妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙(鷹男編)3


写真素材 cg.foto

内大臣家の姫にはじめて会ったときの印象は特になかった。

容姿も特に秀でているわけではなく意外でもあった。

無理やり東宮妃になった姫であるからそれなりに容姿に自慢の姫君で

もっと私に媚びてくるのかとそう身構えていたのに拍子抜けでもあった。

ただ気になるのはあの視線。

私に何かいいたげなあの視線だけがやけに目に付いた。

もしかしたら二人きりの時にでも

私に媚びようとする視線なのかもしれない。

危く私は騙されるところだった。

初夜の時は特に気を抜かないようにしなければ。

私はそんな気持ちで内大臣の姫と対峙したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


内大臣家の姫は淑景舎に部屋を頂いたため

桐壺の女御といわれるようになった。

初夜、桐壺の女御はとても緊張をした面差しだった。

体は少しだけ震えていてどうみても

私を誘惑しようとする女には見えなかった。

しかし、桐壺が私と梨壺が新婚である事を知っていながら

後宮に無理やり乗り込んできたのだ。

絶対に何かがある。そう確信している。

だからと言って好きでもない姫君でも抱かないわけにはいかない。

私は自分を戒めるかのように桐壺に言った。

桐壺を傷つける事にも気がつかずに。

後継者を身篭るように。あなたの義務なのだと。

そう平気で私は桐壺に言ったのだ。

その時の視線を一生忘れる事ができないだろう。

義務といった時瞬時に頭を上げ傷ついた表情をなさったのだ。

あの視線。

泣きそうで、涙が出るのかと思ったが一生懸命に涙を堪える姿。

一瞬私はその姿に惹かれたのだ。

あの視線。

どこかで見たことがあるような強烈な視線を。

しかし私はその視線の持ち主が誰だったのか

思い浮かべるのを拒否したのだ。

どうしてなのかは分からない。

でも誰なのかは気付きたくなかったのだ。

その内桐壺は私と抱きあうことを拒否したのだ。

次期帝の伽を拒否するなんて一体どういうことなのだ!

私は初めて屈辱感を味わった気がしたのだ。

私に体を開く女性は数え切れないほどいる。

それなのに野心で私に近づいてきたと思った桐壺が私を拒否したのだ。

許せない・・・・・・こんなこと生まれて初めてだ。

私は無理やりにでも体を開かせる気でいたのだ。

そう思った矢先、桐壺は自分の真名を呼んで欲しいと嘆願したのだ。

その言葉に私の怒りの矛先がどこかに消えてしまったのだ。

桐壺の真意が全くつかめない。

私が東宮だから近づいてきたのではないのか?

私に何かいいたそうな視線で見つめてくるのに

私が近づけば嫌がり距離を置こうとする。

意味が分からない。

私は真意が分からなかったが後継者を作る義務があるため

戸惑いながらも桐壺の真名を呼びながら

桐壺を抱いたのだ。

彼女の名前は瑠璃姫。

私は初めて女御の真名を知った。

運命の姫である梨壺でさえ真名を知らないのに

私は瑠璃姫と言う名前を心の奥に刻んだのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初夜がすんだのに私は桐壺、いや瑠璃姫の事が頭の中から

はなれないことに気がついた。

一体どうしてなのだ。

私は動揺していた。

運命の姫である梨壺のためにもそして自分のためにも

瑠璃姫には距離を置くのが一番。

そう分かっているのにあの一夜が忘れられない。

あの視線が私の中から出ていかないのだ。

信念のある視線が・・・・・

その視線を見ると苦しくなってしまうのだ。

なのに瑠璃姫の元に行きたくないのに体が行ってしまう。

それでもかなり抵抗していた。

本来ならまだ入ったばかりの新参女御のため

私は彼女の元に渡るのが通常なのに抵抗していたのだ。

体は何故か桐壺に向かおうとする自分を叱咤しながら私は梨壺の元に渡っていく。

私が愛しているのが一体誰なのか確認するかのように私は梨壺の胸に抱かれる。

梨壺が私の運命の相手なのだからと。

私が愛しているのは梨壺なのだと自分にいい聞かせるように。

その気持ちが一体なんなのか深く考えたくなかったのだ。

私はあの時逃げていたのだろう。

真実の姫が一体誰なのかと言うことに・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠璃姫は後宮に来てからドンドン元気がなくなっていく。

私があまり瑠璃姫に優しく接しないのが原因なんだろうか?

そんなときだった。瑠璃姫に急に提案されたのだ。

私の呼び名を教えてくれと。

一体瑠璃姫は何を考えているのだ。

瑠璃姫こそ私を東宮としてしか見ていないのではないのか?

自分の子供を次期帝にしたくて乗り込んできたのではないか?

その考えは私の思い込みが原因なだけなのだろうか?

やっぱり瑠璃姫の真意がつかめない。

私は諦めて呼び名を考えた。

適当に名を言えばいいのに私は必死で考えた。

そして浮かんだのが鷹男と言う名前だった。

私は鷹が好きだった。

自由に空を飛び周り、自由に見えた。

空から何でも見渡せる。

自分の力で自由に飛び周り色んな情報を仕入れながら生きる姿。

私がけして味わえない自由と言う言葉。

それが似合うのが鷹だった。

だからそう瑠璃姫に教えたのだ。

その名前を聞いた瑠璃姫の初めて見た笑顔。

今まで泣きそうな表情か、傷ついた表情か、

何か物いいたげな表情か。

そんな暗いイメ―ジの表情しか見たことがないのに声を上げて笑ったのだ。

「素敵な名前ね!」

凄く喜ばれていたのだ。

そして私も瑠璃姫と呼んで見たのだ。

そうして初めて知った。

呼び名が違うとこうも新鮮に見えるのかと。

散々瑠璃姫といっていたのに瑠璃姫と呼ぶ意味が分からなかったため

何も考えなかったが、どうしてなのかが分かるとその意味合いも違ってくる。

瑠璃姫が私を鷹男と呼んでくれる。

私は東宮としての身分を忘れてその呼び声に酔ったのだ。

そうして、今まで瑠璃姫を拒否していたのが驚くくらい

最近では瑠璃姫の元に行くのが楽しみになっていた。

私はドンドン瑠璃姫に近づいていったのだ。

私の気持ちがドンドン変わっていく予兆でもあったのだ。

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