姫に捧げることを!

瑠璃姫と共に生き、共に感情を交わし、瑠璃姫を一生守る!

瑠璃姫に害をなす者はそれ相応の対応をさせてもらう。

もし母上が元に戻り、瑠璃姫に害をなすのだったら許さない。

そして決めたことがあった。

私はもう瑠璃姫位外は女御を迎えないことを。

これで私は失脚をしようとも後悔はしない。

私は全力で瑠璃姫を愛すと誓う。

これから何があるかわからない。

自分が滅んでも私はあなたを一生愛する。

母上が傷ついても・・・それが私の生き方。

これからは瑠璃姫を幸せにして見せます。

瑠璃姫・・・・これからも私の傍にいてくださいね・・・

あなたを幸せにしますから・・・・・・・・・完

 

 

 

 

 

 

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