好きなのに~揺れ動く恋心16終
私は自分の心が満ち足りたような気がした。
その傍には安らかに眠る愛する瑠璃姫がいた。
私にこんな気持ちがあることに驚く。
これが、私にとっての初恋。
そうなのだろう~
寝顔を見るだけで心が温かく感じる。
瑠璃姫が行動してくれなければ
私は一生この気持ちと出会う事はなかっただろう。
そう感慨深く思っていると
誰かが近づいてくる音に気がつく。
この足音は・・・・・・・・
「東宮様・・・・・・・・もうそろそろ夜が明けます。
このままでは大変なことになりますがいかが致しますか?」
「小百合か?」
「はい。」
「お前のことだ。もう既に手立てを考えているのだろう~
だったらお前の良いように動くように」
「では半刻後、もう一度そちらにおみえになる
隣の姫君をお迎えに参ります。
東宮様はすぐにその姫君を起しくださるようにお願いいたします。
くれぐれもまた二人の世界に入らないように。」
「分かった。」
私の返事を聞いた小百合は静かに部屋を出て行った。
小百合は私が最も信頼する女房の一人。
本来なら瑠璃姫が私の部屋に忍び込んだ時点で
すぐに取り押さえられただろう。
しかし、瑠璃姫との遣り取りを
聞きあえて黙っていてくれたのだろう~
私が言わなくても動いてくれるため
小百合は私にとってなくてはならない臣下なのだ。
小百合が女じゃなく男だったらあっという間に出世するだろうにな・・・・・・
私はそれからすぐに瑠璃姫を起し
これから小百合が迎えに来ることを伝えた。
瑠璃姫は起きはじめは場所がすぐに判断できなかったため
いつものように自分の女房の名前を呼んだが
すぐに気がつき真っ赤な顔で自分の体を隠す。
その仕草はとても可愛らしくてまた姫が欲しくなってしまう。
しかしもうすぐ小百合がこちらにやってくる。
ここにいてはいけない瑠璃姫が
この場にいると他の女房達に知れてしまえば後々厄介だ。
瑠璃姫には脱いだ命婦の衣装を着て貰い、小百合を待つことにした。
瑠璃姫は今後の事が不安なのか切なげな表情をしていたが
私は安心するように囁いた。
「瑠璃姫、大丈夫ですよ。この後のことは全て私にお任せください。
あなたのおかげで私は愛する人をこの手につかむ事ができたのです。
次は私の番です。
あなたを今度こそ離しませんからね。」
そう囁いたと同時に私も決心する。
私は瑠璃姫だけが欲しい。
他の女などいらないのだと。
そのためにはどんなことでもやって見せる。
どんな汚いことでも平気でやれる。
瑠璃姫が悲しんでもそれでも私は二人の未来のために
動くことをここで誓おう。
私達二人の未来のためには瑠璃姫、あなたの力も必要なのです。
どれだけの困難が待とうと二人の力が合わされば
どんな困難にも打勝つことができるだろう~
瑠璃姫、覚悟を決めてくださいね。
そのためには、あの男との決着を付けなければ・・・・・・・・・
あの男は瑠璃姫を諦めないだろう~
今度こそ私に反旗を翻すかも知れない。
それでも私は手放す事が出来ないのだから仕方がない。
愛する人を選ぶか・・・・・それとも信頼する部下を選ぶか・・・・・・・
答えは一つだけ!
戦いの幕はきって落とされる。
どちらが勝つか負けるか・・・・・・
私はけして負ける事はない。
そう私は決心するのだった。
それから数日後、大納言家瑠璃姫は東宮の新たな女御になった。
何故このような時期に女御誕生となったのか、
そして婚約者を持つ姫君が東宮の女御になったのかと
周囲は大騒ぎになっていた。
東宮が行啓のさい、大納言家に方違えとなったのは
内密とはいえ知らないものはいないほど知れ渡っていた。
その時の宴の席で東宮が瑠璃姫の姿を垣間見え
その姿が気にいった東宮は瑠璃姫を所望したのだ。
元婚約者の左衛門佐高彬は方違えの責任を感じていたため
瑠璃姫を諦めざるを得ない。
こうして瑠璃姫は東宮の元に行くことになったのだ。
そう周囲の目は瑠璃姫入内をそうとらえていた。
しかし!
真実は・・・・・・・・・・・・・・
好きなのに~揺れ動く恋心完
好きなのに~揺れ動く恋心終わりました~
Σ('◇'*)エェッ!?
終わってないじゃないかあ~~~~~中途半端じゃん!
皆様の悲鳴が聞こえて来るようです。
いいところで~続くような感じにして~盛り上げて見ました。
いらん!そう皆様の声が聞こえます。
でも~でも~これ以上は続編で書いていきたいなあ~
そう思いまして嫌な終わり方にしてしまいました(*- -)(*_ _)ペコリ
この話を書いていくうちにすぐにこれでは終われないことに気が付き、
シリーズ物にしようと決めました。
三角関係もので高彬が相手だとここで鷹男に譲って終わってしまう。
本来の高彬ならそうなのでしょうが今回の高彬は瑠璃姫一筋!
瑠璃姫が初恋で何年も思い続けた気持ちが消えるわけがございません!
まして女たらしな鷹男ですからね~
なかなか諦めることも出来ません。
そして、後宮には鷹男を愛してしまった哀れな女達がいます。
そう簡単に二人がくっ付くことはできません。
ドンドン後宮の争いへと発展して行きます。
第二章はテーマが「嫉妬」です。
この嫉妬で瑠璃姫は更に苦しみます~
瑠璃姫が苦しむのは嫌なんですがどうしてもこれを乗り切って欲しいので
瑠璃姫にはもう少し茨の道が続くと思います。