妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

秘恋3


写真素材 pro.foto

あれから邸に戻った。

あたしは普段通りにするつもりが中々できない。

頭の中に映像として残るのは鷹男のことばかり。

あたしが愛した人は三人。

一人目は吉野の君、吉野の君が生きているのか結局のところは分からないけれど生きているとあたしは信じたい・・・

二人目は鷹男、正体を知ってすぐに失恋した。だって鷹男には既に沢山の妻がいたんだから。いくら貴族は一夫多妻制とはいえ、自分だけを愛してくれる人と恋をしたかった。だからすぐにその気持ちを封印した。それから失恋したことにして新しい恋へと

自分を切り替えたの。

三人目は高彬。最初は吉野の君が好きだったし、年下の高彬はあたしの好みから外れていたの。けれどその内意識するようになり高彬と結婚したの。

今のあたしは幸せだった。

でも・・・・高彬に新しい北の方が現れたら?

だったらどう?

絶対に許せないのに・・・・・・

今の鷹男に会う前だったら絶対に許せなかったはずなのに今は怒りの気持ちが起きない。

なんでなの?

あたしってそこまで情が薄かったの?

そうなのかと思う自分と、自分への怒りが揺れ動く。

そんなこと赦されないこと!

あたしは高彬の妻なんだから。

だったらあたしの行動は何なの?

夫のある身で違う殿方に体を許してしまったそんな不貞な妻が高彬に相応しいの?

混乱しているあたしの元に高彬がやってきたの。

「瑠璃さん、どうかしたの?」

「高彬!なんでいるの?」」

あたしは動揺してしまったの。

「なんでって、妻の元に通うのがいけないの?」

当たり前のことを言われているのに理解できない。

それほど混乱していた。

「ごめんなさい、高彬。先触れがなかったから。」

「だって、久しぶりに瑠璃さんに会いたかったし、お主上に会いに行くっていうからびっくりしちゃって。」

「鷹男!?」

「鷹男じゃないよ、恐れ多くも今上帝であられる尊いお方なのにすぐ瑠璃さんは馴れ馴れしくして。」

「違う、鷹、じゃなくお主上のことだったわね。」

平常心を保とうとしながらあたしは言葉を選んで高彬に話しかける。

「それにしてもあんたはすぐにこなかったわね。

後宮に行ってから3日は経つわよ。」

「いや~お主上と瑠璃さんがどうなるかなんて考えたことはないよ。」

ドキッ!?

気づかれてないかしら。平常心を保っているかしら。

そんなことを考えながら言葉を促す。

「そんなわけないでしょう!」

「分かってるよ、ただね、お主上は前東宮様と桐壷の女御様のことを悔やんで見えるように見えたから

瑠璃さんが後宮に行ってくれたのは丁度良かったんだ。」

「高彬・・・・」

ここですぐに本当のことを話して謝りたかった。

言えばいいのに。この罪は重すぎる。

なぜ言えないのか今のあたしは分からなかった。

それから一夜を共に過ごした後、高彬は実家に帰っていった。

 

 

 

 

 

また、しばらく高彬は内に来なくなった。

文には仕事の為と理由が書かれていたけれどそれよりも困った事が起きていた。

高彬が来ない日に限って鷹男からあたし宛に恋文が届くようになったから。

何度も交わすうちに次第に気持ちが高まっていく。

そんな時だった、こんな文が届いたのは。

 

 

 

百年に 老舌出てて よよむとも 我はいとはじ 恋ひは増すとも

 

現代語訳

「あなたが百歳になり、歯が抜け口元がおぼつかなくなり 歩くのも困難になっても嫌になんてなりません。いっそう愛しくなることはあっても。」

万葉集より)

 

あたしは返歌としてこの歌を贈る。

 

神さぶと 不欲ぶにはあらね はたやはた かくして後に 不楽しけむかも

 

現代語訳

「あなたとの恋に溺れてしまいそうだけど、私なんかじゃすぐに飽きられて捨てられてしまうでしょう。

そうなると寂しいから辞めておきましょう。」

万葉集より)

 

まるでまんざらでもない返歌を贈るなんて。

贈った後に呆然としていたときだった。

恐れていたことが発覚したのは・・・・・

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村