妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙(鷹男編)4


写真素材 cg.foto

私は自分の気持ちがよく分からずに揺れ動いていた。

私の身分目当てで近づいてきたと思っていた瑠璃姫が

私の先入観の女性とは全く違うことに

今さら気がついてしまったのだから。

瑠璃姫に頼まれた私と瑠璃姫の間にだけ使われる鷹男と言う名。

その名前を教えてからの瑠璃姫は本当の自分を偽ることなく

私にぶつかってくれる。

大貴族の姫君だというのに私の姫という認識を

完全に取り払われてしまうかのように自由奔坊で

気さくで親しみがわく姫君だった。

そう、あの幼き頃に出会った運命の姫君のように!!!

瑠璃姫のじっと私を見つめる視線。揺るぎない信念に満ちた目。

どうしてもあの時迎えに行くと約束した姫君と重なってしまうのだ。

そんなことあるわけがない!!!

いくら自由奔坊な瑠璃姫とはいえ

幼い頃に右大臣家の庭先にいるわけがないのだ。

まだ裳儀も済んでいないお姿だった。

そんな姫君が、内大臣家の瑠璃姫であるはずがないのだ。

だから何度頭にその想いが掠めても心の中から追い出してしまうのだ。

ありえないのだからと・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


私は運命のあの姫君だけを一生愛していくと心に誓った。

だから瑠璃姫への思いは気の迷いなのだろう。

しかし、心の奥底ではもしかしたらといつも思う自分がいるのだ。

そんな自分の心に自信がつかない私は、瑠璃姫の元に行きたくて近づくのに

運命の姫である梨壺の顔を思い浮かべるとやっぱり梨壺を選んでしまうのだ。

その時の瑠璃姫の表情を見ると私も辛くて仕方がない。

私を思ってそんな切ない表情をしているのかと、

私のいい加減な態度で瑠璃姫を苦しめている事を。

そんな分かりきっていることなのに

自分の煮えきれない性格に嫌気がさしてしまうのだ。

 

 

 

 

私はこのままではいけない。

そう思いやっと行動に移すことにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は梨壺と今は二人きりであった。

だからこそ今が聞く機会なのだろう。

私は思い切って聞くことにしたのだ。

 

 

 

 


「梨壺、大事な話があるのです」

「一体なんの話なのでございましょう?

私がいたらないことでもありましたか?」

梨壺の甘えるような声。

彼女こそ大貴族の姫君らしい風格。

甘やかされて育ってはいるがおっとりした物言い。

梨壺が私を騙すわけがない。

心では真実を追究したい。

しかしこの梨壺が嘘を言っているとは信じられない。

心の葛藤だけが通り過ぎていく。

しかし私は真実を知りたい!

「梨壺そういうことではないのですよ。

あなたと初めて出会ったときのことをあなたは覚えていますか?」

「はい、覚えておりますわ。

私も東宮様に右大臣家の私の部屋の前の庭で出会えるとは

夢にも思いませんでしたもの。」

私はドキッとした。右大臣家の庭で出会ったことは

右大臣に教えたが、梨壺の部屋である東の対の部屋の前の

お庭で会ったことは話してはいないのだから。

その事を知っているのは母上だけ。

そして運命の姫君だけ。

しかし、それだけで梨壺を真実の姫君と断定できない。

私は自分のお守り袋を梨壺に見せた。

そうしたらなんと梨壺は懐かしそうな表情でお守り袋を見たのだ。

「まあ~お懐かしいですわ。

このお守り袋のおかげで私は東宮様と出会う事が出来たのですもの。」

嬉しそうな表情で梨壺は笑った。

そんな・・・・・・やっぱり・・・・・・・

私は最後にもう一つだけ質問をした。

「このお守り袋の中身はもちろん知って見えますでしょうか?」

私はどちらに期待したのだろうか?

私はがっかりしたのだ。

梨壺の台詞を聞いて・・・・・

「まあ~話の内容がよく分かりませんが知っていますわ。

そのお守り袋の中身は東宮様の臍の緒が

入って見えるのですものね。」

にっこり笑って見せた梨壺の表情。

いつもと少し雰囲気が違う気がしたがそれどころではない。

これで運命の姫君は梨壺だという事が証明されてしまったのだから。

私のお守り袋の中身がなんなのか誰も知らない。

知っているのは母上と運命の姫君だけ。

これだけは肌身離さず持ち歩いている。

もし私が寝ている間に中身を確認しようものなら瞬時に

目を覚ましてしまうのだ。

人の動く音だけで私の目が覚め意識が浮上するのだから。

だから梨壺が私と夜を共に過ごした後

お守り袋を確認することは叶わないことなのだ。

そうして私の心は決まった。

瑠璃姫とは少し距離を置こうと。

梨壺を、いや運命の姫君だけを一番にしよう。

そう思うようになっていったのだ。

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