妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

秘恋2


写真素材 pro.foto

 

 

鷹男の背中姿が見えた。

哀愁が漂う姿。

あたしたちにはそんな姿など、見せたこともないのに。
いつものあんたなら飄々として立派だった。

あんた一人のときは、誰も居ないところで何を考えているの?
そんな弱った姿で何を思うの?
鷹男が佇むこの部屋は、今は誰も住んでいない、桐壺の女御様と前東宮様がお住みになっていた場所。
まさか、まだ鷹男があの事件のことを忘れていなかっただなんて知らなかった。
今では新しい東宮様も誕生し、鷹男の御世はこれで決まったかのような賑わいだもの。
だから鷹男ももう立ち直ったんだと思った。

そんな寂しい背中を見せないでよ。
あたしはあまりにも寂しい背中をもつ鷹男を、後ろから抱き寄せるようにして囁いたの。

「鷹男、あなたにはあたしもついているんだからね」

鷹男の背中は一瞬ピクンと動いたけど、抱きついたのがあたしだと気づいてすぐに力を抜いたの。

そして独り言のように話し始めたのよ。

「私は今東宮が生まれて正直ほっとしました。

これで跡を継ぐものをこの世に残すことができたのですから。

しかし思うのです。生前の前東宮と桐壺の女御を思うと、私はなんて父親だったのだろうと。
生前のときからあの二人に接することも少なかったのに、それなのに、今東宮を幸せにすることができるのだろうか。

私に親の資格があるのだろうかと。そう思うだけで、不安で仕方がないのです。
東宮は前東宮と違って後見もしっかりしている。だから私も安心して今東宮に優しくできるのかもしれません。貴族が裏にかかわっている以上私の感情も制御しないといけないのですから」


鷹男はまるで泣いているように肩を震わせていた。

あたしはここで鷹男に真実を言うべきか悩んだ。
本当なら前東宮様と、桐壺の女御様は生きている。あたしが帥の宮と三人逃がした。
その事実は鷹男にとって幸せなことなのか、それとも裏切られたのか、

どちらに捉えるか分からない。

こんなに傷ついているのにあたしは真実を伝えることができなかった。
変わりにあたしは鷹男と向き合い、そして鷹男を見つめ何も言わずに口付けをしたの。
鷹男は吃驚しているようだったけどあたしは鷹男を抱きしめ続けた。

「瑠璃姫!」

掠れるような声を出した鷹男はそのままあたしを押し倒し、あたしは抵抗をすることなく二人で横になったの。

「瑠璃姫、瑠璃姫・・・」

鷹男は何を考えながらあたしを抱きしめるのか分からない。

でも、その姿に昔鷹男に抱いた隠された想いが蘇ったの。鷹男が東宮じゃなければ結ばれていただろう、昔愛した人。今は何も考えたくない。

それよりも鷹男を癒してあげたい。

あたしはそう思い、そのまま結ばれることになったの。


























「瑠璃姫、どうしてあなたは・・・」
「鷹男、これは夢。そう夢なのよ。」
「嫌です、あなたは私に同情をなさったのかもしれません。しかし、私はもうあなたの体を知ってしまった。」
「鷹男、たまたまあの場所にあたしがいたからそうなっただけ、

鷹男は前東宮様と桐壺の女御さまのことを思って感慨深かっただけ。

そこにあたしが漬け込んだ。ただそれだけなのよ。
だからお互い忘れるのが一番。

でもあたしは後悔はしてないわ。あんたを慰めたかったんだから。」
「そんなことでは納得ができません。

瑠璃姫は、私のことをただの同情だけで体を差し出すことができる方なのですか?」
「それは・・・・」
「お願いです。ここに残ってください。」
鷹男に言われてもあたしはもう決めていた。
「鷹男、あたしは高彬を愛しているの。高彬と別れるつもりはないの。
でもあたしは鷹男を助けたい。」
「・・・・・」
「だからごめん。鷹男、あんたは丞香殿の女御様という寵愛する女御様も、跡を継いでくれる東宮様もお見えになる。そこに既婚者の、ましてや右大臣家に連なる高彬の妻を後宮に入れることはできないのよ。だから諦めて、あたしはあんたを影ながら支え続けるわ。」

あたしはそういってすぐに後宮を離れた。
何故だかあたしはいつの間にか涙を流していたみたいで切なくて仕方がなかったの。
これが鷹男を思って涙したのか、それとも高彬を裏切ってしまった後悔で泣いたのか

分からない。
でも、それよりも早く後宮から離れたかった。
あたしは大皇の宮様、そして藤の宮様に御文だけ届けて後宮を後にしたの。





















あたしはそのまま褥に入った。心が苦しくて仕方がない。一体どうしてしまったのか。
あんなに高彬が好きで仕方がなかったのに、

今でも高彬を愛しているのに、鷹男のあの寂しげな背中が頭から離れないの。

鷹男への想いは消さないといけない。
どうかあたしから切ない鷹男への想いを消して欲しい。
お願いよ。

 

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