妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙2


写真素材 cg.foto

胸がドキドキする。

東宮様はあたしを見てどんな反応をするのだろう。

やっぱりあたしを見ても思い出すことはないのだろうか?

それとも・・・・・・・・

 

 

 

あたしはあれから早速父さまに東宮様の元に行きたいことを話した。

元々野心がない父さまだったからまさか自分の娘を入内させようという気持ちは

全くなかったみたいで酷く慌てていた。

あたしのような破天荒な性格の娘が後宮に上がったら何かを起すに決まっている。

そんな決め付けがあってはじめは反対された。

でもあたしの決意が固いのを見てあたしの気持ちを分かってくれた。

そうしてあっという間にあたしは東宮様の女御となることができた。

あたしは淑景舎に部屋を賜り桐壺の女御といわれることになる。

あのまま諦めていたままの方が楽だったかもしれない。

でもあたしにとって何も知らないよりは真実を知ったほうが絶対に後悔しないと思う。

いろいろな思いを胸にあたしはついに東宮様と対面を果たすことになった。

 

 

 

 

 


あたしは顔を伏せたままの姿勢で東宮様を待つことになった。

前の方では人が席につくかすかな気配がする。

そうして東宮様のお言葉を頂くことになった。

「桐壺の女御、顔を上げてください」

ついに東宮様の尊顔を見ることが出来る。

顔を上げたあたしは思わずがっかりしてしまった。

だって御帳台にはいってしまったおかげで全然表情なんて伺えなかったのだから。

でもあたしに対しての心遣いの数々。

とてもお優しい声。

あたしは一瞬自分を忘れてしまうほど東宮様への気持ちが高まるばかり。

あたしを覚えていますか?

その質問をしたくてしたくて仕方がないのになかなか話せない。

あたしらしくもなくかなり緊張してしまっていた。

この公の場で真実を聞くのはなかなか勇気がいる。だからあたしはこの質問をするのを

後回しにすることにしたの。

それから東宮様との初めてのご挨拶は滞りなく済ませる事ができた。

まだ焦ってはいけない。

今夜には東宮様との初夜がある。

初めての経験に胸が爆発しそう。

しかし愛する東宮様の胸に抱かれる事ができるならそんなことどうでもいいと思う。

幼い頃から夢に見た東宮様の女御となることが叶った。

胸の鼓動が収まらない。

ドキドキしながらあたしは夜を待った。

初夜だからこそいろいろな儀式を経ながらあたしは床についた。

とても美しい調度類に囲まれながらあたしは幸せな新婚生活を思い浮かべる。

そんな妄想をしていた時に誰かが御帳台の中に入ってきた。

東宮様だわ。

胸の鼓動が最高潮に高まる。

「桐壺、待たせたね。そんなに緊張しなくてもいいんだよ。」

「は、はい!」

東宮様にお優しい言葉を掛けられても

こんな経験した事もなかったからどうすればいいのか分からなかった。

そうだ、あたしのことを覚えているかお尋ねしてみよう。

そう思い、今まで俯いてばかりいたあたしはやっと顔を上げ

初めて東宮様のご尊顔を拝見する事ができた。その美しい尊顔。

あの幼い頃の面差しがほんの少しあったことが嬉しくて仕方がなかった。

あの時の東宮様のまま。

やや懐かしさもあって思わず東宮様を見つめてしまった。

その時東宮様が一言あたしに言葉をかけた。

「あなたには早く私の子供を身篭って頂かなければ・・・・だから優しくしますよ」

あんなに幸せだと思っていたのにその言葉を聞いて

あたしの心は水をかぶせられたかのように冷えていった。

そうしてあたしは東宮様の姿を見据えて愕然とした。

会えた嬉しさで東宮様の外見だけで判断してしまったけど

態度は優しいのに視線は冷たい。

目が笑っていないのだ。

東宮の御子を産むのが東宮妃の義務だと言わんばかりの態度。

こんなに醒めた表情をなさっているのに何故あたしは

今になってから気がついてしまったのかしら。

気がつかなければあたしはそのまま幸せな気持ちで

東宮様に抱かれることが出来たはずなのに

どうして・・・・・・・

このままあたしは東宮様に抱かれていいの?

このままだとあたしは東宮様にとってただの子供を産むだけの

道具としてしか見られないんじゃない?

そんなのは絶対に嫌。

「桐壺、どうかなされたのですか?」

優しい言葉。優しい声色。

普通だったらその優しさに甘えて

気がつかないふりをしてしまっているはずなのに

本気で愛しているから、

だからこの気持ちのままで抱かれるのは嫌。

あたしは決心をして東宮様に言った。

「あのやっぱりこのまま夜を共に過ごさなければならないのでしょうか?」

この発言に東宮様は驚かれたようだった。

そしてやや呆れ気味だった。

「桐壺、これはどうしようもできないことなのです。

私は早めに自分の後継者を作らなければいけない立場。これは義務なのです。」

義務ですって!?

あたしを抱くのはこの方にとっては義務なの?

好きだから、愛しているから抱き合うものなんじゃないの?

やっぱり東宮様はあたしのことなんてどうでもいいんだわ。

悲しい気持ちがどんどん支配していく。

このまま何もない状態で過ごせるわけがない。

あたしはもう東宮様の女御になってしまったのだから。

少しの間あたしは自分の気持ちに問いかけた。

あたしは東宮様にこのまま抱かれてもよいのかと・・・・・・

何度問いかけても嫌だと心が悲鳴を上げる。

愛されていないのに体を許すだなんて・・・・

でもこのままな状態でいてもいづれは抱かれなければならない。

あたしは覚悟を決め東宮様にある提案をした。

「あの・・東宮様お願いがあります。

あたしと二人きりの時だけ瑠璃姫とそう呼んでいただけませんか?

桐壺ではなく瑠璃姫と・・・・」

幼い頃に伝えることが叶わなかったこのあたしの真名。

この名前を囁き続けてくれたら、もしかしたら何かが変わるかも知れない・・・

そんな都合のよい考えを胸に抱き願った。

あたしはついに東宮様に抱かれることになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あたしの体の隣には静かに眠られている東宮様がいる。

東宮様に気がつかれないようにあたしは起き自分の支度を整えた。

桐壺に戻りあたしは静かに泣いた。

涙は全然止まらなかった。

やっぱり抱かれなければよかった。

あたしは自分の名前を呼ばれれば昔に出会った東宮様を思い出す事ができる。

そう思った。

本当ならあたしの名前を言って別れるつもりっだったんですもの。

だから昔の続きをしてそのままあたしの名前を囁かれながら

抱かれると少しは気持ちが違ってくるかも

とそんな馬鹿なことを考えてしまった。

「瑠璃姫・・・瑠璃姫・・・・」

あたしを呼びながら東宮様は抱いてくれた。

でもその名前を呼ばれたからといって気持ちがあるわけじゃない。

ただ名前を呼んで欲しいと言われたから呼んだだけ。

その名前には感情は入っていない。

そのまま義務であたしは抱かれたのだ。

あたしは東宮様の気持ちが欲しかった。

東宮様のお傍にいる事があたしの夢だった。

しかしまさかこんな結果が待ちうけていただなんて思いもよらなかった。

これが現実だなんて・・・・・

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