妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

初恋~叶わぬ思い~6

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桜の木の元で鷹男と会いお互いなにも言わずに見つめ続けた。

何も言葉が出てこない。

鷹男から逃げたくて仕方がないというのに体が動かなくなってしまった。

どれだけこの状態が続いたんだろう。

凄く時間がたったかのように思えたけど短かったかもしれない。

そんな沈黙を破ったのは鷹男だった。

「瑠璃姫、私の女御となっていただけませんか?」

「え!?」

あたしはドキッとした。

だってこの言葉は、この桜の木の下で鷹男にプロポーズされた言葉だったから。

あの時は高彬と結婚する気持ちが強かったから笑ってごまかし断った。

でも今ならどうなんだろう。

愛する高彬はもう随分前にいなくなり高彬の子供の貴久を一生守ろうと

胸に誓った。

けれど今では息子も元服し官位を頂き大きくなった。

あたしの心の中は今でも高彬への罪悪感でいっぱい。

そんなあたしにまたもや鷹男が同じ台詞を吐くなんて信じられなかった。

どういう神経なの。

「鷹男!あんたは最低よ!まだ高彬の事が忘れられないの分かっているくせに

そんなことを言うなんて!

前言ったことを謝ってくれるならまだましだと言うのにあたしを怒らせたいの!」

「いいえ、瑠璃姫そういうわけではありません。

しかし未だにあなたは高彬への思慕を抱え込んでいるなら私は何も言いません。

でもあなたは高彬を未だに想い続けているというより、違う罪悪感を抱えている。

そう私は思えたのです。

高彬の体を壊したときに傍にいなかったことを

未だに悔やんでいるあなたをこれ以上みたくはありません。

あの時は私も誘ったわけですから私にも責任があります。

なのにあなたは自分だけの責任だと思い続けている。

その罪を私にも分けてください。私も同罪なのですから。」

「鷹男・・・・・・・」

「私は未だにあなたを愛しています。あなただけしかいらない。

もう女御は一人しかいませんが形式的に迎えただけで殆ど召すこともありません。

あなたが私の元に来ていただければあなただけを

今なら愛し続けてもなんの問題はないんです。

ずっとあなただけを想い続けていました。

どうかあなたの心を頂くことが出来ませんか?

瑠璃姫・・・・」

鷹男の表情は嘘をついているようにも思えず真剣だった。

しっかりと視線を合わせて私を見続ける姿にほんのわずかに心が揺れる。

あたしは昔鷹男が好きだった。

けれど自分以外に沢山の女性と競い合いながら鷹男の愛情を獲るなんて

あたしにはできず恋心を諦めた経緯がある。

「・・・・・」

どうしたらいいの?この後宮にきたら分かっていたことだった。

あの視線を見たときから鷹男の気持ちが未だに変わっていないことに。

でもあたしはそれでも高彬を忘れて鷹男の元に行くわけには行かなかった。

いくら高彬が好きな相手の元にいってもいいと遺言を残したとしても

自分の性格上許せない。

でも・・・・・鷹男は高彬のことを一緒に受け止めると言ってくれた。

それは高彬を忘れなくてもいいということだった。

あたしは結局鷹男に惹かれていたことを認めることが恐かったんだ。

いろいろ悩んだ。苦しんだ。

その思いを鷹男は一緒に受け止めようと言ってくれた。

いい加減あたしも納得しないといけないのかもしれない。

そうね、鷹男のことが好きだということを認めよう。

そう思ったと同時に気持ちが凄く楽に感じた。

あたしはいつから鷹男が好きだったんだろう。

この気持ちを認めるのにどれだけ時間がかかったか。

あたしは自分の決意を鷹男に答えた。

「鷹男、あたしは未だに高彬を忘れる事は出来ない。

でもあんたが高彬への罪を一緒に引き受けてくれるというなら分けてあげる。

この共犯な想いは一生忘れないで頂戴。

鷹男、ずっとあたしを思い続けてくれてありがとう!

あたしはやっと気持ちを開放できる。

高彬がいたころからあたしはあんたを好きだった。

あんたの気持ちを隠して高彬に逃げてたみたい。

あたしは自分自身に女性としての魅力を全く感じてなくて自信がなかったから」

「そんなことは決してありません。瑠璃姫の真っ直ぐな視線、

からかうとすぐに怒るけれどそんな怒る姿も見ていて飽きません、

それに勘が鋭く他の女性とは違う感性の持ち主だ。」

「分かったから、未だにあたしに愛の告白をしてくれたんだもの。嬉しい。

待たせすぎてごめんなさい。あたしを鷹男の傍に一生置いてください」

「瑠璃姫!」

あたし達は抱き合った。鷹男とあたしは多分涙を流していたんだと思う。

早く気持ちを認めればよかったというのに遠回りしすぎたわ。

今度は鷹男を堂々と愛することが出来る。

そのままあたしは鷹男に一晩中愛されることになったの。

一生忘れられない夜だったわ。


 

 

あたしと鷹男は長いすれ違いが続いたけど、やっと気持ちも通じ、

あたしは鷹男の新たな女御になる決意もした。

もう長い事鷹男は新たな女御も娶らずにいたから

あたしの存在は周りにも凄く驚かれることだとそう思う。

でもあたしは人妻だった事があるとはいえ未亡人。

未亡人を女御にするには何かと具合が悪いようだけれど

内の家柄は悪くはないし、東宮様もしっかりなさっていて後継者争いのことも

考える必要はないためかすんなり女御になれるみたいなの。

でもやっと気持ちが通じて間がないあたしたちはもっと気持ちを通じ合いたい。

そりゃあ女御になれば簡単に会えるとは思うの。

でも女御になってしまったら形式ばかりが先行して

そのう~今みたいに自由なあたしの方がいいというかね・・・

もうすぐ女御にはなるんだけどその準備も少しかかる。

だから準備が整うまでは鷹男の傍にいようとそう思ったの。

なるべく離れたくない。

気持ちが通じ合っただけでなんでこんなに愛おしいのか分からない。

自分の気持ちを多分偽ってきたから。

だからといって高彬を愛してなかったわけではないの。

ただ同時に鷹男も愛してしまっていたんだもの。

まさか自分が二人の人を同時に愛せるものとは思ってもいなかった。

でもそう考えると今までの気持ちの符号が合わさるんだもの。

もう納得した。

自分しか愛さない人とは結婚しないと言っていた自分自身が浮気ものだった。

昔のあたしなら軽蔑していたと思う。

でもこの長い年月があたしの気持ちに変化をもたらせたのよ。

そうしてあたしはまず息子の貴久にこのことを伝えようと思う。

周囲から聞かされる前にあたしの口から言いたい。

そうあたしは鷹男に伝えていたから女御になると決心した次の日には

貴久と会う手筈になっていた。

もし貴久が反対したらあたしはどうするんだろう。

あんなに可愛い自分の息子にあうのが恐いなんて

この世に生まれてきてから思った事がないと言うのに、恐くて逃げ出したくなる。

内緒にしたいのが本心。

でもあたしは貴久がもし反対してもそれでもあたしの産んだ息子なんだもの、

絶対に話せば分かってくれる。そう思ったの。

あたしが貴久を呼び出したとき、あたしがこの後宮

何かをしでかしたと血相を変えながら物凄い顔で言ってきたの。

そしてあの高彬のように母上は何も考えずに行動するからこうなるのだと

いつものお説教が待っていたわ。

でもいつものあたしじゃないことにすぐに気がついた貴久は

やっと真面目に話を聞いてくれる事になった。

あたしが帝の新しい女御になることを伝えたら目が点になり

少ししてから大笑いしておかしくなったの。

そりゃあ普通の貴族の母親らしいことはしてこなかったと思うの。

でもここまで母親をコケにする息子ってどうなのよ。

まあここで怒っても仕方がないからなんとか真実だと認めようと話し続けたの。

やっと理解したんだけど今度は

「何故こんな変人の母上を女御になんて今上帝はおかしくなったのか?」

帝や東宮様命な息子が壊れてきた。

そう思っていたんだけどあたしは鷹男を本気で愛していること、

鷹男も私をずっと愛し続けてくれた事

高彬と結婚する前から求婚されていた事。

いろいろな長い想い出を話したの。

だからかな、やっと分かってくれたの。

そして分かったと同時に賛成してくれたのよ!

もっと反対されるのかとそう思っていたわ。

でも貴久はあたし達が本気で愛し合っているのなら構わないと認めてくれたのよ。

長い事一人者だったあたしが幸せになれるのなら反対する理由もない。

まして尊敬する帝の事だから

大切な母上を託せると涙が出るようなことを言ってくれた。

高彬の忘れ形見が賛成してくれた。

まるで高彬も喜んでくれるみたいに勝手な想いも感じる。

それでも嬉しい!

これで何も不安になる事なんてない。

でもまさかこの後あんなことになるなんて想像もつかなかったのよ。

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