妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~揺れ動く恋心10

もうすぐ夏が終わりを告げようとしている。

それでも天気がいいとまだ暑く風があるから

涼しく感じるそんな季節だった。

あたしは部屋の中で居るよりも

端近に行き風を感じるのが今の日課だった。

部屋だと蒸し暑さを感じるけど端近だと風を感じ、

とても気分がよいのですもの。

ポカポカいい気分であたしは少しウトウトしていた。

でもあたしはすぐに目が醒めてしまった。

一体何事なの?

あたしの周りには人の気配は感じない。

でも門周辺や西の対の屋あたりが凄く騒がしいのよ。

一体何があるっていうの?

今日は何も予定はないはずなのに誰かこちらに見えたのかしら?

不思議に思ったけど何かがあれば

誰かあたしに伝えに来てくれるはずだもの。

だからあたしはあえてわざわざ出向かずにこの場にいることにしたの。

それから一刻が経ってからだった。

小走りに女房の足音が近づいてくる。

慌てながらドタドタと。

いつもなら足音を立てながら廊下を走るのはお止めくださいと

口うるさく言う小萩が、

足音をたてながらやってきた。

そして小萩は血相を変えてとんでもないことを話しだしたの。

「瑠、瑠、瑠璃さま~~~~~一大事でございます!!!」

「小萩?どうかしたの?」

「何を冷静になさっておられるのです。一大事なのでございますよ!」

興奮状態の小萩が何をいいたいのかあたしにはさっぱり見当もつかなかった。

「今からいうことをお知りになられたら瑠璃さまも驚かれますわ!!!」

「そうなの?それで一体何が起こったの?」

あまりの興奮状態の小萩を見るのはこれがはじめて。

一体小萩をここまで驚かせることって何なの?

あたしは凄く興味を覚えた。

しかし、次の小萩の台詞にあたしの頭の中は

真っ白で何も考えることなど出来なかったの。

「瑠璃さま~落ち着かれてくださいね。」

「落ち着くも何も小萩がまずは落ち着きなさいよ」

「ああ~そうでございますわね。いいですか、瑠璃さま。

実は内密に我が三条邸になんと

東宮様がおみえになられているのです」

「え!?」

何故!?何故なの!?東宮様!?鷹男が一体何故!?

「なんで?小萩何故東宮様が!!!!!」

「瑠璃さまお声が大きいでございます!

こちらに東宮様がお見えなのは内密なのですよ!」

「内密?」

「はい、今東宮様は石清水放生会で行啓中でございます。

儀式も無事に済み今日には東宮御所

戻られる予定だったのです。

しかし京に入りもう少しで東宮御所に入られる、

そんな時に東宮様をお乗せになっている御車の前を

1匹の猫が通りそのまま猫を引いてしまったのです。

そうなってしまえばいくら近くだとはいえ

穢れに触れた御身で東宮御所にお戻りになられることは出来ません。

ですから一旦どこか安全なお邸に

方違えをなさらなければならなくなったのです。」

「で・・・でも・・・なんで内なの???」

鷹男が今内にいる・・・・・・・

そう思うだけで心が騒ぐ

確かに内は大貴族の邸だし他の貴族の邸よりは安全かもしれない。

でもだからといって何故内なの。

もしかして・・・鷹男が・・・ここを選んだの?・・・・・・・・・・

「それが、本当は二条の右大臣様のお邸に

迎えられるはずだったそうなのです。

しかしそちらに向かう途中にも

動物の亡骸が道路に置いてあるのを発見してしまい

そうなると三条邸が都合がいい。

そう内大臣さまにご連絡があり、

少し前から東宮様をお迎えにする準備で

三条邸は今とても忙しく大騒ぎとなっているのでございます。」

「そう~」

あたしは一体何を考えているの?

三条邸を選んだのは鷹男だと勝手に想像してしまった。

もしかして・・・・・・・・・

あたしに会いにわざと来てくれたのか、そう思う馬鹿なあたしがいた。

鷹男が三条邸にいても何かがあるわけないじゃない。

鷹男はあたしと高彬のことを勘違いしてるんだから。

それが真実になったからといって今さら説明しても意味がない。

いえ、鷹男はやむをえなくここにいるのよ。

もうあたしには関係ないわ。

そうあたしは自分にいい聞かせる。

なのにどうして鷹男のことばかりを考えてしまうの?

あたしはもう高彬と結婚する。そう決めたはずじゃないの?

なのに何故心が騒ぐの。

せっかく封印した気持ちが解き明かされるようなそんな不安を感じたの。

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