妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙3


写真素材 cg.foto

愛のない契りはなんてむなしいものなの・・・・・

あんなに夢見た東宮様と結ばれたのに

心が通じ合ってないなんて何て無意味なものなのか

悪夢のような初夜を迎えてから2週間が経った。

あれから時々東宮様はあたしを指名し、清涼殿に渡り愛のない契りを行う。

ただ跡継ぎを作るだけの不毛な行為。

一度きりでこの行為から解放されたい。

でもそんなわけにもいかず時々清涼殿に渡らないといけない。

小萩から言わせるとかなり呼ばれる回数は少ないんだとか。

新婚なのに呼ばれる回数が少ないと小萩はあたしに言ってくる。

あたしは呼ばれないほうが嬉しい。

これ以上惨めな気持ちになりたくないのですもの。

淑景舎からあたしは殆どでることなく

閉じ篭もることが多く本来のあたしはドンドン消えていくようだった。

そんな傷心しているあたしの姿をみた小萩は

いつもなら反対するのにあたしに勧めてくれた。

「瑠璃さま・・・・・あまり思いつめてはいけませんわ。

そうだ、少し後宮を散歩なさったらどうです?

清涼殿に行くくらいで淑景舎をお出になる事なんてなかったではありませんか。」

でもあたしはそんな気分になれなかった。

しかし小萩が自分の衣を脱いで女房の桂をあたしに手渡してくれたの。

女房の姿ならあたしが桐壺の女御だと気がつかれないはず。

本来のあたしならもうとっくに散歩にでているのに

そんな気分になれなかったから・・・・

小萩の気持ちがとても嬉しくてその桂をあたしは受け取り

淑景舎からあたしは抜け出した。

久しぶりに違った空気に浸ることが出来小萩に感謝したい気分だった。

あのままだったら暗い気持ちから抜け出すことが出来なかっただろう。

気分転換が出来あたしはこの後宮に来てから

初めて楽しいと思う気持ちが味わえることが出来た。

もうそろそろ淑景舎に戻ろうとしたその時やや騒がしく笑い声が聞こえてくる。

何なの?

あたしはそちらに引きこまれるかのように近づいていった。

庭先に面したところは御簾が全部上げられ、几帳や衝立も取り払われていた。

そこから主人が綺麗に整った庭を眺めているのだろう。

そう梨壺の女御さまが・・・・・・・・・

あたしよりも先に東宮妃になったお方。

この方を怨むつもりはないけど、それでも嫌な気持ちは消える事はない。

そこから楽しそうな声が聞こえる。

でもそこに男の人の声も混ざる。

!!!!!!

そう東宮様も梨壺にお見えだった。

二人が一緒にいるところなんて見たくない。

でも体が動かない。

あたしは隅から中を伺う形になってしまった。

今まで聞いた事がないくらい甘い東宮様の声が聞こえる。

あたしが聞いた事がない声色。

「梨壺、申し訳ない。あなたの元以外来たくはないのですが

東宮としての勤めであなた以外に清涼殿に女御を呼ばないといけない事もあります。

しかし、私はあなただけを思っているのですよ」

「まあ~東宮様ありがとうございます。とても嬉しく思います。」

!?!?!?

聞きたくない。あたし以外に愛を囁こうとする声。姿。

嫌よ!あたしが愛する東宮様が他の姫に優しくする姿見たくない。

でもそれが現実のこと。

「あなたには申し訳ないと思っているのです。

私がやっとあなたを迎える事ができたと思ったら

そんなに経ってもいないのに他の姫君を迎えないといけなくなるとは

私も驚いてはいるのです。

本当なら毎日のようにあなたを召したい気分ですがそうはいけません。

しかし、私の心はあなただけのものです。それだけは忘れないで下さい」

主上・・・嬉しいお言葉。私は幸せものですわ。」

嫌、嫌よ、嫌よ嫌~~~~~~~~~~

その言葉はあたしに対して使ってくれるものじゃないの?

他の姫君に愛の言葉を囁かないで。

聞きたくない!

あたしはやっとの思いで淑景舎に戻った。

頭の中にこびりついた二人が寄り添う姿。

こんなことなら散歩に行かなければよかった。

こんな事実に直面するなら行かなければよかったのよ。

あたしは自分の床に入り泣いた。

涙がこれ以上でないと思うくらい泣き続けた。

これ以上あたしはここにいたくない。

もう三条邸に戻りたい。

戻りたいけどあたしは東宮様の女御になってしまったのだ。

今さら元の生活に戻る事なんてできない。

あたしはもうこれ以上元の生活に戻る事が出来ないことに気がつき

泣き続けてしまったのだ。

 

 

 

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