妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙(鷹男編)5


写真素材 cg.foto

私は運命の人、梨壺を最終的に選んだ。

どれだけ瑠璃姫に惹かれていてもこの気持ちはあってはならないのだ。

瑠璃姫への想いを認めるわけにはいかない。

そうしてその内梨壺の女御が懐妊したという目出度い話が私の耳に届いた。

大臣家は大喜びで後宮は騒がしくなった。

それと同様に私の次期後継者候補が早々に誕生するとあって

周りがホッとしていることに気がついた。

このおかげで右大臣家についたほうがいいと

沢山の者たちが動いているのも私は知っていた。

私や右大臣家に媚びる輩が増え、

その応対を大喜びで右大臣家は対応していた。

梨壺では連日連夜宴を広げ、私も出席しないとならないため

瑠璃姫に会う事さえなかなか出来なかった。

その方が私の方も都合がよかったから・・・

だから瑠璃姫の身に何が起こっているのかさえも

私は気がついてはいなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは偶然だったのか?それともこれは必然だったのか?

私が犯した罪を神は見ていたのだろうか?

あまりにも私の間違った行動に情けを掛けてくださったのか?

それは今でも分からない。

しかし、この偶然のおかげで私は真実に気がつく事が出来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は梨壺がおややを身篭ってから自分の時間が中々取れなかった。

私の後継者が産まれるということに嬉しさはあった。

しかし、何故だろう?気持ちが中々晴れない。

自分の気持ちをじっくり考えたくない私は

久しぶりに母上に挨拶に伺おうと思った。

最近では同じ後宮内に住んでいるというのに

梨壺や右大臣たちに誘われ

なかなか会うことができなかったのだから。

母上には宴の場や正式の場では会話を交わす事はあったが

慌ただしくなかなかゆっくり出来ない。

母上に会いたい。そんな想いを感じた途端すぐに行動に移した。

先触れもしずに私は慣れた足取りで母上の景舎に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿舎に近づくに連れて物静かな気がした。

もしかしたら誰かと内密の話でもなさり

人払いでもしているのかもしれない。

そうは思ったが私は中々時間が取れなかったため

このまま母上の元に踏み入れようと思った。

妻戸を開け大きな音を立てれば母上達も私に気がつく。

そう思ったのに何故か妻戸が少しだけ開いており

中の声が小さいながらも聞こえてきたのだ。

盗み聞きはよくないとは思ったが

中の者の声があまりにも泣き声で

思わず自分の存在を気がつかせることに躊躇してしまったのだ。

そして、その話の内容さえも耳を疑うような内容だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたら~どうしたらよろしいのでしょうか?

私は何て罪を背負ってしまったのでしょう。」

「もう終わったことでしょう。その話はなかったことにするのです。

何度も言うのはおやめなさい。

その件はけして東宮に知られてはならないこと。お分かりですか蘇芳!」

「しかし、女御様!!!」

私の名前が耳に入ってきた。切羽詰った女房の声。

そして冷静にしようとしていながら動揺している母上の声。

一体何があったのだ?私の名前が出ている話。

それも私に知られては困ることとは一体なんなのだ?

知りたい気持ちが強く私は母上達の前に現れるのを止めた。

「蘇芳、落ち着きなさい。

それに、このことはあなたの推測することなのでしょう?」

「それは・・・・・・私のただの推測でございます。

しかしそうとしか思えないのです。

私に近づいてきたあの者の理由が。

もしそれが本当だったら私は東宮様の裏切り者でしかございません。

あんなに運命の姫君と慕っている梨壺の女御様が実は違うだなんて!

ですからやはり東宮様に教えたほうがいいとそう思うのです」

!!!!!!!!!!!!!!!

そんな!梨壺が運命の姫君ではない?

どういうことなのだ!

私はそのまま理由を聞きたくて乗り込もうかと思ってしまった。

しかしこのまま自分の思いのまま駆け抜けたら母上に止められてしまう。

母上ならそのまま何も理由など言ってくれない。

私が蘇芳を問いただそうとする事も分かっておられるだろう。

その日の内に蘇芳は後宮から姿を消し真実を闇に葬られることだろう。

私を、いや東宮をなんとしてでも守ろうとなさるお方だ。

だから私は気持ちを押さえ込んだ。

そうすると蘇芳はすらすらと話しだしたのだ。

東宮様が幼き頃に出会った初恋の姫君の話を詳しく知っているのは

女御様だけではございません。

あの時東宮様が母上である女御様だけだと勘違いなさっていますが

あの場に私も控えておりました。

ですから私もある程度の話は知っておりました。

しかし気を抜きすぎました。梨壺の女御様の女房が私に近づいてきた。

あの時疑えばよかったのに上手に近づいてきて

運命の出会いの詳しい話を話してしまいました。」

「蘇芳、もう済んだことでしょう。

東宮のためにもその話はお忘れなさい。」

「これだけだったら私も落ち込むだけでございます。

しかし、やっぱり東宮様の肌身離さずお持ちになった

お守り袋の中身のことまで話さなければよかった。」

「何度もいうけど東宮はあのまま梨壺の女御を運命の姫君と思わせたほうが

東宮にも梨壺の女御にもいいことではありませんか?」

「ですが・・・偽りの姿を見るのは辛く思います。

女御様もご存知でしょう。東宮様が本当に幸せではないことを。

運命の姫君に翻弄されている身の上、やはり本当のことを言ったほうが」

「運命の姫が梨壺の女御ではない可能性は確かに高い。あの女御は

笑みをこぼしながら虎視眈々と周囲を操っているように見える。

だからこそすぐに自分の女房を周蘇芳に近づかせたのだろう。

本物であれば近づく必要などないのだから。結局蘇芳から

まんまとお守りの中身まで白状させたのだからより一層疑惑は

募るよのう。」

!!!!!!!!!!!!

なっ!?思わず大声で叫んでしまうのを堪えて私は気持ちを押さえる。

蘇芳と呼ばれている女房は私の乳母であった。

母上が忙しいためいろいろな教育を施し、

そしてここまで大きく育だったのもこの蘇芳の力が

大きかったといえよう。

蘇芳ならお守り袋の中身を知っているだろう。

母上の信頼が高く、私のもう一人の母のような存在である蘇芳なら

知っているはずだ。

私が産まれたときから私に仕え、

このお守り袋が大切なものであることは蘇芳も知っていたはずだから。

このお守り袋を授かったときも控えていた蘇芳。

母の影のような存在でもある蘇芳なら知っているはずだった。

蘇芳は今までにないくらい取り乱していた。

蘇芳が梨壺にもらしたとして本当に梨壺が運命の姫君ではないと

確定しているわけではない。

しかしその可能性は高いのだ。

私との出会い、お守り袋の中身を探るような行動を取っていたのだから。

私は胸騒ぎがしてきた。

何故か瑠璃姫を思い出してしまったから。

運命の姫ではない瑠璃姫の方がしっくりきていた。

梨壺よりも瑠璃姫の方が・・・・・・・・・

私はこのままこの話を聞かずにこの場を離れた。

真実を今すぐに突き止めなければ。

急いで駆けていく。

自分の身分など忘れて必死で走っていた。

その時!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

とんでもない光景が目の前に飛び込んできたのだ。

瑠璃姫を後ろから抱きしめる高彬の姿が!?

思わずカッとなった私は二人に怒声を浴びせかける

「お前達!一体ここで何をしているんだ!」

私の声に気がついた二人は驚愕な表情で私を見るのだった。

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