妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙9


写真素材 cg.foto

あたしはどれだけ意識をなくしていたのか分からない。

でも完全に目が醒めたとき、誰かがあたしの手を握ってくれていた。

その温もりは温かくあたしの心を癒してくれる。

でもその手を握っているのが誰なのか視線をやるとそこには鷹男がいた。

その時あたしは意識を戻したばかりで、思考回路が働いていなかった。

だから鷹男のホッとした安心した表情を見て

あたしはやっぱりこの人の傍に一生いたい。

そんな気持ちが甦っていたの。

それからしばらくするとバタバタと

薬師や医師を呼べというような声が飛び交い、いつの間にやら

鷹男の姿はあたしの前から消えていなくなっていた。

鷹男があたしの傍にいてくれるわけがない。

だからさっきのは夢なの。

そう心の奥に先ほどの鷹男の姿を追いやっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あたしの頭がしっかりと働いたとき、

父さまが大泣きしながらあたしを説教してきたの。

「るるる瑠璃や!やっぱり言った通りではないか。

お前が東宮様の女御様としてお仕えするのは無理があったのに

お前がどうしてもというから東宮妃として入内させたら

こんなことになってしもうてわしは一体どうすればいいのじゃ」

大きな声でよくも意識がしばらくなかった娘に

こんな事をいえるわと少し呆れてしまった。

でも小萩があたしに事情を教えてくれたとき

あたしは池で溺れてから3日も意識がなかった見たい。

池の水を結構飲んだようで肺に菌が入り肺炎という大病を起してしまった。

高熱がずっと続き治るかどうかも分からない状況で

後宮が大騒ぎになってしまったそうよ。

あたしのせいで後宮を騒がした罪は重く

本当なら何か重い罰を受けなくてはならないはずだった。

だけどそれを東宮様が不問になさったみたいで

辛うじて罪は見逃してもらうことになった。

だからこそ父さまには申し訳ないとは思う。

でもここまでずっとクドクドと説教をされるとややウンザリしてしまう。

そうして父さまの説教を右から左へと軽く流している時

とんでもないことを父さまは口走る。

「瑠璃や!聞いて居るのか!?お前の命の恩人なのは東宮様なのですぞ!

すぐにでも御礼を言ってくるのです!」

まだ体を動かせる状態じゃなのに父さまは興奮されていてあたしに呼びかける。

その言葉にすぐ傍に控えていた小萩が大慌てで父さまを止める。

「内の大臣さま、まだ瑠璃さまは体調が本調子ではありません。

東宮様への感謝の言葉は後日では駄目なのでございますか?」

二人の言っている言葉があたしの耳に入ってきたけど一瞬理解できなかった。

 

あたしを助けたのが鷹男ですって!?

嘘!?

なんで???あの時あたしの手を誰かが掴んだ気がした。

それは高彬のものだとあたしは思っていた。

鷹男があたしのために池に飛び込むことなんてあるはずがないわよ!

あんなに冷たい声、表情、あたしと高彬との仲を疑っていたんですもの。

なのにそんなはずは・・・・・・・・

だったらあたしが目を開けたとき手を握ってくれていたのは誰なの?

あれは鷹男だったんじゃなかった?

そんな気持ちの葛藤があたしの心の中で荒れ狂う。

でもあの冷たい声がどうしても頭から離れられない。

だからあたしは思わず声を荒げた。

「そんな、たか、いえ東宮様があたしを助けるわけがないわ。

あたしのことなんて、どうでもいいはずですもの。

父さまお願い!ここから出して頂戴!

あたしなんて東宮様の傍にいれば邪魔な存在なのよ!

あたしがいたらまた同じことの繰り返しになるかもしれない。

だから父さま!!!!」

急なあたしの悲痛な叫び声にさっきまであたしに怒っていた父さまは

あたしの動揺にかなり驚かれた。

それもとんでもないことをあたしは口にしたのだから。

あたしの興奮状態の姿に父さまは父さまで慌ててあたしを慰める。

「るる瑠璃や、まさかそなたがそんなに気に病んでいたとは

わしは気がつかなんだ。

お前は好きで東宮様の元に嫁いだのだから

それなりの幸せを掴んでおるのだとそう思っていたのに・・・・」

「父さま・・・・・・」

父さまの驚かれる気持ちは分からないでもない。

でもあたしは鷹男の傍から離れるはずだった。

なのにこんなことになってしまったのですもの。

しかし、父さまもさすがにあたしのこの我儘を聞いてくれる事は出来ない。

ここまで騒ぎを起したとはいえ鷹男はあたしを許してくれたのだから。

でも・・・・・でも・・・・・・・あたしは鷹男に会うのが恐い。

また冷たい声を浴びせられるのが嫌なの。

あんな・・・・・・・・・あんな冷たい疑った反応・・・・・・・・・・

どうしたらいいの?

あたしはもう後宮からでる事は叶わず籠の中の鳥のように

自由に出ることは叶わないのね。

後宮に入った時点でその覚悟はあったとしても

こんな結末が待っているとは思わなかったから。

だから・・・・・・・・・・・

 

あたしは結局鷹男の元に行くことは出来なかった。

このやるせない気持ちはどこにぶつければいいのかしら・・・・・・・

そんな空虚な気分になっていたの。

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